令和5年11月16日付

慶祝記念総登山参詣が叶い

「正法を弘める」と決意

 キリスト教系信仰者が人口の約九十パーセントに及ぶチリ共和国で、首都サンティアゴを中心に百十世帯・二百八十余名の日蓮正宗信徒が、正法流布の活動を展開している。
 今回取材したパトリシオ・サラテさんは、二〇二〇(令和二)年に始まったコロナ禍により所属するアルゼンチン布教所の責任者・中山良究御尊師がチリへ来訪できなくなった中でも信心に励んで、友人のブラウリオさんへの折伏を実らせ、本年は宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝記念総登山に参加し、念願の初めての登山も成就した。
  
●まず、入信の経緯をお聞かせください。
ハトリシオ
 ずっと以前から、人生の指針となる教えを求めていたところ、八年ほど前にサンティアゴの下宿先の大家、アナ・サンターナさんの折伏を受け、入信しました。御題目を唱え始めると私を取り巻く環境が調い出し、すべてが円満に解決していく感覚を覚えてこの教えの正しさを確信し、次に御僧侶が来訪される際に御本尊様を御下付戴くと決意しました。
●コロナ禍中に友人を折伏されました。時節柄、苦労もあったと思います。
ハトリシオ
 私はサンティアゴから八百キロ離れたコピアポ市で生まれ育ち、サンティアゴの大学を出たあと、数年前から故郷に戻っていました。ブラウリオと知り合ったのは二〇二〇年です。ある日、彼をアルゼンチン布教所が行っていたオンラインセミナーに誘ってみたのです。彼はすぐにこの教えのすばらしさに気づき、入信を決意しました。しかし、コピアポからサンティアゴまでは飛行機で一時間、車で十時間を要します。それに、せっかく入信を決意したのにハンデミック中の移動制限などにより、御僧侶の出張御授戒も、私たちがサンティアゴに行くことも叶わず、歯がゆさを感じながら、彼と地元で信心に励みました。すぐ近くに信仰仲間がいないので、我が家の御本尊様を拠り所にオンラインの活動に参加しました。海外部が開催してくださったオンライン総会も、たいへん励みになりました。そうした中でもブラウリオは確信を深め、アルゼンチンに渡航して布教所で御授戒を受けると、決意を固めたのです。
 ハンデミックの状況が落ち着くのを見計らい、昨年八月に布教所に参詣しました。実は、私にとっても初めての布教所参詣でした。
 読経・唱題後、待ち焦がれたブラウリオの御授戒が行われ、これほどの感動はありませんでした。ちなみにブラウリオは今年、自身の母親を連れて再び布教所を訪問し、御本尊様を御下付戴きました。これまで三人の方を折伏しましたが、御本尊様を受けるに至ったのは彼が初めてです。
●今年、初めて登山されましたね。登山で感じたことを話してください。
ハトリシオ
 登山は入信した時から常に志し、熱望してきましたが、当初は遠い目標でした。一番は旅費の問題です。しかし、有り難くも信心の功徳によって希望していた職に就け、経済面も安定してきました。本年の慶祝記念総登山が発表されてから、参加することに心血を注ぎ、申込み締切り寸前に旅費を工面できました。登山は想像を遥かに超え、初めての御開扉は一生忘れることはありません。その時に沸き起こったのは、感動よりも感謝でした。本門戒壇の大御本尊様、大聖人様の教え、御法主上人猊下に心から感謝し、総本山を後にしました。
 今後は、大聖人様の仏法への御恩に報いるために、コピアポで活発に座談会を開き、ブラウリオと共にこの教えを弘めていきます。登山を終えた今、その決意で満たされています。