平成20年10月16日付


 マレ−シアは、一九九九年十二月に布教所が設立された。現在、布教所には七千名を超える信徒が所属している。布教所の信徒の九十パーセント以上は中国系で、残りはインド系である。
 布教所は首都クアラルンプールから五十キロほど離れたクラン市にあり、信徒の半分以上はクラン市を中心に点在している。また、北部のペナン州、南部のジョホール州でも信徒は活動に励んでいる。
 今回紹介するリー・ションさんは二十五歳ながら、南部方面の責任者として信頼も厚く、現地信徒と共に信心活動に励んでいる。
●リーさんは、まだ年が若いですが、どのようにして現地信徒からの信頼を得たのですか。
リー
私が責任者になったのは昨年初めでした。当時はまだイポー市(クラン市から二百キロ北方にある都市)で大学に通っていました。
 当初は、南部の信徒とほとんど面識がなく、どのように接していけばよいか判りませんでした。六月末から七月末の一カ月間、大学の期末休暇を利用して信徒宅に泊まりながら共々に活動を行い、信頼関係を構築しました。
 この間、五件のお宅に泊まらせていただき、一緒に勤行して信心の状況や家族の状況を、より理解できるようになりました。

●特に心に残ったご家庭はありましたか。
リー
はい、大家族で三十人ぐらいが同居しているお宅では、家族の誰かに問題が起こると家族全員で唱題会を行っていました。一家和楽の信心を実践している姿に感銘を受けました。
 また、ジョホール州ポンティア地区の責任者は、社会的地位も高い地元の名士の一人でもあるのですが、どのような家庭でも分け隔てなく訪問して激励される姿に感動しました。

●一カ月間の滞在の後は、どのように信徒を激励したのですか。
リー
卒業試験や就職の準備に忙しかったので、八月は電話連絡が主でしたが、それでは不十分と感じ、布教所で御報恩御講が行われる週以外は、ほぼ毎週末、ジョホール州に通うようにしました。

●クラン市からジョホール州は三百キロありますが、どのようなスケジュールで行くのですか。
リー
原則的には土膿日の朝にクラン市を出発、昼過ぎにジョホール州に着いて、それから活動します。その日は現地に宿泊し、翌日の昼まで活動して、クラン市に帰るという行程です。
 片道の所要時間は、バイクで六時間から七時間、乗り合いバスだと六時間、車で四時間半です。

●特に印象に残った人はいますか。
リー
ある婦人は、引っ越しをして当初は近所に知り合いもなく不安な日々を過ごしていたのですが、現在は熱心に会合に参加し、信心活動に励んでいます。先日も電話で激励したのですが、反対に励まされてしまいました。
 また、ある親子は今年から毎月必ず御講に参詣することを決意しました。ジョホール州からは御講参詣のバスを仕立てて来ることが多いのですが、バスを仕立てられない月もあります。そのような場合でもこの親子は御講に参詣しています。

●特に印象に残っている折伏について教えて下さい。
リー
メンバーの紹介で二人姉妹に出会いました。この姉妹はとても素直で、二回目に出会ったときには一緒に唱題をし、三回目に会ったときには入信を決意しました。
 御授戒を受けてからは、積極的に参加して、すぐに読経もできるようになりました。お姉さんには、甲状腺機能亢進症の持病があったのですが、昨年末、突然症状が悪化して州の病院に入院しました。診断の結果は絶望的で、医者から為す術がないと宣告されてしまいました。しかし、姉妹には、決し諦めずに唱題を続けるようにと激励することしかできませんでした。
 その後、国立病院に転院したのですが状況は変わらず、集中治療室に入って三週間が経ちました。ちょうどこの時、この病院で開かれる学会参加のために、シンガポールから一人の医者が来院しました。彼は甲状腺機能亢進症の権威で、適切な治療方法を指示してくれました。お陰でお姉さんの症状は改善し、現在は通院で投薬治療を続けています。私の別の友人が同じ病気で入院して一週間で亡くなってしまったので、彼女は本当に御本尊様に守られたのだなと強く感じています。
 現在、この姉妹は自分たちの親を折伏することを一番の目標としてがんばっています。
●マレーシアでは、七月二十日に決起大会を二千名以上の参加で開催されましたが、リーさんも手伝ったのですか。
リー
全体の進行の副責任者をさせていただきました。重大な責任を果たすことができ、よい経験になったと思っています。
 大会の真の成功のためには日常の信心が大切であり、普段の唱題において真剣な祈りが必要であることを痛感しました。

●特に印象に残っていることはありますか。
リー
 リハーサルの際、スムーズに進行できずに、理事長から厳しい指導がありましたが、そのことによってマレーシア広布にかける真剣な思いを教えられました。
 また、パフォーマンスは五つの演目があり、各自で練習をしてきたのですが、最初はバラバラでした。しかし、最終的には信心を根本に見事に統制の取れたパフォーマンスができました。
 当日音響係として、楽曲を担当していた際、誤って違う音楽を流してしまったのですが、演者が動揺することなく正しい音楽が流れるまで姿勢を崩さず待っていた姿に感動しました。日常の信心の大切さと、彼らの努力の結果であることなど多くのことを教えられました。
 また、大会に参加した私の友人二名は、まだ来年の登山の参加を決意していなかったのですが、大会後、登山の申込登録をしたいと言ってきたのです。大会は成功したと、実感しました。

●最後に、明年の総登山への決意を聞かせてください。
リー
個人としては、家族全員で登山したいと思っています。
 また南部方面の責任者としては、まずは本年の折伏誓願目標の達成です。さらに、登山に参加するすべての人が御法主上人猊下よりの御命題である、地涌倍増と大結集を実現するために、唱題を根本に信心に励み、真に歓喜の登山をしたいと思っています。