平成29年2月16日付

「折伏育成の年」と銘打たれた本年も一カ月が過ぎた。今号の当欄では、広布を共に語り、共に動き、広布をめざして前進する台湾青年部の活動を紹介する。
 台湾・妙照院の副青年部長として、折伏と育成の両輪を進めることに果敢に取り組み、また、家庭にあっては二児の父親として、仕事に育児に奮闘しがなら法統相続を願い実現すべく前進している楊大億さんにお話を伺った。
●現在、楊さんは副青年部長を務められていますが、入信動機や入信当初から、これまでの信心の体験について教えてください。

 私は二十六歳当時、会社で仕事をしながら博士号取得のため勉強していました。しかし、精神的なストレスから不眠症になり、仕事も勉学も思うようにいかず悩んでいました。そんな時に、同じ大学に通う友人より信心の話を聞きました。
 当初は「信仰は年寄りがするものだ」と聞き流していましたが、一度、連れられるままに台北の本興院へ参詣し、寝る前にお題目を唱えるようにしてみると、不思議と緊張がほぐれて寝付けるようになりました。
 それでも入信を決意するには至りませんでしたが、試験を目前にして緊張も高まってきたときに、初心の功徳について話を聞いたことで入信を決意し、民国九十五(平成十八)年四月に入信しました。その結果、台湾東部の花蓮県にある東華大学のクラスを経て、台湾で一番と言われる台湾大学のクラスに入学することができました。そうした大きな功徳を戴いたことで、毎日朝夕の勤行を欠かさずするようになり、入信から二年後、御本尊様を御下付戴きました。
 しかし、それから後に、博士号を取得するための試験には通らず退学することになってしまいました。そのショックから勤行をしなくなってしまった時期もありました。一年間、毎朝寺院の朝の勤行に参加してから大学の研究室で夜十時まで勉強をして、帰宅後は勤行・唱題するという生活を懸命にしてきたのに「なぜ?」という思いがあったからです。
 台湾南部の実家に戻った時に、信心している友人の誘いで台湾を一周する旅行に出かけました。その時に台湾の各日蓮正宗寺院に立ち寄って勤行に参加し、御僧侶方やご信徒と話す中で、これまでの自分の信心姿勢を見つめ直すことができ自然とショックから立ち直っていけました。結果として、そうした挫折は私の心の目を開くために御本尊様が与えてくださった機会なのだと感じています。



●現在、妙照院で副青年部長として活動されていますが、青年部役員としてこれまで取り組んできた活動や所感について教えてください。

 結婚を機に台北から台湾北東部の宜蘭に引っ越してきて、副青年部長への推薦をいただきました。
 お受けした当時は、本興院での活動と勝手が違うことや、こちらの青年部メンバーと面識がないこともあって苦労もありましたが、だからこそ多くのことを学び、活動課題を多く見つけることができました。
 その一例として、活動していく中で、青年部世代で毎日勤行している人が少ないということに気づいたので、青年部役員会でSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用し、青年部同士で朝夕の勤行をしたら一報入れるという活動案を出して、みんなで声をかけ合い激励し合いながら勤行ができるような仕組みを作りました。
 また、次世代の青年部員の人材を育てていく必要性を感じていましたが、昨年他寺院青年部との交流会を行ったことがよい刺激になったように感じます。そうした会合への参加を通して寺院に参詣するようになった青年部員もいます。それ以外にも、寺院の手伝いや青年部活動へ積極的に参加してくれるようになった人が増えたと実感しています。
 また、昨年の夏には台湾全国の青年部登山が行われました。
 青年部登山では、準備のため何カ月も前から長時間にわたる青年部会議を何度も重ねました。そのため休日の朝早くに家を出て夜遅くに帰ることが多く、朝も夜も子供の寝顔しか見られない日が続いたのは辛かったですが、そうした時期にも妻には子供の面倒をよく見てくれたと感謝していますし、過去最多の参加人数で無事に青年部登山を終えられたときに得られた達成感や充実感、その喜びはとても大きなものでした。下山後の宿泊先のホテルで、参加した妙照院の青年部員で集まって登山の感想を語り合ったのですが、そうした共通の思い出や経験が、青年部の結束をより強くしてくれたと感じます。
 そうした活動を経て、最近では青年部役員で青年部員宅の家庭訪問を実施し、自分たちの実践力を養うと共に、次世代の青年部を担う人材の育成に努めています。
 宜蘭という土地柄、進学や就職で地元を離れて都市部へ移ってしまう青年部員もいますが、地元にいる若い人材を育てていけるよう、今、私たちがそのための受け皿になれればと考えています。

●家庭では昨年二人目のお子さんが生まれ二児の父親となられたそうですが、家庭の法統相続に対する思いなど聞かせてください。

 仕事に行く前の朝の忙しい時間でも、子供と一緒に勤行していますが、それは子供に勤行の習慣を身に付けさせるためで、夫婦で話し合って毎日朝夕の勤行を極力子供と一緒にするようにしています。また、妻も子供を連れて寺院の受付を手伝うように努めてくれています。
 子供の信心姿勢について願うことは、一家で信心しているからといっても子供自身が何か困難に直面してから初めて発心するような信心になる可能性もあります。そうならないために、「信心即生活」という、生活の中に自然と信仰が根付いた環境の中で信心を育てて欲しいということを切に願います。
 また、将来子供が大きくなると学校の成績のことも世間では重要視されがちです。もちろん学業は大切ですが、人格が一番大切だと思っています。仮に学歴が高くていい仕事先に就職できたとしても、人格や礼節を欠いていたら物事はすべてうまくいきません。だからこそ、御本尊様への化儀を含め正しい礼節や報恩を学んでいく信心によって、周りに感謝できる礼儀正しい子に育って欲しいと願っています。

●最後に今後の抱負について教えてください。

 青年部で掲げた年間の折伏目標の達成と、家庭訪問活動の確実な実践で、多くの青年部員を激励し人材を輩出していくことです。
 そして、来年行われる青年部登山には大勢の青年部員と共に登山したいと思っています。