平成18年3月16日付

本興院は、台湾第一の都市・台北市にある。所属する信徒は、周辺地域を含む台北市を四つに分けた、北東・北西・北南・北北の四本部に分割され、さらにそれぞれが三〜五の支部に分れている。その一つ、北東本部の松山支部は、昨年の折伏目標を早々に達成して支部の一つである。今回はその松山支部を統轄する主任・陳進龍さんにお話を聞いた。陳さんは、約五百人からなる松山支部の信徒を激励するかたわら、家族と共に一家和楽の信心を貫いている。
●担当支部の皆さんに、どのように激励していますか。
陳 まずは、支部の一人ひとりの信心の姿勢を正していくため、御本尊様の仏力法力に対して絶対の確信を持たせること、寺院の参詣をできるだけ増やすよう勧めること、御僧侶のいろいろな法話を拝聴すること、そして、自己の信心の姿勢を正すことを心がけようと呼びかけ、私自身が率先して行っています。
 そして、地域の唱題会を通して、お互いに折伏した喜びを分かち合うことです。この二年間は、毎週一回、私の家で一時間の唱題会を行って、唱題会の後に座談会も行ってきました。また、私も他の講員宅での唱題会に参加します。
 それから、支部の方が折伏に行くときには、必要があれば、積極的に応援します。
●折伏をしていく中で、最も困難だと思ったことはどんなことですか。
陳 台湾の人は、爾前教への執着が強く、妙法を受け入れるのに大きな妨げになっていると思います。
 また、育成も折伏の一部と捉えています。正法についてはっきりと判らないまま入信した方々に対する育成は、なかなか難しいところがあります。
●陳さんのお子さんも入信されていますが、法統相続するに当たり、親として特別に厳しく教えていることがありましたら、お話ください。
陳 法統相続については、四つの考えを持って、子供に接してきました。一つは、私自身が誠心誠意、御本尊様に感謝することです。入信以来、妙法の不思議な力について感じたこと、深く感謝した経験があります。子供が一日も早く発心して御本尊様から功徳を戴けるようにと考え、感謝することを教えています。
 二つ目は、私と家内で一緒に化他行をする姿で教えています。一生懸命に、正しい仏法を伝えるという修行を実践している姿をもって、子供に正しく覚えてもらえるようにしています。
 三つ目は、子供に、私たちの入信前と入信後の違いを教えて、今の状況がすべて御本尊様から戴いたものであると教えています。
 四つ目は、私たちの考え方が間違っていた場合は、はっきりと子供に間違いであると伝えることです。
●入信の動機について教えてください。
陳 入信前、私は、学生時代に受けた教育から、日本に対して非常に悪い印象を持っていました。しかし、家内が入信してからというもの、いろいろと変化が現れ、それがことごとくよい方向へ変わっていったのです。それで私は妙法に対する認識は改めていきましたが、それでも素直に受け入れることは、まだできませんでした。
 家内が日本で御授戒を受けて御本尊様を御下付戴いた後、我が家での入仏式の際には、私は事前に家から逃げ出そうと考えていたのですが、結局逃げるタイミングを失って、やむを得ず家にいなければいけなくなり、そこから御本尊様との縁が始まりました。
 その後、私も一応入信したのですが、積極的に信心しませんでした。せいぜい樒が枯れたときに、新しいものと替えるという程度でした。しかしあるとき、仕事上で問題にぶつかり、眠れなくなりました。そこで夜中にこっそり起きて、御本尊様に向かって唱題しました。そのとき、唱題の功徳に驚かされました。御題目を唱えるようになってから、様々な困難が、難なく解決するようになりました。なぜ唱題するだけでそんな不思議なことになるのかと疑問が生じ、いろいろと調べ始めました。まずは法華経についての書籍、信行学について書籍などを読みました。
 後に、私の娘が二人共、入学試験に受かり、そのときに、本当に御本尊様から戴いた功徳であると感動し、私は発心したのです。
 私はこの確信によって御本尊様に誓いました。それは「百人を折伏する」というものです。我が家に御本尊様を御安置してから五、六年経過して、ようやくの発心でしたが、他の人たちには、一日も早く御本尊様のすばらしさに気づいてもらえるようにとの一念を持って、仏法の話をしています。



●支部の責任者としての心構えを教えてください。
陳 私は入信当初、慢心があったと思います。当時は役員の方々からいろいろな会合への参加の連絡を受けましたが、あまり出席しませんでした。特に御僧侶参加の座談会の内容などは、台湾の機関誌『本興』を読めばいいと思っていたのです。
 初めて担当した役職は登山部長でした。この役職を担当するために参加した役員研修会において、私の、役員としての心構えが全くなっていないものであるということをはっきりと自覚したのです。そのとき、常随給仕ということが妙法を受持する上で最も肝心なことだと学びました。その経験から、自身も努力して、他の信徒にも、常随給仕が大事だと教えていくようになりました。
 松山支部の主任として担当し始めた当初は、一年以内に信徒の家を全部訪問しようと考えましたが、結局それはとても無理があると判り、そこから自分の誤りに気づき、一歩一歩確実に小さな目標から達成していくことが大事だと学びました。
 このような態度と心構えでお互いに激励し合い、一緒に精進しています。
●担当支部の折伏成果がよいようですが、どのような活動を心がけていますか。
陳 折伏において、前任者の頃からよい成果は続いていました。それはおそらく、松山支部が本興院に近く、指導教師の正しい御指導のもと、折伏の大切さを身につけやすい環境にあることが、成果に重要な影響を与えているのではないかと思っています。また、支部には非常に熱心に、国内、国外を問わず、積極的に折伏をする方がいます。
 二年前からは毎月十回ほど、少人数での唱題会を行っています。さらに最近は、月に十二回から十八回の唱題勉強会を行って、皆さんと一緒に唱題し、その後、折伏についても勉強しています。そのような活動が折伏の成果となっているのではないかと思います。
●これまで、どうして折伏目標が成就できたと思いますか。
陳 これは御本尊様の御慈悲と、各自が護持する御本尊様との縁と、折伏する人自身の積んだ功徳ではないかと思っています。先ほども話しましたが、私は御本尊様に「百人を折伏する」という約束をしましたので、その誓願を思い続け、実践してきました。ただ私自身は、御本尊様を讃歎し、私たちが得た功徳を皆さんと語り合うことしか行っていません。しかし、その中で、御本尊様を信じれば必ず絶対的な幸福が得られるということははっきりと言ってきました。ですから、折伏が成就して御本尊様を御下付戴き、御安置できるのは、私自身の力ではなく、御本尊様の御慈悲、地区の人たちの努力の成果だと思っています。
●最後に、「『立正安国論正義顕揚七百五十年」に向けての決意を聞かせでください。
陳 まず自分の信心倍増を願い、支部の皆さんと異体同心できるよう、一緒に本興院の外護がしっかりできるよう、さらに広宣流布を推進できるよう、御祈念しています。これは「正義顕揚七百五十年」に向けての決意のみならず、常日頃から心がけるべきであると考えて、日々精進しています。