令和4年5月16日付

諦めず唱題続けて家族の病を克服

体験と確信語って折伏

 正法寺のあるサンパウロ州は、標高約七百六十メートルに位置し、一日に四季があると言われるほど天気や気温の変化に富んでいる。一九〇八(明治四十一)年以降百年にわたる日本からの移民事業により、現在は百万人を超える日系人が暮らす、日本と縁が深い都市である。
 今回は、婦人部責任者として日々の信行と寺院の外護に励んでいる、ソ二ア・サチエ・カマタさんにお話を伺った。
  
●自己紹介をお願いします。
ソ二ア
 私は、サンパウロ州のスザノ市に住んでいます。
 夫のエリオ・フジオ・カマタと共に正法寺の幹事をしています。また、三人の娘はそれぞれ結婚して、今も正法寺にて様々な行事のお手伝い等で御奉公させていただいています。
●日蓮正宗の信仰はいつ始められたのでしょうか?
ソ二ア
 私は一九八四(昭和五十九)年五月に御授戒を受けました。その当時は創価学会員で、あまり信心に熱心ではありませんでした。
 その後、一九九八(平成十)年に勧誡を受け、信仰に対する決意を新たにし、自宅で毎月座談会を行うようになりました。
●現在の信仰活動について教えてください。
ソ二ア
 現在は婦人部の責任者として、婦人部会の計画や御会式準備のグループの取りまとめ等をしています。そして毎週水曜日には、朝四時より夜の十二時まで、婦人部によるリレー唱題会を行っています。

●信仰の体験について教えてください。
ソ二ア
 今までの人生において様々な出来事がありましたが、日蓮正宗の信仰により乗り越えることができました。
 二〇一八(平成三十)年八月に夫のエリオに胃ガンが見つかりました。発見時はかなり進行しており、たいへんな状況でしたが、様々な化学療法が始まりました。私は、とにかく時間を見つけては唱題しました。けっして諦めず、「祈りとして叶わざる無く」(御書文段 六九三n)の御指南を確信していました。
 その年の十二月に胃の三分の二を切除する手術をしました。ところがその手術から五日後、もう一度手術を行わなければならないことが判ったのです。このことは本当に大きなストレスと心配を私たちにもたらしました。それでも、御本尊様の前に座って唱題することにより、御仏智を戴き、心が強くなって乗り越えることができました。
 このような夫の病があっても、私は御本尊様を疑ったことはなく、御本尊様への強固な信心が天の回復へ繋がっていくという確信が日に日に強くなりました。辛く苦しい日々でしたが、すべてを御本尊様にお任せして、毎日の仏道修行を欠かさずに行うようにしました。
 そして二〇一九年二月、信仰によって乗り越えると決意をしてから約六カ月、夫に寛解の診断が下されました。それから現在に至るまで、最初は三カ月ごと、現在は六カ月ごとの精密検査を受けていますが、問題なく過ごしています。
 この年は、九月の寛師会と十一月の御大会の二回、御報恩謝徳申し上げるため、総本山への登山に参加させていただくことができました。本門戒壇の大御本尊様のすばらしさと、この二回の登山の感激を言葉で表わすことはできません。
 二〇二〇年に入り、新型コロナウイルスのパンデミックが発生しました。この後も種々の困難に直面しましたが、その中でも一番大きな困難が孫のソフィアのことでした。
 当時四歳三カ月のソフィアに二〇二〇年六月、白血病の診断が下りました。そこから本当に辛い闘病生活が始まりました。既にパンデミックが始まっていましたので、入退院を繰り返すことそのものも、簡単ではありませんでした。
 四種類の治療を八カ月続ける必要があり、特に化学療法によって体が弱っていきました。しかし私は一度も希望を捨てることはありませんでした。いつも御本尊様への確信を持って、この時も全力で唱題行に励みました。
 この八カ月の間、血管や背骨に働きかける化学療法や、飲み薬等の治療が行われました。化学療法は、症状次第でいつまで続けるのか判らない状況でした。この間はただソフィアの健康のことだけを考える日々でした。
 そして昨年二月、八カ月の治療を終えて検査を行ったところ、ガン細胞がなくなっていたのです。今年の七月まで定期的に治療が必要ではありますが、家に帰って普通の生活を送れるようになりました。
 ソフィアが病魔に襲われたことで、家族全員が欠かさず唱題を続けました。ソフィアは現在、五歳になりました。そして常に「お寺へ参詣したい」と言っています。
 この三年間は、多くの挑戦と決意を新たにした時期でした。けっして諦めず、常に御本尊様への信を持ち続けることが、過去世からの罪障消滅をすることができる正しい道であることを体験しました。
 この困難を乗り越えられたことを、仏祖三宝様へ御報恩謝徳申し上げます。また、ソフィアとエリオのために御祈念してくださった御住職(関良務御尊師)と在勤御僧侶に、深く感謝申し上げます。

●今後の決意を教えてください。
ソ二ア
 今後は、身近な人はもちろんのこと、御住職の御指導のもと皆で知恵を出し合い、折伏行に邁進してまいります。
 現在はコロナ禍によって様々な問題を抱えている方が多くいます。そのような方々に対して、御本尊様を信じ正しい仏道修行をしていけば、「祈りとして叶わざることはない」と伝えています。そして、一人でも多くの方をお寺にお連れして、折伏成就するように精進してまいります!