平成27年12月16日付

「長の一念」と「異体同心の努力」
使命を果たす方法をつかむ

 法秀院は新北市三重区にあり、台北市と川を一つ隔てた西側に位置し、本興院とは直線距離で八キロの距離にある。台湾の法華講組織は本部、支部、地区、組で構成されており、法秀院には一本部六支部が所属している。
 その中で蘆洲区に居住する信徒が所属する蘆洲支部で支部の主任(責任者)を七年前から担当している王●gさんを紹介する。
●王さんが入信されたときのことと、ご家族について紹介してください。

 一九七八(昭和五十三)年の秋、私は中学二年生の頃に、祖母が折伏されて信心を始めてくれたのをきっかけに、御題目を唱え始めました。その頃、家庭の経済状況は厳しいものでした。私は祖母と一緒に御題目を唱え始めましたが、まだ御授戒を受けていませんでした。
 祖母を折伏した方と祖母が、私の一家四世代、五世帯の家庭の信心の原点です。この二人には深く感謝しています。
 一九八一年、祖母は兄と妹を伴って総本山へ登山し、御本尊様を御下付戴きました。この登山で、兄と妹も御授戒を受けました。そして、祖母が御本尊を御安置してからは、祖母の信仰に反対していた伯母と父も相次いで入信を決意しました。
 一九八九(平成元)年十二月、父に連れられて品川区の妙光寺へ行った私は、そこで御授戒を受けました。そして、父と一緒に初めての登山も叶いました。 現在は、主人と娘と息子と一緒に、毎月の御報恩御講の御逮夜と御正当会に参詣しています。主人の妹は御授戒を受け、御本尊様を御下付戴けることを目標にがんばっています。舅と姑は正直で素直な人ですが、未だ入信はしていません。早く折伏し、妙法の家庭になりたいです。


●台湾では勤行ができるようになってから御本尊下付を申請するそうですが、中でも蘆洲支部は御本尊を受持している信徒の割合が多いと聞きます。しかし、三重区蘆洲区周辺は離脱僧と縁のあった人が多く、法華講の組織になじめない人もいたそうですね。王さんは、どのような心構えで主任を引き受けたのですか。

 二〇〇九年に新北本部蘆五支部の主任に就いたとき、娘は四歳、息子は二歳半でした。主人は役職を担当することに対して何も言いませんでしたが、他の家族からは私がクレージーだから役職を受けたと思われました。青年部時代に支部長を担当したことがありましたが、まだまだ未熟で、主任を全うするには力不足を感じていました。
 就任一年目は心構えが消極的でした。各法要(御講、支部勉強会、地区唱題会)の低い出席率や折伏が弱い状況の解決策が思い浮かびませんでした。「どうして皆は前御法主日顕上人猊下の『一人が一人以上の折伏』という御指南に随えないのか?御指南に随えば折伏目標はすぐにでも達成できるのに?」と思っていました。結果として、第一年目は折伏目標を達成できませんでした。
 二年目は、講員さんが実践しないのであれば、自分の力を尽くして各活動を推進しなければならないと考えました。しかし、「一人の百歩より百人の一歩」ということを見逃していました。相変わらず支部の異体同心を築けず、支部で六十人ほどの折伏ができましたが、目標には届きませんでした。御本尊様から与えられた使命を果たせず法秀院御主管・長谷玄雄御尊師の期待を裏切って、二年連続で目標を達成できなかったので、役員会でも顔を上げることができませんでした。自分には主任が無理なのではという懐疑も生じましたが、御主管は「蘆五支部はきっと二〇一一年には目標を達成できる!」と深く信じてくれました。この厚い信任に対し、必ず達成するため、広宣流布のために努力しようという決意が涌きました。そして、支部の地区長と組長や青年部役員たちと力を合わせ、一体となって精進した結果、ようやく二〇一一年九月にその年の折伏目標を達成できました。
 この三年間、私一人の力は変わりません。蘆五支部を変えたのは、役員たちの異体同心による団結の力でした。異体同心は観念ではなく、実践の中にあると実感しています。法華講員の使命を実践する唯一の方法は、長の正しい一念と異体同心の努力だと理解させていただきました。



●ご家族の協力もあったと思いますが、特に留意したことはありますか。

 主人はいつもできる範囲で私を支えてくれています。二年ごとの役員改選の時には「主任を辞めて欲しい。他の人に替わってもらってはどうか」と言いますが、私は、「御本尊様から辞めるように言われるまで担当し続けます」と答えています。
 蘆五支部は二〇一五年に二つの支部に分かれました。私の所属する蘆洲支部は約九百名です。昼は仕事があるので、支部活動はほとんど月曜から金曜の夜に行います。毎週の土曜、日曜に寺院参詣するほか、毎週、少なくとも二回の支部唱題会と勉強会に参加します。ですから、主人や子供たちと一緒に夕食を食べられないことが当たり前になりました。
 いつの間にか、娘は小学六年生、息子は小学三年生になりました。主人が黙々と支えてくれ、子供二人の世話を実質的に手伝ってくれていなかったら、私は役職を全うできません。一家四人が毎日を無事に楽しく過ごせるという御本尊様から賜った功徳に比べ、家族が御本尊様にできる御報恩は小さなものです。


●最近は毎年、折伏目標も完遂できるようになりましたが、どのような努力をされたのでしょう。

 先ほど申し上げた主任担当以来の経験から、個人の努力には限界があると判りました。たとえば、二〇〇九年と二〇一〇年との二年間、私は毎年少なくとも百日以上、毎日連続三時間の唱題で折伏推進を御祈念しましたが、折伏は思うように進みませんでした。当時の私が異体同心という大切なことを見落としていたからです。役員全体に達成のための自覚と努力がなければ、何事も成就できません。
 私は徐々に「目標を必ず達成し、御本尊様を裏切らないようにしよう」と思うようになり、役員に折伏対象者を出していただき、一緒に折伏するようになりました。車が必要であれば、誰かにお願いして車を手配して一緒に行きます。今は役員の育成研修会も毎月一回は行い、そこで『正しい宗教と信仰』という本を読み、折伏の場面でよくある問答を勉強します。
 地区長と組長の努力を思うとき、私にはすばらしい広布の同志がいるのだと思えるようになりました。そのような皆さんに報いるためにも、主任の役割を果たし、御主管の指導に従い、いつも公平な態度で支部の講員に接していこうと思います。そして、蘆洲支部は今年も必ず折伏目標を達成するよう、精進してまいります。


●人材育成について心がけていることを教えてください。

 信心活動に喜んで参加する講員は、皆広布の人材です。相手に百パーセントの信頼を寄せて任務を与え、時間をかけて育成すれば、御本尊様の御照覧と導きのもとに、必ず全員が広布の人材に成長すると確信しています。
 毎月の支部役員会で、役員の活発な意見交換と合議によって支部の事柄を決定します。そして、皆で決めたことを皆で実践します。
 組織の発展を時間という視点から見れば、少年部と青年部は法華講組織の未来です。私は、特に少年部と青年部の講員の名前と顔をちゃんと覚えておくよう心がけています。そして、毎月の御逮夜御講と御講の時に、彼らの名前を呼んで笑顔で挨拶しますので、彼らも私のことを覚えてくれ、今後も喜んで参加するようになると信じています。また、青年部の役員は皆、情熱があります。彼らは組織での活動経験は少し足りないかも知れませんが、経験を積むことによって必ず優秀な人材になると期待しています。


●最後に、将来の夢と法華講発展に対する希望を教えてください。

 個人としては、親族の中で未入信の舅、姑と自分の弟を早く折伏し、大御本尊様の大慈大悲と書びを戴けるように願っています。支部については、蘆洲支部が皆素直な信心の姿勢で、折伏と育成と御供養を実践していけるようになることを願っています。
 御本尊様と共にいられることを喜び、役職・使命を与えていただいたからには、必ず広宣流布のために最後まで努力していきたいと念願しています。