平成19年4月16日付

  妙行寺は、アメリカ中西部の中心として古くから栄えてきたシカゴの地に、一九八一(昭和五十六)年に建立された。管轄地域は、南はメキシコ湾に面したルイジアナ州ニューオーリンズから北はカナダと国境を接するミネソタ州までの、アメリカ大陸のほぼ中央を南北に縦断する地域である。その総面積は日本の国土の約七倍、南北の距離は約二千六百キロメートルにもなり、信徒はシカゴを中心に各地に点在している。
 お寺から遠く離れた地域の法華講員は、どのように信心に励んでいるのか。妙行寺から約九百キロメートル、車で約十時間かかるミネソタ州イーグルベンドに在住の、レイトン・フォンテイン氏にお話を伺った。
●長年、信心してこられて、最大の功徳と感じていることは何ですか。
レイトン
 私と妻は、一九六五(昭和四十)年六月に入信しましたが、最大の功徳は、本門戒壇の大御本尊様の偉大な力に触れることです。これに代わるものは何もありません。
 私たちはこれまで、健康、人間関係といった多くの問題を信心によって乗り越えてきましたが、何といっても御本尊様に出会えたことが、最大の功徳だと思っています。

●では、入信後、今に至るまでのことをお聞かせください。
レイトン
 私たち夫婦は、ここアメリカで創価学会がNSA(日蓮正宗アメリカ)と言われていた時代にサンフランシスコで信心を始めました。しかし、時が経つにつれ、創価学会の指導体制に不純なものを感じるようになりました。さらに、知らず知らずのうちに自分たちもその不純な体制の中に取り込まれてしまっていることに気付いたのです。
 私は、入信の翌年に初めて登山して大御本尊様に御目通りしたときに感じた純粋な感動と心から沸き上がる感謝の念を、どうにかして取り戻さなければならないと思いました。大御本尊様だけは偽りなく確かなものとして、私の心に宿っていたのです。
 学会の指導体制と現在の自身の信仰は、正しい信仰とはかけ離れたものであると結論付けるに至り、一九七五年に私たちは学会から離れ、現在の住まいであるミネソタ州イーグルベンドに居を構えました。そして、学会指導部が、正法からの逸脱に気付くことを期待していました。
 学会とのつながりを断った私たちは、御本尊様を頼るしかありませんでした。御僧侶と連絡をとる術もなく、接触することも難しい状況でした。ほとんどの学会幹部が御僧侶に対して軽蔑した態度で接していたことが、結果として多くの一般信徒を御僧侶から遠ざけていたからでした。
 当時、私たちにできたことは、日々の勤行・唱題教学の研鑚と子供たちへの法統相続に努めることだけでした。このような状態が、十六年間続きました。
 しかし、今回の学会問題勃発のとき、学会から離れていたことが幸いし、即座に法華講員となることができました。現在、五人の子供たち、さらに六人の孫たちも皆、法華講員となっています。
●今お住まいの所は、州の中心ミネアポリスから約二百五十キロメートルと、たいへん遠隔で孤立した印象です。このことは信行を進める上に影響していますか。
レイトン
 困難な事柄は多数ありますが、徐々に変わってきています。
 イーグルベンドは、人口五百人の小さな農村です。また、たいへんキリスト教の因習の深い土地柄でもあります。
 この地に越してきた当初は、多くの住民たちから、いかがわしい異教徒あるいは悪魔崇拝者とのレッテルを貼られ、蔑みの目で見られました。この土地の人たちは皆、キリスト教の教会へ行くことが、当然の義務にも似た絶対的なものと受け止めているのですから、彼らにとって異教徒である我々は冷たい視線にさらされるなど、辛い思いをしました。
 しかし、地域住民と、心の交流を心がけることで少しずつ状況が変わり、今では地域の一員と認められるようになりました。
 それでも、依然として折伏に時間がかかる状況が続いていることは否めません。例えば、私たち夫婦は、一人の地元の友人を折伏するのに十九年もかかりました。この方は入信後、直面した様々な困難を信心で乗り越え、今日まで七年間、地道な信仰を持続しています。
 長年、ミネソタ州の都市部を除く地域、及びノースダコタ、サウスダコタの両州を合わせた広大な地域に、法華講員はわずか二世帯という状態が続いていました。しかし、近年この地域の法華講員が八世帯へと増えました。決してめざましい進展とは言えないかも知れませんが、私たちはこの着実な成長と、何にもまして共に集い唱題する法華講員の同志がいるという事実に、感謝の念でいっぱいです。

●この着実な成長に至った原因は何だと思いますか。
レイトン
 唱題の実践とシカゴ妙行寺へ参詣してお寺とのつながりを持ち続けること、この二つが重要な要素だと思います。一日一時間の唱題と、片道九百キロメートルの妙行寺参詣を継続することにより、私たちは、日蓮正宗の仏法僧の三宝様につらなり、成仏への道を法華講の同志と共に歩むことができると思っています。
●どのくらいの頻度でお寺に参詣していますか。
レイトン
 通常月に一回、御報恩御講が奉修される週末に二泊三日の日程で参詣します。妙行寺までは車で片道約十時間の道のりです。冬場の雪や路面凍結で道路の状態が悪くなるときはさらに時間がかかります。しかし、寺院参詣はお寺とのつながりを維持する極めて重要な仏道修行です。妙行寺の管轄地域に住む多くの法華講員が、長い道のりを同じように参詣しています。

●妙行寺に参詣することを大切に思う理由は何ですか。
レイトン
 大御本尊様につながり、信心を深めていくためにはこれ以外に方法はないからです。私は、たくさんの日蓮正宗の書籍や出版物を読みますが、御僧侶と共に唱題し、御僧侶から学ぶ以外に、正しい仏法を本当の意味で理解することはできないと思っています。
 日蓮正宗の御僧侶を師と仰ぎ御指導のままに信行するところに、御法主上人猊下、大御本尊様へとつながり、初めて仏法を正しく実践し理解できると思います。

●最後になりますか、これからのあなたの決意をお聞かせください。
レイトン
 大きなことではありませんが、今まで継続してきた仏道修行をこれからも弛まず続けていきます。さらに、御命題の「地涌倍増」と「大結集」達成へ向け、地道に精進を積み重ねます。
 具体的には、御法主日如上人猊下が常に御指南あそばされているように、「動く」ことに尽きると思っています。それによって妙行寺がさらに発展し、清浄な仏法の学びの道場、正法修行の道場として地域の人々の心のオアシスとなることを心から願っています。