平成18年9月16日付

 現在オーストラリアでは、メルボルン、シドニー、コフスハーバー、ゴールドコーストの四地域の信徒宅を拠点として座談会等の信心活動を行っている。
 SGI(創価学会インターナショナル)破門後、宗門に教導を求めてきた現地信徒の願いにより、平成九年から宗務院海外部の御僧侶がオーストラリアに赴き、現地状況の把握から、信徒の指導・育成を図り、現地在住信徒と共に、オーストラリア広布に向けた活動を展開している。
 今回は、メルボルン市在住の中野タカ子さんにお話を伺った。
●日蓮正宗に入信されたのはいつですか。
中野
 私が御授戒を受けたのは昭和五十三年です。当時、広島県呉市に住んでいた私たちの家族は、一家和楽の信心をめざし、家族全員で入信いたしました。残念なことに私たちが所属したお寺は、現在は自称正信会の僧侶によって不法占拠されております。

●オーストラリアに、いつどのような経緯で移住されたのですか。
中野
 昭和五十五年の日本では、企業家やオーストラリア人との婚姻者がオーストラリアに移住することはありましたが、一般市民の移住は稀でした。
 私はオーストラリアに興味がありましたので、永住権の申込みをしましたところ、後日オーストラリア大使館から自宅に電話があり、東京まで家族七人で、面接に行くことになりました。そして、幸いなことに永住ビザを取得でき、翌昭和五十六年に移住いたしました。

●オーストラリアに移住された当時のことをお聞かせください。
中野
 オーストラリアでは日本食レストランの経営と、国外からホームスティで来た方の受け入山などをしておりました。
 もともと私は創価学会の体質に嫌悪感を抱いでおりましたので、創価学会の友人を作ることは避けておりました。日蓮正宗のお寺もなく法華講員の方など全くおりませんでしたので、家族で勤行・唱題をすることが当時の信心活動でした。それもいつの間にか、したりしなかったりという状態になってしまいました。
 移住してからも、日本に帰国するたびに、御授戒を受けたお寺に参詣しておりました。しかし、あるときお寺で、「あなたはお寺を変えることもできないし、変えたところで受け入れてくれるお寺もない」と言われました。私は、疑問を抱きながらも、他のお寺に行って聞くこともできず、
悶々としておりました。
 平成八年に帰国した際にも、いつものようにお寺に行って唱題しましたが、以前のように歓喜が涌かず、どうしてなんだろうと不思議に思ったことがあります。
 ですから、勧誡を受けるまで私自身、混沌とした状態でした。

●では、広大なオーストラリアにおいてどのようにして日蓮正宗と巡り会い、勧誡を受けるに至ったのか、その経緯を教えてください。
中野
 平成十五年九月に、同じくオーストラリアに住んでいる末の娘から電話がありました。娘が健康セミナーに参加した折、講師を勤めた医師が受講者に趣味を書かせたそうです。娘が、「南無妙法蓮華経と題目を唱えること」と書いて提出したところ、その医師から、「今度、日蓮正宗の座談会があるので、出席しないか?」と聞かれたそうです。私はこの話を娘から聞き、「創価学会に違いない」と疑い、娘にしっかりと確かめるように念を押しました。すると娘は、「間違いなく日蓮正宗で、創価学会ではない」と言いましたので、私も娘に付き添って座談会に出席しました。
 そこには総本山から来られた御僧侶が出席しておられました。御僧侶は私に、「正信会と縁を切り、仏法僧の三宝が具わる日蓮正宗の信仰に立ち返り、功徳に満ちた生活をするように」と御指導くださいました。
 私はこの御指導をいただいてから、正信会を辞めるかどうか三週間考えました。そして、頂戴した「大白法」や「大日蓮」の記事を熟読し、本当の信心をしようと決意し、平成十六年三月に海外部の御僧侶が出張御授戒でメルボルンに来られたときに勧誠を受けることができました。
 その後、家族全員が信心できるように努力し、無事に全員が入信できました。

●その後、どのように取り組まれておりますか。
中野
 私は今、自分の子供たちに、法統相続することに一番力を入れています。子供と言ってももう一人前の大人ですから難しい面もありますが、私自身の信心に対する姿勢を見せて、育成するように心がけております。また、二歳になったばかりの孫にもしっかりと信心を教えていけるよう、総本山に参詣するときはできる限り連れて行きます。

●オーストラリアから登山する上でのご苦労などがありましたら、お聞かせください。
中野
 オーストラリアから日本に行くためには、時間的にも体力的にも金銭的にも、たいへんな努力が必要です。また、オーストラリアで育った子供たちを連れて日本国内を移動することは容易ではありません。
 しかし、私は毎年登山をさせていただきたいと固く心に決めております。信仰の根本たる本門戒壇の大御本尊様にできるだけ多くお目通りをさせていただき、総本山滞在を通して様々な境界の変化などを感じて、子供たちにも身をもって日蓮正宗の正しさと有り難さを実感してほしいと思っております。

●法華講員になって、一番うれしかったことは何ですか。
中野
 日蓮正宗の信仰ができることそのものが、本当にうれしいことであると感じております。本門戒壇の大御本尊様にお目通りができること、御法主上人猊下の御指南、御説法を直接拝聴できること、その結果として、正しい信心を身をもって学べること、そして信心に一切の迷いなく晴れ晴れとできることなどのすべてを福徳と感じております。今私は、本当に感謝しつつ、日々の勤行・唱題をさせていただいております。
●お子さんやお孫さんの時代になったとき、
オーストラリアにおいて日蓮正宗がどのようになっていてほしいと願いますか。
中野
 私は、一日も早くオーストラリアに日蓮正宗の寺院が出来て、御僧侶に常駐していただきたいと念願しております。子供や孫たちの時代には、お寺に行けばいつでも御僧侶から直接御指導を受けることができるようになってほしい、と思っております。

●これからの抱負をお願いします。
中野
 どんなことがあっても、年に一度は登山していきたいと思います。
 そして御法主日如上人猊下の御指南を拝し、メルボルンの地域をはじめ、オーストラリアの信徒が倍増するよう努力していきたいと思います。