平成18年6月16日付

女子部で49世帯を折伏、目標超え完遂
生涯信心貫く礎(いしずえ)築きたい
 シンガポールでは昨年十一月、僧俗和合の結晶として、同国東部に開妙布教所を建立し、開妙布教所移転新築落慶法要を奉修した。
 かつては、独立した信徒組織が四つ存在し、総本山大石寺への登山ですら別々に行っていた時代もあった。
 しかし、御僧侶主導の布教体制確立後、十年間にわたリシンガポールに常駐され、昼夜の別なく指導してこられた滝川信雅御導師のもと、幾多の試練を乗り越え、僧俗異体同心の信心の確立がなされてきた。その結果として、このほどようやく、悲願であった新布教所の建立にこぎつけたのである。
 現在の信徒数は、約三千七百人。十支部・二十六地区・百三班体制を敷き、これに少年部、学生部、青年部が加わる。講中行事への参加は活発でる。
 女子部長のシャラリー・シムさんは、東奔西走の毎日である。その努力は確実に実っており、昨年、女子部は見事に折伏誓願目標を完遂した。
 人柄は、いたって控えめだが、長いこと信心を拒んできたお父さんやお祖母さんを続けて折伏し、交際相手もきちんと折伏してから結婚に臨んだ、健気な女性である。
●平成六年の第一回海外信徒総登山に、深い思い出があると聞きました。
シャラリー
あのとき私は、社会人になりたてでした。家計が苦しかったかめ、進学をあきらめて
就職しました。
 経済的なゆとりが全くなかった中で、お山に行けたのは、母がそれまでに内職で貯めたわずかな貯金をすべて出してくれたからです。そのお金を使ってしまえば、家にはもう何も残っていませんでした。ですから、この貴重なお金を使って行くからには必ず何かをつかんで帰ってこよう、と固く決意して出かけました。
 生まれて初めて御開扉を受けたとき、これまでの様々な思いが涌き上がってきて、私は涙が出て仕方がありませんでした。そして、私たちをずっと苦しめてきた父をいつも憎く思っていきましたが、本門戒壇の大御本尊様の前で、父を憎むのはもうよそうと思えたのです。その心の変化に、我ながら不思議な気持ちがしました。
 また、帰国後、父の態度にこれまでにない変化が見られ、御本尊様の功徳はすごいと感じました。私は、我が家の宿業を変えていきたいと思い、もっとこの信心に真剣に打ち込もうと決意しました。
●一昨年、お祖母さんを折伏され、そして昨年はとうとう、お父さんを折伏されましたね。
シャラリー
はい。信心を一生懸命する前は、父のことが大嫌いでした。家庭を省みないで、母を苦しめてばかりいる人というイメージでした。
 でも、布教所に通い、様々な体験を聞いて、御題目を唱えるうちに、「父を大事にしていこう」という気持ちに変わっていったのです。それでも、父への折伏はなかなかできませんでした。そして、家庭内にも、再び問題が起こり始めました。
 結果が出ないということは、何か問題があるからです。それは何なのかと、ずっと考えながら御本尊様に御祈念してきました。そして、母、妹、そして私の三人で共に努力するうちに、父の折伏が、思いもかけないタイミングで成就できたのです。
 あるとき、父が職場に電話してきて、お金を貸してほしいと言うのです。私は、「信心をしていかなければ、一生変われない。信心を始めて、家族みんなで幸せになっていこう」と、一生懸命話しました。
 初めて父の心が動いたのを、電話の受話器を通じででも、感じとることができました。そして、その後とうとう御授戒をお受けするということになったのです。
 父の折伏の場にたまたま居合わせた叔母家族も、一緒に御授戒を受けるということになり、親族の折伏も一気に進みました。
●さて、女子部では昨年、四十世帯の折伏誓願目標に対して、見事に四十九世帯の折伏を達成しましたが、どんなことが功を奏したのでしょうか。また、女子部員が抱えている問題や、女子部の状況について話してください。
シャラリー
女子部全体では、三つの活動を中心に行っています。
 一つは、全体唱題会。一つは、座談会です。座談会では、何か題材を取り上げて、皆で話をしていきます。女の人は話が好きなので、心の中を吐き出して、そこから前進できるように構成しています。
 もう一つは、家庭訪問です。こまめに小さな単位で唱題会を行うなどしてお宅を訪問し、会話を重ねるように心がけています。
 正直に一生懸命に信心修行をしていけば、必ずそこに結果が伴ってくると思います。御本尊様に対して正直な心で、共に祈っていくこと、会話を重ねていくことが大事だと思っています。
 私たち女子部員の共通の悩みは、交際相手の折伏に手間取っていることでしょうか。相手を失うことを恐れるあまり、もう一歩踏み込んだ折伏ができていないような気がします。やはり、結婚する前に、勇気を持って相手を折伏していける女子部でありたいと願っています。

●今後の決意を聞かせてください。
シャラリー
シンガポール信徒全体に目を向ければ、平成十四年当時二千五百人だった布教所の信徒数は、現在三千七百人にまで上っています。
 地涌倍増の御命題まで残り千三百人となった誓願を、皆で必ず達成していくこと、そして新入信者の育成などが今後の課題だと思います。
 滝川御尊師は常々、「どんな問題に直画しようとも、御本尊様に祈り、広宣流布に向かって動いていく中で、必ず問題は解決していく」と御指導くださっています。僧俗和合の信心、異体同心の信心で、未来に向かって前進していく決意です。