令和2年1月16日付

妙願寺創立20周年 個人も組織も成長

真の僧俗一致・異体同心へ

 赤道を跨ぐ、東西五千キロ・南北千九百キロの国土に大小一万三千以上の島嶼からなるインドネシア共和国。その中心であるジャワ島の東部、インドネシア第二の都市スラバヤで長年信心に励む婦人メリンダ・タンダジャヤさんにお話を伺った。
●信心を始めた当時のことを教えてください。
メリンダ
一九八二(昭和五十七)年十二月に夫婦二人で入信しました。もともと家族・親族揃って遺伝的にストレスを感じやすかったのですが、苦しい環境にいたときに折伏を受け、「源から治せばいい」と教わりました。これ以上苦しみ続けたくなかったし、次世代にも継いで欲しくない、そう願って信心を始めました。
 当時はインドネシアにおける日蓮正宗の草創期で、都市や町、村々を回って折伏をしていた時代でした。幸せな環境が整っている人は少なく、折伏された多くの人が信心を始めました。
●以来三十年以上にわたり、どのように信心を継続してきましたか?
メリンダ
 入信当初は地元のスラバヤで活動をしていました。次第にジャワ東部を担当して村々を回って折伏や激励を行い、かつ毎月ジャカルタでの会合に参加するようになり、我利・我欲ではなく他人の幸せのために活動することを学び、自分自身の悩みが些細に思えるようになりました。
 広宣流布の大願のためにいよいよ挺身するようになった夫と私の、家庭を顧みない活動に、家庭内が思わしくなくなったことがあり、それを機に家庭内の信心について話し合い、バランスを持って自他共に進む大事さも学びました。
 これまで様々な課題が解決してはまた顕われ、顕われては悩み苦しみ、それでも信心で解決して成長できたと思います。また組織が大きくなるにつれ、責任ある立場にもなり、どのように振る舞い、責任を全うしていくのか、家庭をどのように守っていくのか真剣に悩みました。そこで、海外部からの派遣で来訪される御僧侶に御指導を仰ぎ、仏様の慈悲について、御書について学び、夫と共に継続してきました。

●今も年に数回、地方の村々を訪問しているそうですが、そこでの折伏について印象に残ったことはありますか?
メリンダ
 広大なインドネシアでは部分的、局地的な幸せではなく、全体の普遍的な広布の願いが重要だと、何度も感じました。一九八八年から地方への訪問に参加しています。特にジャワ中部から東部の山間部は、一回に七日ほどかけて回って折伏し、各地域に拠点や会館が出来るまで毎年、入信者の育成に回りました。当初は拠点も少なく、ホテルのない地方では信徒宅の湿った土間や納屋、牛舎の庇に泊まったことが思い出されます。シャワー設備もないので、冷たい川で沐浴したこともよい思い出です。
●そして、ボゴール県にあった会館が一九九九(平成十一)年に妙願寺布教所となりましたね。
メリンダ
 申野道賢御尊師が赴任され、折伏について、そして広布の大事について教えてくださいました。日蓮大聖人の御事蹟、御書、教学を直接学べるようになったことが嬉しかったです。特に登山は、以前から大事だという認識はあっても、現実には理解できていませんでした。直接の御指導で、なぜ登山するのか、しないといけないのかを理解できました。
 常住御本尊様が御安置された寺院で、御住職の導師のもと勤行、唱題行を行えるすばらしさは格別であったことを鮮明に覚えています。
 御僧侶が御授戒のため来訪されていた一九八〇年代、毎年の御会式に来訪され始めた一九九四年から寺院創設まで、「僧俗一致・異体同心」の意味が判りませんでしたが、今はその意味が判るようになってきました。

●その後、二〇〇五年に妙願寺は布教所から寺院に昇格、ジャカルタに法清寺が建立されました。
メリンダ
法清寺が建立されて十四年経ちます。新旧の御住職が日々の信心指導、指針を明確に示され、判るまで説明していただけるので、確信を持って正しい日蓮正宗の信心をしている自覚と自負があります。
 幹部・責任者は年に一回は必ず登山するようになりました。新入信者から年配者、青年部も登山の大事を理解し、率先して参加する雰囲気が整い、登山者は年々増えています。
 スラバヤから月に何度も法清寺に来て勤行・唱題に参加したいですし、他の信徒とも時間を共有したい気持ちが増しています。みんながその意識を持てれば、個々の信心の成長も望めると思います。

●昨年は妙願寺創立二十四年でしたね。
メリンダ
一昨年から御住職の御指導を受けて準備を進めました。法要・総会に向けて法清寺で御祈念の唱題会を毎週開いていましたが、来られない人もスラバヤで唱題会を始め、よい影響が連鎖しました。個人も組織も、知らないうちに次のステップに進んでいるように感じました。
 法要当日は、雨期の入りにもかかわらず晴天に恵まれ、国内外から御僧侶も大勢来られ、約二千八百名の信徒代表で盛大にお祝いできました。翌日は場所を総会会場に移し、三つあったグループが初めて合同で行った記念総会を大成功裡に修めることができ、大歓喜で終えました。その余韻は、今も信徒間で話が盛り上がるほどです。
●最後に、今後の目標や展望をお話ください。
メリンダ
 寺院があれば、御住職がいらして御報恩御講も行われ、御指導を直接受けられます。いつかスラバヤにも寺院が建立されるよう、常に祈っています。法清寺に近い信徒は適宜御指導を受けられるので、羨ましくもあります。ジャカルタの友人に時折連絡して、どのような指導があったか聞いたりもします。早くスラバヤに寺院をというのがみんなの望みです。
 全国各地の信徒も同じ願いだと思います。訪問するスマトラ島や他の島の町や村々でも、早く寺院の建立が叶い、御住職から御法主上人猊下の御指南を拝聴し、信心指導を受けたいという声は絶えません。御僧侶の御指導を熱望しているのがよく判ります。
 うまく説明するのが難しいのですが、今は信徒それぞれの、御本尊を拝する姿勢が大きく変わってきていると感じます。総本山渇仰し、本門戒壇の大御本尊様へのお目通りを切望し、御法主上人猊下の御指南に連なる純粋な信心をさらに求めているようです。
 今回の妙願寺創立二十周年を契機に、僧俗一致を確立し、異体同心の広布の主体者としての前進が、拠点のない地域にも広げられると思います。折伏・育成の推進、全世帯に御本尊流布が叶う日をめざして、怠慢を排し日々信心で物事を考え、御住職指導のもと歩みを止めずに前進します。