平成17年8月16日付

 マレーシア布教所は、昨年十二月に開所五周年を迎え、さらには新しい建物への移転新築も計画しており、折伏に育成に一掃の力が入っている。
 マレーシアの面積は、日本とほぼ同じ程度だが、信徒は主に、マレー半島の西側に集中していて、布教所を中心に南北方向に、車で北に六時間、南に五時間ぐらいの範囲にほとんどの信徒が住んでいる。
 今回お話を聞いたタン・スー・ホワ氏は、マレーシアで一番南の州であり、シンガポールとの国境に位置するジョホール州、そのモアという町で医師として診療所を開業して信仰に励んでいる。ジョホール州は、日本の四国ほどの広さの州で、その中に集会所等の八カ所の拠点がある。モアから布教所までは車で三時間、州都・ジョホールパルまでも同じく三時間。このような場所でタンさんと両親だけが日蓮正宗の信心を始め、次第に周りの人を折伏して、現在は二十人ほどが信行に励んでいる。
●最初に、どのようにして。日蓮正宗に入信されたのか教えてください。
タン 私は、一九八四(昭和五十九)年十歳の時、両親と一緒に入信しました。その当時は、創価学会に所属していました。
 一九九四(平成六)年、医学の勉強のためにクランの病院に行きました。このときに、宗務院海外部の御僧侶から直接指導していただける組織を初めて知り、家族の中でまず私一人が脱会しました。学会の会合では学会幹部の勝手な考えを聞かされることが多く、以前から不信を抱いていましたが、故郷のモアでは、御僧侶から御指導をいただくことも、正確な情報を知ることも難しかったのです。
 脱会前は一九九一(平成三)年頃から、御法主上人猊下や御僧侶の悪口を聞かされるようになり、不信が高まっていました。そして、御法主上人猊下への退座要求書に署名を強制され、もうついてはいけないと思い、これをきっかけに学会の会合に出ないことにしました。
 そして、直接御僧侶の御指導を聞けるようになり、大聖人の教えを正しく知ることができ、たいへんうれしく思いました。
●その後、どのようにしてモアでの活動を始めたのですか。
タン 一九九七(平成九)年、私は、モアの病院に移りました。このとき自宅にクランからリーダーに来てもらい、家族や親戚に、なぜ創価学会が間違っているのかを説明してもらいました。そして、家族や親戚の三家族七名が脱会して共に直しい信心を始めたことがモアでの始まりでした。
●その際、創価学会からの嫌がらせはありましたか。
タン リーダ一に自宅に来てもらった日、創価学会も会合を開いて、私たちの会合を妨害しようとしました。さらに、学会の幹部か我が家まで押しかけてきて、玄関を蹴ったり、大声で悪口を叫んだり、車に傷を付けたりしました。嫌がらせの電話は朝まで続き、「家族全員死ぬぞ」とか「お前たち家族はみんな死体になって川に浮かぶぞ」などと言われましたが、私たちはくじけませんでした。
●現在はどのような活動をしていますか。
タン 隔週の火曜日と第一日曜日、毎月の最後の土曜日に、集会所で一時間の唱題会を行っています。唱題会の後にミニ座談会を行います。
 さらに月に一度、クランから応援に来ていただいて、座談会を開いています。
●毎月の御報恩御講に、モアから多くの人が参詣されていますが、皆で声を掛け合うなど、何か工夫をしているのですか。
タン はい、毎月ワゴン車を借りて乗り合わせて参詣しています。しかしそれでも十一人しか乗れませんので、乗り切れない人は、隔月交替で参加したり、ジョホール州の他の拠点を回って、皆が乗り合わせて御講に参詣するバスに余裕があれば、便乗させてもらっています。
●法華講となって、一番うれしかったことは何ですか。
タン 正しく大聖人の教義を教えていただけること、御法主上人猊下の御指南を聞くことができることです。さらに、総本山に登山させていただけることです。一九九八(平成十)年の初めての登山から今まで、四回の登山に参加させていただきました。毎回、総本山の歴史を実感し、各法要の深い意義を知ることができます。そして、御法主上人猊下の大導師のもと、本門戒壇の大御本尊様に御目通りさせていただけることは、何ものにも代えることはできません。
●普段の信行で、心がけていることはありますか。
タン モアでは、若者が都会への憧れから、首都クアラルンブールや隣国シンガポールに出て行ってしまいます。このため保守的なお年寄りか多く、こちらの話に耳を傾けてくれる人はなかなかいません。そこで私は、診療所の壁にご登山のときに撮った総本山の写真を貼ったり、自室に御法主上人猊下の写真を飾ったりしています。これらの写真で、彼らが興味を持って質問をしてくるようにして、それをきっかけに自然と話ができるようにしています。
 みんなと共に心がけていることは、唱題会のときに各自が新来者を一名つれてくるようにと奨励しています。
●創価学会からの激しい妨害や嫌がらせは、現在もあるのですか。
タン 実は、今年の六月に新来者を御講に連れて行ったのですが、そのことを聞きつけた学会員が、その人の家に押しかけて、日蓮正宗の悪口を言ったのです。その内容というものは、日蓮正宗では、勤行が長い。長い間座っていなければならない。その点、創価学会では御経は短いし、皆で歌や踊りをして楽しいから創価学会に入ったほうがよい」というものでした。
 その後、その新来者の方に私たちは、「日蓮正宗の信心は自分勝手なやり方で行ってはいけない。大聖人の教えを素直に実践し、御法主上人猊下の御指南にそって信仰をしなければ功徳がない」と諭し、その方も納得して、一緒に信心に励んでいます。
●その他に、創価学会から迷惑を被ることはありますか。
タン モアは小さな町ですから、いろいろな噂が流れます。最近、学会の幹部が会合の最中に倒れて死んでしまったり、また別の学会員は会合中に血を吐いたりしたそうです。私たちにとってこの現証の原因は明らかですが、一般の人々には日蓮正宗と創価学会の違いが判らず、日蓮正宗までも敬遠されてしまうこともあります。
●最後に今後の目標を教えてください。
タン 残念ながら、私の親戚や友人が、まだたくさん創価学会に残っています。まずは彼らを折伏し、そして、私たちの集会所を参加で一杯にしたいと思います。