令和2年4月16日付

パンデミックの障魔を乗り越え

知恩報恩の青年に成長

 シンガポールは東南アジアの小さな国で、その国土は東京二十三区よりわずかに広い程度である。しかし、観光業、貿易金融業、運送業の中継地点として世界有数の都市に大きく発展を遂げている。特にこの国の発展の原動力となっているのは、新しい可能性を創造する若者たちである。
 開妙院においても若者の活動が活発で、青年部は講中発展の一翼を担っている。
 今回は、青年部長のヤン・ヨンセンさんに話を伺った。
●まずは自己紹介をお願いします。
ヤン
 私は一九八八(昭和六十三)年、十歳の時に母と一緒に入信しました。二年後の一九九〇年四月に家族五人全員が入信し、以来三十年、一家和楽の信心を続けています。
 そして昨年四月、青年部長の任を拝命し、現在は青年部の皆と共に信心に励んでいます。

●開妙院の青年部員はどんな人たちですか?
ヤン
 一般にシンガポールの若い人たちは、幸福な現状に真心から感謝の念を抱くことは稀です。
 なぜなら、国全体が豊かで国民の大半が安定した生活を送れるシンガポールに生まれ、幼少の頃より何不自由なく育ってきているからです。
 開妙院の青年部員たちも例外ではありません。その上、多くが信心をしている家庭に生まれ、両親たちが積み上げてきた功徳の恩恵に授かって、困難のない生活を送っているのです。そのため、私たちは今ある生活を当たり前のものと思う傾向があり、それらに感謝することができなくなっているのです。
 ですから、私は他の青年部員と共に、御本尊様に対する報恩感謝や、四恩の大切さについて学んでいこうと心がけています。

●青年部の目標は何ですか?
ヤン
 青年部は、未来の講中を担っていく存在ですので、一人ひとりの信心をより強固に確立していくことを考えています。
 まずは、青年部員たちが信心の歓喜を感じられるようになることが必要です。御主管・加藤信学御尊師が常に教えてくださっているように、日々の信心修行の積み重ねを通して日蓮大聖人様の教えの功徳を確信し、その功徳と実体験をもってさらなる信心倍増に繋げて欲しいと願っています。
 また、支え合う仲間がいなければ信心を続けることは容易ではありません。青年部の活動を通じて、仏法の知識を学ぶだけでなく、お互いにサポートし合えるすばらしい仲間を見つけられるように努力しています。

●そのための具体的な活動内容を教えてください。
ヤン
 定期的に家庭訪問をして一緒に勤行をし、対話を通じて信頼関係の構築に努めています。そして、毎月の御報恩御講や広布唱題会、青年部会に積極的に参加するように呼びかけています。
 私が青年部長に任命された当初、青年部会の参加者は多くありませんでしたが、徐々にその成果が現われ始め、今では多くの参加者のもと行われています。特に、年一回行われる青年部研修会は、昨年から参加者が増え、より盛大に開催できるようになりました。
 さらに、寺院での勤行や各法要で太鼓担当や整理班を配し、また機関誌の編集などの役割も担っています。こうして、身の供養を通してお寺の活動をサポートすることを奨励しています。
 そして、日蓮大聖人様の弟子として、国への恩に報いるため、寺院主催の献血や建国記念日の催しにおけるダンスパフォーマンス、海岸清掃等を行い、信心を根本に社会貢献もし、個々の信心にも磨きをかけています。
●最後に近況をお話ください。
ヤン
 シンガポール政府は、新型コロナウイルスに関して警戒レベルをオレンジアラート(上から二番目)まで引き上げました。それに伴い、集団感染のリスクを抑えるために、大きな集会の延期が取り決められました。
 開妙院においても二月から活動を自粛している状態です。
 私たち青年部は、様々な行事や唱題会に参詣できない期間を過ごすことで、いかに寺院と御僧侶の存在が大切か、身をもって感じています。恵まれた当たり前でない環境を当たり前と思って、自分の置かれている状況への感謝が薄かった青年部員にとって、この危機は自分たちの信心修行を見つめ直し、心新たに信心するための貴重な機会となっています。
 私は、このコロナウイルスによるパンデミックを、大聖人様の教えの通り、日蓮正宗こそ真実の仏法であることを証明するための障魔であると共に自分たちの罪障消滅の機会であるととらえています。
 自分たちの信心をより一層強くすることができれば、明年に向けた大折伏戦を遂行し、心晴れやかに、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節を迎えることができると確信しています。(現在のシンガポールは、政府の新型コロナウイルス感染防止対策により、寺院に参詣することや、各家庭でも家族以外の人が集って活動することは禁止されています。そのような中で開妙院信徒は、寺院の勤行や唱題の時間に合わせて、各々が勤行と唱題に励み、一刻も早い感染の収束を御祈念しています)