令和2年6月16日付

タイ国担当教師を迎え 願うは寺院建立

入信者を真の法華講員へと導く

 東南アジアの中央部に位置し、東南アジア諸国連合(ASEAN)経済の中心地タイ。首都バンコクから南に七百キロ、アンダマン海に浮かぶタイ最大の島プーケットは、エメラルド色の海と真っ白な砂浜の美しさで世界的な観光地として知られている。
 今回は、そんなプーケットで現地の中心者として信心に励む、パカヌン・サンジャイさんにお話を伺った。
 
●信心を始めた当時のことを教えてください。
パカヌン
 私は、友人のオヌマ・キトランシクンさんの折伏により、二〇〇二(平成十四)年に御題目を唱え始めました。
 当時、私は失業して、夫も収入が安定していませんでした。タイにはまだ御僧侶が常駐されていなかったため、すぐに御授戒を受けることはできませんでしたが、それまでの間、私は毎日、御題目を三時間、四時間と唱え続けました。
 そんな折、知人と共にプーケットの海辺に店舗を構え、油絵販売の事業を始めることになりました。二〇〇二年七月四日のことです。その年の九月には、朝夕の勤行を始め、さらに唱題を始めました。すると今度は、百枚の絵を注文する顧客が現われました。それまでで最高の売り上げでした。
 私はさらに、事業を軌道に乗せようと夫に、私と一緒に唱題するようにと折伏し、十二月に私は夫と共に御授戒を受けました。そして翌年の三月に御本尊様を御下付戴きました。
 二年後、知人が経営から退き、単独の事業主になりました。私たちの生活は、さらに安定したものとなりました。
●入信後、様々な苦難を経験されたと聞きました。
パカヌン
 二〇〇四年の十月、プーケットが洪水に見舞われ、私たちも被害に遭いました。自宅は仏壇の下の台まで浸水し、店舗も絵画の一部が損傷しました。そこで、すぐに店舗のフロアをかさ上げする改修工事を行い、絵画は台の上に置くようにしました。その年の十二月にプーケットを津波が襲った際には、絵画は全く被害がありませんでした。御本尊様に本当に感謝いたしました。
●折伏について、これまでの経験と今の思いを聞かせてください。
パカヌン
 二〇〇七年のことです。入信後五年で十八名の折伏が成就し、十二月六日に、海外部のタイ担当の御僧侶をプーケットにお迎えして、御授戒をしていただく機会に恵まれました。御授戒そのものは無事に終えることができたものの、その後しばらくして大雨に見舞われ、私の店舗は五十センチほど浸水し、絵画の在庫の多くが破損してしまいました。私は絶望と悲しみに暮れ、「たくさんの新来者を御授戒に導いて、私はよいことをしたはずなのに、なぜこんなことが起こってしまったのか」と思っていました。
 しかし、疑いの心を捨てて唱題を重ね、自らを振り返りました。そうして気づいたことは、折伏は、ただ単に御授戒を受ける方や御本尊様を御下付戴く方の人数を増やすことではない″ということです。それまでの私は人数に執われ、育成を疎かにしていました。新来者が本当の意味で日蓮正宗の信仰を実践できるよう、責任を持って導いていくことが真の折伏である、ということに気づかせていただいたのでした。
 私は、それまでの間違った考えを御本尊様にお詫び申し上げ、今では折伏と同時に育成にも力を注ぐように心がけています。
●プーケット地域の責任者として、ふだん、どのような活動をされていますか?
地区の概要などを教えてください。
パカヌン
 プーケットでの定期的な活動としては、毎月第一日曜日の広布唱題会、毎週金曜日の一時間の唱題会、家庭訪問などがあります。
 現在は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、集会を伴う活動を行えませんが、最近は、タイ常駐の御僧侶(堀沢良充御尊師)の呼びかけにより、毎日オンラインでの信心活動に力を入れています。これにはタイ全土の信徒が参加して、私も毎日のように参加しています。
 自宅待機の期間中、心細く過ごしていましたが、御尊師と毎日密に連絡が取れることはたいへん心強く、オンラインで参加しているタイ全土の多くの友からも、勇気と活力をいただいています。
 インターネットの有効活用は重要だと思います。
●最後に、今後の目標や決意を聞かせてください。
パカヌン
 本年、私たちが長年待ち望んでいた常駐御僧侶をお迎えすることができました。今、とても幸せです。
 御僧侶の御指導のもと、日蓮大聖人様の教えを人生の指針として真剣に学び、一日も早くタイに日蓮正宗の寺院が建立されるよう、力の限り精進してまいります。