平成18年10月16日付

 アフリカ大陸唯一の日蓮正宗寺院である法華寺には、ガーナ国内の約千八百人の信徒をはじめ、トーゴ、コートジボワール、ナイジェリア、べナン、エチオピアの六カ国にわたって、合計約二千五百名の信徒が所属し、アフリカ広布のため、日々精進している。
 ガーナは、法華寺のある首都アクラ市でも中心部から一歩出れば、電気や水道も普及していない。日本とはずいぶん違う生活環境の中で、たくさんの信徒が御本尊様を信じ、御法主上人猊下の御指南のもと、日々信行に励んでいる。
 今回、お話を伺ったコジョ・工二ム・バイニーさんは、一九九八(平成十)年二月に法華寺が建立された当初、お寺のすぐ裏に引っ越した信徒の中の一人で、寺院の外護と法統相続のために昼夜惜しまず努力してきた。現在も法華寺の支部幹事として先頭に立って精進している一人である。今年の七月には、人口五百名ほどの村で一度に十名が御授戒を受けた。入信以来二十五年間取り組んできた「親戚すべての折伏成就」の誓願の完遂をめざして、一層の努力を続けている。
●今回の御代替慶祝登山に法華寺から三十二名の方が登山されたとお聞きしましたが、登山を通しての所感をお聞かせください。
バイニー
 参加者の半数以上が初めての登山ということもあり、費用の工面も含めて、無事に登山が終えられるまでは筆舌に尽くし難い苦難がありました。しかし、貴重な法要に参加させていただけた喜びと、これに伴って開催された海外信徒総会で、御法主上人猊下の御前でアフリカからの登山者全員でパフォーマンスを披露できたことは、私たちの絆をより強くしてくれました。
 みんなが登山したいと思っていても、経済的な理由から全員はできないのが現実です。登山費用を準備するためには、財産を売るか、何十年もかけて貯金するしかありません。また工面できたとしても、集団で他国に入国のための査証を取得することが難しいのです。このように、いろいろなことが大きな壁となって立ちはだかっています。
 ですが、壁が高ければ高いほど、一切を解決して総本山への登山を果たした人の成長には目を見張るものがあります。私もそうでしたが、本門戒壇の大御本尊様に御目通りする度に、この日蓮正宗が本当に正しい宗教であるとの確信が深まり、信仰心をさらに奮い立たせ、もっとがんばろうと改めて決意させられます。また、経済的な問題も不思議と解決されています。総本山への渇仰恋慕の気持ちから、深く決意し、その決意を持続することが一番大切だと思います。
 私も何とか、妻と子供三人全員で登山できました。経済的な問題は全く残らず、家庭内の信心がより一層堅固になったと御本尊様に感謝しています。
 特に今回の登山で深く感じたことがあります。それは、心を一つにして御題目を唱える私たちは、文化や人種の違いにかかわらず、僧俗和合、異体同心しなければならないこと。私自身の役割を、もう一度しっかりと考え直すこと。広宣流布への基礎を築くためには、まず法統相続を成し遂げ、家族と共に信頼し合って歩んでいくことなどです。
 今、法華寺では、来たるべき「『立正安国論』正義顕揚七百五十年」の大佳節に、アフリカから百名以上で登山できるようにがんばっています。大御本尊様への御報恩謝徳のために、私も必ず家族全員で登山すると決意しています。
●このたび故郷で、一度に十名の方が御授戒を受けたとお聞きしましたが。
バイニー
 はい。七月に、アティエクという私の故郷で、親戚七名と友人三名の計十名が御授戒を受けました。
 私の両親は、貧しい中、子供の学校教育を最優先にしてくれたため、今の私があります。その恩返しのために、何とか折伏したいと願い、励んできました。父の死後、母は故郷のアティエクへと戻りましたが、母の折伏成就にはいたっておりません。ただこの母を折伏したいという願いからの活動が、このたびの折伏成就へとつながりました。
 私はアティエクへ帰る度に、友人と共にお厨子を持参し、到着するとすぐに勤行・唱題を始めます。また、村人への折伏にも励みました。しかし村人や親戚は、興味は示すもののすぐに入信する人は誰もいませんでした。
 そんな折伏の最中、アクラ市内に住んでいた私の甥が故郷に帰ることとなり、初めて故郷にも御本尊様を御安置することができ、安定した拠点となりました。
 私自身の入信当初の経験として、勤行のリズムや唱題の声に、とても強い感銘を受けたことを覚えています。その私の経験と同じように故郷の村人たちも勤行のリズムや御本尊様を信じて発せられる唱題の声を聞いて、御本尊様のもとに集まってくると確信しています。
 その結果として、故郷に住む七名の親戚と三名の友人が御授戒を受けると決心しました。さらに有り難かったことは、この村に初めて日蓮正宗の御僧侶が訪問してくださることとなりました。
 当日、甥はもとより、入信者十名のほかに、関心を抱いた新来者十五名を含む計二十六名の出席を得て、この村で初めての御授戒が盛大に行われました。その後、新たに五名の入信希望者が出てきています。
 このように着々と正法へと導かれている喜びをさらなる実践へとつなげて、来年末までに、さらに四世帯の御本尊様御下付と、総勢三十名以上になるように努力しています。私たちの度重なる故郷への訪問は、村人たちに正法への縁を結ばせることにつながっていると確信します。そして私たちの振る舞いにより、異体同心と折伏の重要性について理解を深めているとの手応えもあります。
●今後の決意をお聞かせください。
バイニー
 私の母は既に七十歳を超えています。一緒に御題目を唱えることはあっても、まだ邪教への執着があるため、御本尊様を信じることができません。しかし、母への恩返しのために、絶対に折伏をあきらめません。どのような障害が起ころうとも、誓願完遂に向けて一貫した毎日の努力を続けていきます。
 私たちは、毎日の勤行・唱題を通して心から御本尊様に御祈念し、忍耐強く目標完遂に向かって一つずつ進まねばなりません。この絶え間ない活動なくして、真の世界平和はありえません。すべての人類に三大秘法を弘めていくほかに、私たちの使命はないのです。
 今後もより一層、法華寺の同志と共にアフリカ広布のために邁進し、まずは故郷の村全体を折伏すべく、さらなる努力をしていきます。