平成17年6月16日付

 アルゼンチンには、ベルー、チリ、ウルグアイ、ボリビア、パラグアイの南米スペイン語圏の信徒が所属するアルゼンチン布教所が首都ブエノスアイレスに開設されている。同国内では、首都をはじめ各地方に計二百五十余世帯・五百八十余名が信仰に励んでいる。
 布教所では、現在、弘教活動の一環として広く社会に門戸を開くべく「仏法入門セミナー」を毎週行っている。また布教所責任者の井尻執道御尊師は、大学等からの仏法の講義の招待を積極的に受けている。また、各地方でも「仏法入門セミナー」を行っている。
 今回紹介するクラウディオ・サイマンさんは、首都から千七百キロメートル離れたアルゼンチン最北部のフフイ州に住む、家族を含め十世帯三十名の信徒の中心者として活躍している。この地域は、インカ文明とスペイン統治時代の名残りをとどめる、いわゆる因習深い土地柄であるが、昨年は、年に一度の出張御授戒の際に、フフイ州の文化会館を借りて「仏法入門セミナー」を開催し、百二十人もの新来者を迎えることができた。今回クラウディオさんには、その時の様子も含めて語ってもらった。
●仏教のことを知らない社会のなか、聞くところでは、「ブディスモ(仏教の意味)」と「ブードゥーイスモ(アフリカを起源とするブードゥー教)」の違いも判らず、発音が似ていることからそれらを混同する人が多いそうですが、そのようななか、どういった経緯と動機で入信されたのですか。
クラウディオ
 はじめは健康維持のために、友人からヨガと太極拳の先生を紹介してもらいました。その先生が仏法を信仰していて、お話を聞きました。
 そして、その先生がSGIを脱会した後、初めてフフイ州へ出張御授戒に来られた井尻御尊師から御授戒を受けました。二〇〇〇年五月六日のことでした。
●仏法に対する知識が世間の人々に全くないなか、どのような折伏活動を行っていますか。
クラウディオ
 この五年間、毎年の出張御授戒に合わせて行う折伏座談会に活動の中心を置き、より多くの新来者を迎えるためのいろいろな努力を積み重ねてきました。そして、座談会に参加された人と連絡を取り続けることで、多くの方々が御授戒を受けられるまでになりました。
 特に、昨年は、井尻御尊師の御指導のもと、今までよりも規模を拡大した「仏法入門セミナー」を、州の文化会館を借りて行いました。視聴覚機材を使って仏法の歴史や教義を説明し、また総本山の写真や布教所での活動の写真なども入口に展示しました。
 このときは新来者が百二十人も参加して、用意していた椅子が足りなくなるほど盛況で、驚きました。そのなかから、すでに何人もの方が昨年の布教所の御会式に参詣して御授戒を受けました。さらに今年の出張御授戒で御本尊様を御下付いただけるようお願いしている方々、御授戒を希望している方々がおります。
●その「仏法人門セミナー開催に当たり、どのような準備をしたのですか。
クラウディオ
 地元信徒一人ひとりが、「三十人以上を招待しよう」を合い言葉に、三百枚の名刺サイズの招待カードを作成し、日蓮正宗の簡略な歴史と教義を印刷したパンフレットと併せて親戚や友人、知人に配布しました。また、街頭配布用パンフレット千枚を、セミナーの五日前と二日前に市内で配布しました。さらに、A3サイズに拡大したパンフレットを五百枚用意して公共の掲示板での掲示をお願いしたり、A4サイズのものを商店の店先に貼っていただいたりしました。信徒一同が協力し合って成し遂げることができたと、皆喜んでいます。
●折伏弘教にはどのような困難がありますか。
クラウディオ
 ここフフイ州は、アルゼンチンで最も貧しい州の一つです。先祖代々の宗教への執着が深いため、仏法の話を聞こうともしません。そのような保守的な傾向からか、貧しい現状に満足して改善しようとか打開しようという気持ちさえも起こらない。これがこの地域の一般的な人たちの現状です。

●そのようななかでも着実に弘教が実っていますが、今まで戴いた功徳の実証を教えてもらえますか。
クラウディオ
 入信以来、様々な功徳を戴き、日々成長させていただいていることを感じます。
 たとえば、ブエノスアイレスにある布教所に家族共々、度々参詣できること、さらに一昨年と昨年には御会式にも参詣できました。
 ちょうど昨年の御会式の直前に失業したのですが、御会式から帰ってみると、新しい職場からの誘いがありました。以前の職場よりも経済的に恵まれて、信心活動にも一層力を注げるようになりました。
 家族も健康で、子供たちと共に信仰でき、広宣流布のために働かせていただけて、人間として生をいただいた真の意義を感じ、感謝しています。
 布教所へは今まで以上に足を運ぶことかできるようになり、また、近い将来、総本山への登山も叶いそうです。
●では最後に、「『立正安国論』正義顕楊七百五十年」に向かっての抱負を聞かせてください。
クラウディオ
 転職の都合から隣のサルタ州に引っ越しましたが、フフイ州の同志を励まして広布の基盤を確実に築き、またサルタ州でも広宣流布のために働きたいと思います。そして、布教所での行事には欠かさず参詣できるよう、さらに「『立正安国論』正義顕揚七百五十年」の慶祝登山に必ず登山できるよう準備していきます。