平成27年2月16日付

 昨年、総人口が一億人を超えたフィリピン。出生率に止まらず経済成長率も増加傾向にあり、それを象徴するように、昨今は街の至るところに新築の槌音が絶えず聞こえ、明るい未来を期待させる。
 そうした発展ぶりが目立ち始めたのは、四年前に御法主日如上人猊下がフィリピンに御来訪された頃と時を同じくする。御親修を転機として、
フィリピン法開寺信徒にも新たな人材が輩出されつつある。
 今回ご紹介するのはそのうちの一人で、寺院スタッフとして、また「折伏推進委員長」として日夜信行に励むロデリオ・ラグマンさんである。
●二〇一一(平成二十三)年一月の御法主日如上人猊下御親修の少し前の入信だそうですね。
ロデリオ
 ある日、勤めていた警備会社から「仏教施設の警備を三日間」と指示されたことが、私が御本尊様に巡り合うきっかけになりました。
 御住職・山澄信玉御尊師が信徒と毎日唱題行されているのを眺めながら、人生で初めて耳にする「ナン・ミョウホウ・レンゲ・キョウ」の声に、「繰り返し唱えているあれは何だろう。どうしてカトリックのように日曜日だけでなく毎日なんだろう」と不思議に思い、興味を持ったのが始まりでした。毎朝仕事が終わるたび、勤行を終えた御住職からいろいろ説明していただきました。これまでキリスト教会でも警備をしたことがありますが、その時とは全く違う印象を受けました。
 初めて御本尊様を拝してから二カ月後、改宗を決意しました。
 それから四カ月後に御親修があり、警備員として御法主上人猊下をおそば近くで拝せたことは、私の一生の思い出です。
 その後、程なくして会社を辞めることになったのですが、有り難いことに御住職に勧められ、以来、寺院の従業員として勤めています。

●入信して変わったことなどがありましたらお話ください。
ロデリオ
 この信心を始めてからたくさんのことを学んでいますが、最初に教わったのは「(積極的に)祈る」ということです。何事にも受け身で無気力だった生き方を変えることができました。
 入信以前、酒乱で問題を起こしてばかりいた私の生活は一変しました。私自身より周りの人たちのほうが驚くほどです。結果がはっきりと現われるこの信仰は、本物だと確信できました。
●他にはどのようなことを感じましたか。

ロデリオ
 折伏が大事であることです。また、そのやり方も学び、入信して間もなく、家内を折伏できました。その後、警備会社の同僚、お寺の工事に来ていた建設会社の作業員、アイスクリーム売りの男性にも折伏しました。また、私の子供たちや孫全員、母親、義理の母、甥、姪、それから近所の人たち、時にはお寺の前を通り過ぎる方にも声をかけるなどして、入信して四年間で百名以上の折伏を成就できました。
 御住職は「折伏とは自分の積んだ功徳を他の方にも分けてあげられるすばらしい行為です」といつもおっしゃいます。それなら難しいことが判らない私にもできます。御本尊様に真心を込めて祈れば必ず叶う。だから、私は折伏をしている時、いつも幸せです。

●素直に信行に励んで、順調に功徳を積んでこられたようですね。
ロデリオ
 しかし、人生が変わり始めたと思った矢先、足をすくわれる出来事に襲われました。二〇一一(平成二十三)年十一月十三日の御講参詣中、自宅がもらい火で全焼してしまったのです。お寺から家に帰り着いたとき、跡形もなくなった自宅を見て呆然としてしまいました。
 翌朝、私はお寺の御本尊様の前で泣き崩れてしまいました。突然の悲劇になす術もない私に、御住職は「家族全員でお詣りしていたからこそ誰一人失わなかったではないですか。物はすぐに戻ってきます。それほど嘆くことはありません」と励ましてたくさんの物資を支援してくださいました。そのお陰で、私は困難を乗り越えられました。御本尊様に、御住職に、感謝申し上げます。
 新しい我が家は、小さいながらも家族を守るには十分です。家族の生活も元通りです。
 何より嬉しいことは、二〇一三年三月八日、私の四十二歳の誕生日に御本尊様を御安直していただくことができたことです。何か問題があっても御本尊様のもとに家族全員が集まり助け合うことができますので、以前のようにパニックになることがなくなりました。

●夢にも思わなかったご登山が叶いそつだと伺いました。最後に、登山参詣への思いと今後の決意をお聞かせください。
ロデリオ
 御入仏に来てくださった御住職から「あなたは奇しくも日興上人様と同じ誕生日ですね。御報恩のため、二〇一五年にはぜひとも、登山参詣を叶えましょう」と新たな目標をいただきました。
 しかし、私たち一般的フィリピン人にとって、就労目的以外で海外渡航するなど夢のまた夢の話です。人生でパスポートを持つことすら想像もしていなかった私は、最初は戸惑いましたが、手続きを始めることにしました。
 ところが初めの一歩からつまずいてしまいました。申請に必要な出生証明書(日本の戸籍に相当)に全く別人の名前が記録されていたのです。考えられない事態でした。解決のため、私は山のような書類を揃え何度も関係各所に足を運んだのですが、一年以上かけてもなかなか話が前に進みません。つくづく、思い立ったらいつでも何度でも総本山に参詣できる日本の皆さんは幸福だと思います。
 年明けにマニラ市役所に行った際、ようやく糸口が見えてきたのですが、そこで気を抜いたのが災いしたのか、今度は財布と身分証を紛失してしまいました。
 あとからあとから「これでもか」と起こる出来事にすっかり意気消沈した私を見て、御住職は「大きな功徳を積む前にはいろいろな妨げが起こるものです。これもあなたが正しく信仰している証拠ですよ。必ず解決できます。どうぞ自信を持ってください」と笑顔で励ましてくださいました。
 それからは、己の宿業の深さを素直に受け止め、必死に唱題し、罪障消滅を真剣に祈っています。
 結果はすぐに現われ、ようやくパスポート申請ができる段階まで辿り着けました。
 残念ながら日興上人様の奉祝記念法要には間に合いそうにありませんが、何としても今年中には初めての登山を実現させたいと思います。そのため、勤行・唱題、御講参詣の呼びかけ、そして折伏にさらにがんばります。(編集部註‥ロデリオさんの今年の折伏目標は二十名)
 この信心のお陰で、夢にも思わなかったことが叶います。こんなに有り難いことはありません。