令和3年7月16日付

家族の健康、母の更賜寿命に確信得る

心合わせ御題目と折伏で打開

 カナダ唯一の正宗寺院である妙正寺は、今年九周年を迎える。バンクーバーに妙正寺が出来るまで、カナダ西部とその周辺に住む日蓮正宗信徒は、千五百キロ以上も離れたアメリカ・サンフランシスコの妙信寺に所属しており、寺院参詣をはじめ、日頃の信行にはたいへんな苦労が伴っていた。
 今回は、妙正寺が創立される遙か前からバンクーバーで日蓮正宗の信仰を持ち、現在はサレー地区の地区長として活躍しているサニー・リンさんにお話を伺った。
  
●●信心を始めた頃のことを教えてください。
サニー
 私と妻には二人の子供がいて、台湾に住んでいました。一九九二(平成四年に、子供たちの教育のためにカナダのバンクーバーに移住することを決めました。
 台湾にいた当時、妻は二人の子供を出産してから健康状態があまりよくなく、しばしば医者に診てもらうために病院に行かなければなりませんでした。さらに、子供たちも体調を崩し、そのせいで治療費がかさみ経済苦に陥りました。邪宗教に救いを求めましたが、すべて無駄でした。今思えば、恐ろしいことでした。
 そんな中、私は日蓮正宗の信仰をしていた義母から「医者に診てもらう前に、御題目を唱えてみなさい。すべてが変わります」と言われていたことを、突然思い出しました。こうして、義母を縁として日蓮正宗を知り、一九八五(昭和六十)年十一月に、幸運にも団体登山に参加できました。この時、総本山の妙泉坊で御授戒を受け、御本尊様を御下付戴きました。


●入信後の体験をお聞かせください。
サニー
 御本尊様を自宅に御安置してから、勤行・唱題に励み、様々な信心活動に参加し、徐々に信心を深めることができました。知らず知らずのうちに家族の健康状態や家計の状況も格段によくなったのです。振り返ってみると実に不思議です。これは「不求自得」の功徳であると感じました。
 ある日、妹から突然連絡があり、ふだん元気な母が高熱を出したため精密検査を受けたところ、医師から、子宮ガンの末期で余命六カ月と告げられたと知らされました。私は驚き悲しみました。しかし、もし母が私と一緒にこの妙法を信受して御題目を一生懸命に唱え、御本尊を信じられるのなら、必ず罪障を消滅し、更賜寿命の功徳を戴けると信じていました。これは母を折伏する機会だと思ったのです。
 母は台湾土着の宗教を信じていて、以前は私の折伏を受け入れませんでした。何度も丁寧に話し、真撃に折伏した結果、ついに私と一緒に唱題するようになり、御授戒を受けることができました。
 母は放射線治療を受けながら、家族と共に毎日二時間の唱題をしました。この時期が、一番たいへんでした。なぜならガンは坐骨神経を圧迫して、椅子に座って唱題する時のあまりの痛さに、母は涙を流しながら御本尊様に、この世から連れ去ってくれるようにと祈っていたそうです。
 私は諦めずに母を諭し、励まし、「御本尊様を強盛に信じれば、間違いなくお母さんの力となって、現状を変えていただける」と繰り返し言いました。二カ月間、同じような状況が続きましたが、その後は少しずつ落ち着いて、二時間の御題目を三時間に増やすことができ、最後には、母は五時間の御題目を唱えられるようになっていました。私も、寝る時間を削って五時間の唱題を一緒に続けました。
 約六カ月後、検査のために病院に行くと、医者からガン細胞が消滅していると言われました。余命六カ月の宣告が嘘のように、寛解したのです。御本尊様の功徳、偉大さを深く感じ、感謝し、改めて絶対的な確信を持つことができました。
 その後、母は大きな病気や事故に遭うこともなく八十四歳まで元気に生き、二〇〇四(平成十六)年、台湾の自宅で、家族皆の唱題の中、静かに息を引き取りました。翌年、総本山の大石寺墓地にリン家の墓を建立し、埋葬させていただきました。

●現在のコロナ禍の中で、どのような活動をされていますか?
サニー
 カナダのブリティッシュコロンビア州の現状は依然として深刻で、お寺は一時的に閉鎖され、家庭訪問等も禁止されています。
 幸いなことに、御住職(長沢成経御尊師)からメールなどを通して信心の指導・激励をいただけます。お寺に参詣できない中でも、御住職を中心としてみんなが心を一つに信行に励んでいます。そして、コロナ禍が収束した暁には、今まで以上に強力に活動を展開しようと励まし合っています。
 現在の新型コロナウイルス感染症流行の状況下では、僧俗異体同心して勤行・唱題に、朝夕励むことが、絶対に必要だと思います。また、ハンデミックを阻止するためには、御題目を倍増する必要があります。
 私は、電話やメール等を利用してメンバーとのコミュニケーションを図り、信仰の激励をし続けることで、長くお寺に来られない中でも皆の信心が弱くならないように、気を配るようにしています。

●最後に、今後の決意をお聞かせください。
サニー
 一家で妙法を信受して三十年以上になりました。その間、常に御本尊様の功徳と御加護を感じてきました。
 そして何より、法統相続をできたことが、人生最大の功徳と喜びです。家庭の状況はそれぞれ異なりますが、広宣流布のために自分たちの使命を果たせることが、無上の幸福だと実感しています。
 今後とも、非常に有り難い、正しい仏道修行の道場である日蓮正宗寺院・妙正寺を、揺るぎない信心で外護に励む決意です。そして、より多くの人々が日蓮大聖人の偉大な仏法を信受できるように、不断不屈の決定心で折伏行を継続してまいります。