令和元年9月16日付

まずは信頼築ける家庭訪問から

折伏も育成も諦めないこと

 釜山市は大韓民国の東南端に、また海を除てて日本の対馬島より五十キロメートルほど離れた所に位置する。ソウルに次ぐ韓国第二の大都市で、第一の港湾都市でもある。
そこに釜山布教所がある。
 今回は釜山布教所の西部区域の婦人部長として、日夜信行に励み活躍している李明玉(イ・ミョンオク)さんにお話を聞いた。
●まず自己紹介をかねて、入信の経緯を教えてください。

 中学生になる頃、両親が日蓮正宗の信仰を始め、熱心に信心活動をしていました。両親より日蓮正宗の信仰のすばらしさ、信心の功徳について聞かされて、私も、自然に朝夕の勤行や信心活動を始めました。また、私の家ではほぼ毎週座談会が開かれていましたので、よく体験談を聞いて感動し、そのお陰で信仰を深め、信心を続けていました。

●その後、どうなったのでしょうか。

 一九八四(昭和五十九)年二十五歳の時、当時まだ信心していなかった主人と結婚しました。実家を出てからは惰性に流され、次第に信心から遠ざかって勤行もしなくなり、それまで経験したことのないような問題が、次から次へと起こるようになりました。そのような状況になっても、それが御本尊様から離れてしまったせいだとは、少しも気づきませんでした。
 特にたいへんだったのは経済苦でした。長男の友達の母親にお金を貸したのですが、なかなか返してくれなくて頭を抱え込んでいた時、母が私の所に来て、「信心をやり直しなさい。信心根本に生活していけば、悩みはきっと解決できる」と言ってくれました。
 それを機に、心新たに勤行するようになり、座談会にも出席し、一生懸命に唱題もしました。お陰で、自分の至らない点に気づくことができ、私は変わることができました。
 このことで信心を中心とした生活の大切さを知りました。やはり、まずは毎日の勤行・唱題が大切だと思います。母の言う通り、勤行・唱題をしっかりしていけば、必ず境界は開かれ、祈りは叶うと知りました。
 以来、御本尊様の偉大さを確信して、本格的に信心をし始めました。そして、一九九八(平成十)年に長男と次男が、二〇〇〇年には主人が、総本山で御授戒を受け、一家和楽の信心に励めるようになりました。
 しばらくして主人は勤めていた会社を辞め、建築会社を起ち上げましたが、業績が悪化し、二〇〇八年に廃業しました。この時、日蓮大聖人の、「法華経は毒変じて薬となる」(御書一二九一n)
との御金言を拝し、信心ですべてを解決しようと決心し、唱題と折伏に励みました。その結果、主人も私も勤め先から思いの外よい収入を得られるなど、安心した生活を送れるようになりました。
 そして、主人は二年前より西部区域の区域長として、私は婦人部長として御報恩のため活動させていただいています。

●李さんはこの四年間だけでも七十人以上の方を折伏成就したと聞きました。中でも心に残っている折伏を教えてください。

 信徒会館の最寄りの地下鉄駅で、チラシを配っていた女性を折伏したときのことです。彼女には信徒会館に通う何人もの信徒が声をかけていたのですが、なかなか聞く耳を持てなかったそうです。私が話をする頃には耳を傾けてくれるようになり、みんなが声をかけてくれたことで折伏できたのだと思います。
 聞けば、二十代でご主人を亡くし、その後は他人に騙されたり利用されたりして、他人を信じられなくなっていたそうです。私は彼女の話を聞き、彼女の労を労いました。
すると、彼女がお弁当を取り出し、道端のベンチで食事を摂ると言うので、「ここで温かいものでも飲みながらゆっくり食事してください」と、信徒会館内の私たちが活動の合間にお弁当を食べる部屋に連れていきました。
 そんなことが数日間続いたある日、いつもの所に彼女の姿はありませんでした。彼女への折伏を諦めきれなかった私は「御本尊様、お会いできるようにしてください。必ず彼女を折伏させてください」
と祈りました。
 そして、同じ仕事をしている人に聞いてみると、彼女は別の場所に移されたそうで、その場所を尋ね、ようやく会えました。彼女も私に会いたいと思っていたそうで、互いに「嬉しい」と言いながら、わっと飛びついて抱き合いました。
 その後は、自然と彼女の御授戒へと繋がりました。
●その女性をはじめ、多くの新入信者の育成はどのようにされているのですか?

 とにかく家庭訪問することです。親交を深めて、勤行しないといけないと思ってもらえるようにしています。相手の話をよく聞いて心を開いてもらえるよう、こちらも心を開いて親身になって話を聞き、信頼関係を築くことから始めるようにしています。

●折伏を推進するに当たって心がけていることを教えてください。

 御法主日如上人猊下の、
「折伏は一切衆生救済の慈悲行であり、自らの過去遠々劫からの罪障を消滅して幸せになるための最高の仏道修行であり、そして仏祖三宝尊に対する最高の報恩行であり、また仏様から与えられた尊い使命であります」(大白法 六八九号)
との御指南を身に体し、折伏にこそ信心修行のすべてが凝縮されていると思って、しっかりと唱題して、勇猛果敢に折伏に打って出て、絶対に諦めないで最後までやり続けることです。

●最後に今後の抱負をお聞かせください。

 これまで、この信心のお陰で我が家の諸問題を解決してきました。御本尊様に巡り合えて信心できていることにたいへん感謝しています。
 今後も、仏恩報謝のために一人でも多くの人を折伏していけるよう、御法主上人猊下の御指南を根本に、釜山布教所責任者・慮法泰御尊師の御指導のもと、僧俗和合・異体同心して、精進していきます。