平成17年12月16日付

 赤道直下の常夏の国シンガボール共和国で十一月二十七日、御法主上人猊下の御名代として海外部長・漆畑行雄御尊師が赴かれ、開妙布教所移転新築落慶法要か盛天に奉修された。
 この法要には、宗務院より海外部主任・石橋頂道御尊師、宗務院書記・堀田信宣御尊師が出席、さらに法忍寺住職・水谷慈浄御尊師、妙源寺住職・安沢淳栄御尊師をはじめ有縁の御僧侶・寺族が日本及び海外から多数出席された。また日本・タイ・マレーシア・インドネシアからも多数の来賓信徒が出席して、二回にわたる法要に合計千九百名の信徒が参詣した。
 法要は漆畑海外部長の導師により、午前十時半と午後二時の二回行われ、献膳の儀・読経・焼香・唱題と奉修された。
 続いて式の部に移り、石橋海外部主任の経過報告、開妙布教所の母体法人「日蓮正宗仏教会(シンガポール)」を代表して会長のロック・ヒップメン氏の祝辞、来賓御僧侶を代表して水谷御尊師(午前の部)、安沢御尊師(午後の部)の祝辞、漆畑海外部長の祝辞と続き、最後に布教所責任者・滝川信雅御尊師より丁重な謝辞か述べられた。
 法要終了後、本堂で記念撮影が行われ、法要の一切がとどこおりなく終了した。
 同日午後七時半からは移転新築記念祝賀会が、チャンギ国際空港に程近い、シンガポールエキスポで千五百三十余名出席して盛大に開催された。
 最初に来賓の御僧侶と信徒の紹介が行われた後、漆畑海外部長、総本山塔中久成坊住職・関快道御尊師の祝辞、信盛寺住職・落合尊福御尊師の発声による乾杯が行われた。続いて、数多く寄せられた祝電のうち、これまで長年にわたってシンガポールの布教を見守ってこられた前海外部長・尾林日至御尊能化と、宗会議長・細井珪道御尊師よりの祝電が披露された。
 会食が始まると間もなく、中国楽器による美しい音色のオーケストラ演奏、西洋楽器と中国楽器の混合オーケストラやコーラス、少年部・青年部・婦人部・壮年部によるダンスなど、総勢二百名による盛りだくさんの演目が披露された。
 最後に滝川布教所責任者より、僧俗が手を携えてシンガポール広布に精進し、来たる「平成二十一年・『立正安国論」正義顕揚七百五十年」には信徒五千名の陣容を達成するとの決意が披露され、会場全体が一体感に包まれる感激の裡に祝賀会は終了した。
 このたびの布教所移転新築に至るまでの、シンガポール広布の道程は決して平坦なものではなく、言葉では言い尽くせぬ困難の連続であった。平成三年以降の御宗門主導による布教体制確立後、四つの現地信徒組織の統合と事務所開設、ビル所有者の変更による事務所のやむなき移転縮小、布教拠点を支える母体法人の変更、事務所の一時閉鎖、滝川責任者のシンガポール滞在資格の一時喪失、事務所の再開設と布教所への昇格など、波乱に満ちた歴史であった。それだけに磐石な布教拠点の建立はシンガポール僧俗の悲願であり、それが今回、布教所移転新築落慶法要として開花結実したのである。
 新布教所は、シンガポールのやや東部に位置し、市の中心「オーチャード駅」より十五分の地下鉄「アルジェニード駅」下車徒歩五分、また多くのバス路線が通るバス停も近く、交通至便な立地である。
 建物は四階建てで、二階に八十坪の本堂(七百名収容)、三階に四十六坪の客殿(四百名収容)を有し、信徒が安心して信心修行できるよう種々の充実した設備か備わっている。