令和2年9月16日付

折伏誓う 御命題達成まで

智慧と工夫でコロナ禍を乗り越え

 アルゼンチン共和国では、新型コロナウイルス感染拡大が顕著になった本年三月二十日より、他の中南米諸国に先駆けて全土に外出禁止令が発令され、ロックダウン(都市封鎖)の措置が講じられた。それにより、布教所への参詣や、自宅での座談会、家庭訪問等の活動ができなくなった。
 これを受けてインターネットを介しての活動を開始し、現在では、勉強会や新来者向けの座談会を含め、これまでに行われていたほぼすべての活動をライブ配信で行っている。
 今回お話を伺ったエステーラ・ルイスさんは、その活動の中心者の一人である。五年前に入信したエステーラさんは夫と三人の子供だけでなく多くの友人を折伏し、さらに自宅を座談会会場として提供して一地区を築くに至った。
 
●自己紹介を兼ねて、入信したきっかけをお聞かせください。
エステーラ
 五年前にこの日蓮正宗に入信しました。それ以前は、人生に関して多くの疑問を抱き、答えを見つけることができずに苦しんでいました。三十年もの間、心理療法、精神療法、瞑想法等、様々なセラピーを試しましたが、どれも納得できる答えを得られませんでした。しがみつく物が何もない状況下で流されながら生きているような、そんな感覚でした。大切な家族、望んだ仕事、健康、友人、恵まれた経済状況と、満ち足りた環境にあってなお、常に空虚さ、悲壮感を抱いていたのです。
 そのような時、両親が病に倒れ、そして死を迎えたのです。追い打ちをかけられるように深い苦しみに陥ったことは言うまでもありません。
 皆が、「両親の死が原因で苦しんでいるのね」と言っていましたが、私は、原因は自分自身にあることを自覚していました。両親の死に当たり、子供たちに対して生死について何も語ることのできない己の無力さ、そして、人生で最も大切なこと蔑ろにしていたことに気づかされました。
 そこから私の模索は始まりました。以前から仏教の考え方に興味を持っていた私は、インターネットで多くのサイトを閲覧し、比較し、吟味し、そして最終的に日蓮正宗のサイトにたどり着きました。
 底知れぬ深さを持つ海を航行するのに、最も安全で確実な船を選ぶのは当然のことです。日蓮正宗の伝統や教えはその条件に合致すると直感しました。そこでアルゼンチン布教所を訪ねました。
 本堂に通され、初めて御本尊様を拝した時、これこそが私が探し求めていたものであると確信しました。
 御授戒を受けて入信した後は、布教所責任者・中山良究御尊師が教えてくださる勉強会に出席するようになりました。そこで教えられたことは、修行の実践なくして仏法を正しく学ぶことはできないという基本でした。勤行を覚えたいという強い願いが涌き起こり、週に一度、布教所に参詣する傍ら、自宅でも毎日、勤行を行いました。私の家族は、仏道修行を始めた私を祝福し、支えてくれました。

●エステーラさんは、ご家族を全員折伏されましたが、どのようにして成就するととができたのですか?
エステーラ
 信心を始めてすぐに、修行の書び、御本尊様への感謝の思いが沸き上がり、大聖人様の仏法のお陰で、以前の考え方がいかに誤っていたかを自覚できました。
 中山御尊師から教わった大聖人様の仏法は、かつて一度も聞いたことのなかった勝れたものでした。たった一週間の信仰の功徳により、三十五年もの間に受けた様々なセラピーを遥かに凌駕したのです。
 それからというもの、私は、考え、発言し、行動するすべてにおいて、大聖人様の教えという指針をもって善悪を判別するようになりました。争いを避け、物事をよく観察するようになり、それは家庭内に調和をもたらしました。家族は私のそのような変化に気がついていたようです。
 やがて私は、自分と同じように家族もこの仏法の功徳によって救われることを願い始めました。そこで、御本尊様に対し、「家族の入信と、一人ひとりが御本尊様の功徳を得られるように」と御祈念するようになったところ、なんと夫や子供たちは、自ら私と同じ信仰をしたいと言い出したのです。
 私は子供たちに対し、彼らにとって最も価値あるものを伝えられたことに、心から安堵しました。

●現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で信心活動にも大きな支障が出ていますが、エステーラさんやアルゼンチンのメンバーはどのようにこの困難を乗り越えようとされていますか?
エステーラ
 新型コロナウイルスの問題で布教所が閉門を余儀なくされましたが、中山御尊師とのコンタクトを維持してこれまでの活動を継続し、さらに発展させていくために、インターネットを利用しての新たな活動方法の構築に取りかかりました。
 御僧侶や信徒の多大なる努力により、ロックダウン状況にある現在も、僧俗が連絡を取り合えています。
 また「変毒為薬」と申せばよいのでしょうか、これまで布教所に参詣が難しかった地方在住の信徒や、布教所の他の管轄国の信徒も、ライブ配信で勉強会等に参加できるようになって、むしろ輪が広がるという、思ってもみなかった効果が得られています。
 七月には、同じスペイン語圏でパナマの大広寺の御僧侶や法華講員と、インターネットを通じて交流会ができました。大広寺の皆さんは、私たちに大きな喜びと励ましを与えてくれました。

●明年に迫る日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節に向けての決意をお聞かせください。
エステーラ
 これまではコロナ禍にあって、折伏が足踏みせざるを得ませんでしたが、御命題達成に向けて、私たちの果たすべき目標達成まで、残り約四十名となっています。御法主日如上人猊下の御指南を片時も忘れることなく、確実にその目標を完遂し、そして明年には必ず登山し、御報恩謝徳申し上げることをお誓いします。