平成27年11月16日付

参詣の不便も工夫で乗り越え
一騎当千に成長し寺院建立を

 カリブ海の南に浮かぶトリ二ダード島とトバゴ島の二つの島から成るトリ二ダード・トバコ共和国。御僧侶の常駐していないこの国の信徒は、二ユーヨーク妙説寺所属の信徒として、寺院建立と御僧侶の常駐を大きな目標として信心に励んでいる。
 今回紹介するウィネット・ヘアウッドさんは、現地の法華講で地区長をされている。
●入信の動機、そして入信によってどのような変化があったかを聞かせてください。
ウィネット
 私はイングランド教会の敬虔な信徒であった両親のもとに生まれ、キリスト教徒として厳しく育てられました。
 通信会社の人事部で働いていた二十七年前のある日のこと、総務部長から仕事のほうはどうかと尋ねられたのですが、すべてが順調であるにもかかわらず、思わず部長の前で涙が出てしまったのです。それは、私が当時、本当に幸せとは言えない境界だったからです。私は怒りっぽく、いつも漠然とした虚しさを抱えていました。
 部長は私に、「この御題目『南無妙法蓮華経』を唱えていけば必ず気持ちが落ち着きますよ」と言って、私を会合に誘いました。そこで聞いた「業」や「因果」の概念はキリスト教にはないもので、たいへん感銘を受けました。その日から、私は唱題を始め、勤行を学びました。
 そして一九八九(平成元)年八月、御授戒を受け、御本尊様を御下付戴き、それからは毎日、勤行を欠かさず行い、御題目も昼夜を問わず唱えました。やがて、それまで抱えていた空虚感などが徐々になくなっていくのを感じました。私は教えられたままに、御本尊様をすべての面で第一とし、仏道修行を生活の中心に据えていったのです。
 今では私の人生のあらゆる面で、功徳の花が咲いていることを確信できます。


●常駐する御僧侶がいない中、どのようにして信行を錬磨していますか?
ウィネット 
 現在、ニューヨーク妙説寺の所属となっていますので、御住職・滝川信雅御尊師が一年に数回、トリニダード島に来てくださり、直接指導を受けられます。また、毎週日曜日には、インターネット回線を利用して妙説寺で行われる会合の様子が、今、拠点としている法華講会館に中継されるので、御住職と共に勤行し、御法話も拝聴します。
「日蓮正宗マンスリー(アメリカ日蓮正宗寺院発行の月刊誌)」も最大限に活用しています。掲載されている体験談を出席者で読み合わせ、御本尊様の仏力法力の現証として、自他の信心を鼓舞しています。


●かつてイギリスなど他国に統治され、またインド人など他民族が労働力として入植した歴史から、ここには様々な宗教が混在しているそうですね。
ウィネット
 はい、家族の中で信じるものが違うということが珍しくありません。このため、私たちの話を素直に聞いたり、法華講会館にお連れすることは比較的容易ですが、宗教なら何でもよいという考え方が横行していて、謗法厳誡の日蓮正宗の信徒になるのが簡単ではないのです。こんな時には一緒に御題目を唱えて、まずは御本尊様の御力を感じてもらえるように努めています。



●本年奉修された日興上人御生誕七百七十年奉祝記念法要には六名の代表信徒が登山されました。貴国からの登山にはどのような困難が伴いますか?
ウィネット
 登山は本当にたいへんなんです。日本は、私たちの国からすると地球の反対側ですから飛行距離がとても長く、それに伴い費用も非常に高いです。登山費は三千ドル(約三十万円強)を超えます。国の経済力がそこまで高くないので、個人にとっても厳しいです。費用の捻出は簡単ではありません。
 また、直通便はないので、本年四月の登山の際には、二人の信徒はいったんロンドンへ行き、ロンドンからイスタンブールを経由して三十六時間かけて成田空港に着きました。
 さらにはビザの問題もあります。日本はもちろん、米国やカナダ等を経由する際はそれぞれの国のビザも事前に取得しておかなければなりません。それも煩雑な作業を伴います。もし願いが叶うならば、来世は北海道でも沖縄でもいいから日本に生まれたいです。


●最後に宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年に向けての決意を聞かせてください。
ウイネット
 私たちトリニダード・トバゴ法華講は、滝川御尊師の御指導のもと、毎年折伏目標を完遂してきました。これからも折伏に果敢に取り組み、トリニダード・トバゴの明るい未来のために、次世代の強い法華講員を育てていきます。
 そして法華講創立当時からの悲願である、寺院建立・御僧侶常駐を近い将来に達成できるよう、講中一致団結し、努力していく決意です。