平成28年12月16日付

子供の病に深まる道心
人材の育成で御命題に応える
 イタリア信徒は、大きく三つのエリアに分かれ、南部はローマ、北部はミラノ、そして中部フィレンツェの各都市を中心に信仰に励んでいる。
 今回は、ポッティチェリ、レオナルド・ダピンチ、ミケランジェロなどの著名な芸術家が活躍したルネサンス文化の中心地で、芸術文化が大きく花咲いた歴史あるフィレンツェにおいて、コーディネーター(寺院との連絡、また活動を計画する責任者)として信心に励む、フランチェスコ・ムンチビさんに話を伺った。
●自己紹介をお願いします。
フランチェスコ
 フラッチェスコ・ムンチビと申します。一九八四(昭和五十九)年六月二十四日、二十二歳の時にフィレンツェでの出張御授戒で御授戒を受け、御本尊様を御下付戴きました。現在五十四歳ですから、信心歴三十二年になります。
 私はカトリック系の学校で教育を受け、その教えに基づいた人生も学びましたが、すぐにカトリックで説くところの神の不合理を感じ、それとは違うもの、例えば心理学としての物の見方などを探し始めました。同時に、人生で避けることのできない「死」を意識するように
なりました。ちょうどその頃、大切な友人を交通事故で失ったことがきっかけでした。
 大学では医師をめざして学んでいました。仏法を信仰している学友がいて、仏法の会合へ出るという話をしていましたので、興味があった私は参加させてもらい、日蓮大聖人様の仏法を知ったのです。
 それまでは仏はインドで生まれた釈尊もしくは悉達多という名前だと知ってはいましたが、この会合では日蓮大聖人様が本仏であると言います。「では、今まで読んだ本に出てきた仏は偽物なのか」。その時、彼らは実証の大切さを話しでくれました。
 それから日蓮大聖人様の御書を拝読し、法華経を読み、もちろん御題目も朝夕に唱えました。仏法の道理には何一つ欠陥がないと思うようになり、自然と「この信心を続けていきたい」という気持ちが起こり、入信して日蓮正宗の信仰を持つことを決意しました。

●イタリアでは地域によって人の気質が違うとよく聞きますが、フィレソツェはどうでしょうか。折伏をしていく中で難しい面などありますか。
フランチェスコ
 フィレソツェはトスカーナ地方のメジャーな都市で、十五世紀イタリアルネサンスの中心地でした。芸術文化が盛んでしたが、教皇派と皇帝派との争いがあった街としても有名です。どちらも優位性を誇示し醜い争いをしたわけですが、これは今も変わらないような気がします。イタリアでは、カトリック教徒で神への信頼を寄せている人が多いこと、反対に、物質主義によって人生に価値を見出せない人も少なくありません。こういう人たちに仏法の話をしてもあまり真剣に聞こうとません。これは、欧州各国も同じ状況だと思われます。



●では次に、フランチェスコさんの体験などを聞かせてください。
フランチェスコ
 この信心を続けてきて、御本尊様から多くの功徳を戴いたと実感しています。現在、医師として仕事をしていますが、医師免許を取る試験も勤行・唱題に励みながら合格できました。
 もちろん、すべてが順風満帆ということではありませんでした。しかしいずれの問題も自己の業と捉え、御本尊様への真剣な唱題によって業を変えていくことができるという確信のもとに乗り越えてきました。
 このように自分自身が成長していくことで、今度は他人に信心を勧めていこうとの気持ちが強くなりました。親類や友人、職場の仲間などに声をかけ、自宅に招き、勤行・唱題して折伏してきました。残念ながら未だ入信に至っていませんが、彼らの心に妙法の種を植えることができたと思っています。
 私にはパオラという妻と、長男ニッコロ、長女ルドビカがいますが、全員、入信しています。私も妻も法統相続を心がけて信心をしてきて、二〇〇三(平成十五)年の初めてのイ夕リア総会前に、二人の子供に御授戒を受けさせることができました。
 登山も家族全員で、三度させていただきました。御法主上人猊下大導師の御開扉、丑寅勤行、そして所化・小僧さん方との六壷での勤行。登山ごとに子供たちも何かを感じたことでしょう。
 ところが五年前、突然ニッコロを病が襲いました。甲状腺ガンが見つかったのです。本人も家族にとってもたいへんな時期でしたが、大聖人様が、
「病によりて道心はおこり候か」(御書 九〇〇n)
と仰せの通り、今こそ強盛な信心で乗り越え、御本尊様の功徳を実証していく時と、家族一体となって信心に励みました。幸い医師にも恵まれ、三度の手術と放射線治療等によって克服でき、現在は良好です。
 この時、指導教師であるフランス信行寺住職・中野道賢御尊師に御指導をいただき、特に御秘符を賜ることが叶い、御法主日如上人猊下に御祈念して戴いたことは、たいへん有り難いことでした。ニッコロは現在ローマの大学で学び、朝夕の勤行もしっかり行っています。

●貴重な体験でしたね。では最後に二〇二一(平成三十三)年に向けての決意をお願いします。
フランチェスコ
 中野御住職よりコーディネーターに任命されて以来、信心と仕事を両立しながら活動していますが、御法主上人猊下より賜った「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築」の御命題達成の、さらなるお役に立てるよう引き続き精進していきます。また、常々御法主上人猊下が御指南されます、折伏と新入信者の育成を実践していきます。