平成17年4月16日付

  タイには、日蓮正宗の寺院がなく、また、常駐の御僧侶がいない。SGI(創価学会インターナショナル)からの脱会の経緯や従来からの人脈等、様々な因縁により現在六つの信徒組織が存在する。それぞれ拠点を構え各組織が切磋琢磨しつつ、協力体制を築いている。
 特に、二〇〇一年のタイ総会(宗旨建立七百五十年慶祝記念)以後は、六組織が協力して、寺院建立と御僧侶常駐が「『立正安国論』正義顕揚七百五十年」の記念となるよう、実現に向かって邁進している。
 今回は、そのなかの一つ「妙蓮グループ」の中心者としてバンコクで活躍している、シティチャイ・チアラキアット氏に話を伺った。
●「妙蓮グループ」は、出張御授戒のたびにめざましい折伏成果を出しています。中心者として、皆に強く呼びかけていることはありますか?
シティチャイ
 私は、御授戒を受けて信心修行を始めるのは、過去世で積み重ねた功徳によるものだと感じています。
 私たちのグループでは、出張御授戒のたびに新たに折伏された多くの方が御授戒に臨みます。これは一つには、幹部とメンバーが協力して折伏に取り組んでいることによると思います。しかし他方、私はいつもメンバーに、「現世で御授戒を受ける方は、私たちがその方にこの仏法を紹介したから信仰を始めたわけではない。その方が過去世で積んだ福徳が、この信仰に巡り合わせたのだ」と話しています。
 日蓮正宗は、真実の妙法の教えです。他の宗教と全く異なります。他宗は究極の法が欠けており、その目的は、精神修養や現世利益に過ぎません。しかし、日蓮大聖人様の仏法は、正しい信行学に基づき、日々の生活に活かされる真実の教えです。
 そして、正しく修行を続けていくためには、タイ国担当教師の御僧侶を通して、御法主上人猊下の御指南を大聖人様の御言葉と等しく拝していくことが大切であると話しています。

●折伏で、特に難しいことと言えば何ですか?
シティチャイ
 タイは、小乗仏教が国教的な地位を占めています。人口の八割が小乗仏教徒です。
 我々が、「南無妙法蓮華経は真実の教えです。日蓮大聖人様は御本仏であらせられます」と真実を語ろうものなら、小乗仏教徒には仏教への誹謗中傷と聞こえてしまいます。そうなればもはや聞く耳を持たず、「小乗仏教は真実の教えではないのか。シャカムニは真実の仏ではないのか」と反発してしまいます。
 小乗仏教徒に、大聖人様の教え、仏教の勝劣浅深について受け入れてもらうのが難しいのです。折伏には、時間と強盛な信心、そして忍耐が必要だと考えています。
●折伏していて、障害となるのは、何ですか?
シティチャイ
 どこの国でも事情は同じだと思いますが、新入信者は両親、夫、妻等の近親者から反対を受けることが多々あります。また、以前の信仰や伝統、地域の風習が障害になることもあります。

●今後の目標について、教えてください。
シティチャイ
 タイの広宣流布のために、最大限の力を注ぎたいと思います。そのためにも、一日も早くタイに日蓮正宗の寺院が建立される日がくることを願っています。さらには、「『立正安国諭』正義顕揚七百五十年」の佳節である二〇〇九年を、一人でも多くのメンバーと共に迎えることができるよう、皆に呼びかけていきます。

●日本の法華講員に伝えたいことがありましたら、お願いします。
シティチャイ
 日本の法華講員の皆様を、何かの機会に是非、我が国タイにお招きしたいと思っています。常日頃、指導教師の御指導のもとで培われた法華講の精神をお教えいただき、清く純粋な信心を分かち合いたいと思います。
 総本山でお会いしましょう。