令和3年1月16日付

布教所11年目人材陸続と新たな出発

魔を退け折伏まっしぐら

 花東布教所は、昨年で創立十周年を迎えた。開所以来、歴代の布教所責任者と信徒の尽力により、昨年六月末に御命題に向けての花東布教所の誓願目標を達成できた。
 管轄地域の花蓮県と台東県は南北に長く、端から端までは車で三時間半ほどかかる。
 在籍する信徒は地域柄、原住民が多く、民族も多様でそれぞれ文化・風習・言語が異なっている。気候や地理的な違いも加わり、生活に違いのある者同士が共存する地域だからこそ、御本尊様を中心に、常に御題目を唱えつつ異体同心を図ることが求められる。
 今回は、布教所の信徒の組織活動の要である副幹事の陳子理(ツェン・ズーイエェン)さんにお話を伺った。
  
●まず初めに、花東布教所の管轄する地域がどのような所かを教えてください。

 台湾の東部の真ん中辺りにある花蓮県と、その南に位直する台東県が主な管轄地域になります。
 花蓮県は、もともと原住民族が多く住んでいた所です。そのため、布教所に在籍する信徒も、原住民が多いです。民族も多様で、文化や風習はもちろんのこと、言語まで違うので、ふだんは公用語の台湾華語でコミュニケーションを取っています。今でも他の民族の人たちの会話は全く判りません。基本的に、明るくのんびりしている人が多いです。
 昨年、台東地域の主任のお母様が亡くなられたのですが、お葬式が終わって四十九日忌の頃でしょうか、近所の方が各家庭で作った食事を主任の家に持ち寄っていました。テーブルいっぱいに料理が並べられ、お母様を偲んで明るく思い出話をして楽しい姿、笑い声をお母様に届けるという習慣を目の当たりにしました。心温まる風習だと思いました。

●昨年を振り返って、どのような年でしたか?

 昨年は非常に大事な年でした。御法主日如上人猊下から賜った御命題を達成することが最重要課題であり、加えて花東布教所創立十周年記念法要という大きな行事を迎える年でした。
 一昨年の二〇一九(平成三十一)年三月二十五日に、第三代布教所責任者として近藤行威御尊師が赴任されました。
 初めの頃の私たち信徒は、「新しい布教所責任者は、どのような御尊師なのだろう」と様子をうかがい、少し距離を取ってしまう者もいました。しかし、日々の活動を通して御指導を受ける中で信頼関係を築け、一体感が構築できてきました。「この一体感を深めていけば、必ず御命題も記念法要も、無事に完遂できる」皆がそう思うようになりました。
 そのような矢先に新型コロナウイルス感染症が発生しました。その脅威は徐々に台湾へも広がり、感染拡大を避けるため、寺院参詣や日頃の活動も制限されるようになりました。そのような中で、信徒の中には退転する人、今まで熱心だったのに熱が冷めてしまったかのような人、感染を恐れて連絡まで取りたがらなくなる人等が出てきました。この新型コロナウイルスが私たちに与えた影響は非常に大きいと痛感しました。
 一度止まった足は重く、折伏や育成の動きは鈍くなり、頭を悩ませました。
 また、新型コロナウイルスの感染が広がっている頃、我が家では、主人の持病の心臓病が悪化し、手術になる可能性がありました。私は、たびたび花蓮の病院と台北の病院を駆け回っていました。何度も「今年はなんて年になってしまったのだろうか」と落ち込みました。しかし、近藤布教所責任者から激励をいただいては気を持ち直し、今に至ります。お陰様で主人は春先から回復し、手術も回避でき、今は元気になりました。
 御命題に対する目標は、昨年六月末に達成できましたが、その時点で、年間の折伏が目標の半分に達していませんでした。
 八月半ば、記念法要の奉修日が十一月二十一日に決まりました。年初は法要を心待ちにしていたのですが、折伏の進捗が予定を大幅に下回っていたこともあり、果たして、残り三カ月足らずで法要の準備を進めながら折伏目標を成就できるのだろうかと、またしても落ち込みました。
 その直後、近藤責任者から、「法要の準備は私が一手に引き受けるから、皆さんは法要までに折伏目標を達成すること、その一点だけに集中してください。共々に勤行・唱題をしっかりして、時間を惜しまず折伏に歩いてください。時間を惜しんで後悔しないように」と御指導をいただきました。
 今思えばこの時が、余計なことを自分の頭で考えて悩んでいた私たちが、やるべきことが定まり心に火が点いた瞬間でした。
 その後、役員を中心に講員同士で声をかけ合い、毎日のように折伏対象者を訪ね、決河の勢いの如き日々を過ごしました。残念ながら一名を残して法要を迎えることになってしまいましたが、御本尊様に「残り一名の折伏を年内必ず完遂いたします」とお誓いを申し上げ、年内に無事、完遂できました。

●今年はどのような年にしたいですか?

 今年は、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年です。さらにまた、布教所開所十一年目の新たな出発の節目に当たります。近藤責任者の御指導のもと、連絡網の強化と行動力アップを期して、地区編成を変えました。
 七十歳を超えた方は後進に道を譲られ、主任から組長までを、主に三十代・四十代の若い方を中心にした構成となります。青年部からも複数名が役員に加わりました。皆さん、快く引き受けてくださり、役職を降りて譲られた方々も、若い方の前向きな姿に喜んでくださいました。
 今は台湾から総本山へ登山ができませんので、役員を中心に、二〇二二年の記念登山のための貯金を促したいと思います。
 また、長年の課題である育成についてですが、新型コロナウイルス感染症が収まらない間は、皆さん誰も外出の機会が減ります。でも、こういう時だからこそ、勤行・唱題を根本に、感染症対策を万全に日頃の家庭訪問をさらに充実させ、じっくりと育成対象者と向き合うことができます。一人でも多くの方が広布のお役に立てる人材になれるよう、御法主上人猊下の御指南を実践してまいりたいと思います。