平成16年10月16日付

 タベッサ・ティペィさん
 今回はUK(英国)より、ご婦人のタベッサ・ティペィさんを紹介する。彼女は、ロンドンから電車で西へ二時間離れたディボン州の村で、ご主人、二人の子供と共にがんばっている。
 
●信仰を始めた動機は何ですか。
タべッサ
 私が御本尊様に巡り値ったのは、一九九一年十九歳のときです。一九九三年に大石寺で御授戒を受けました。
 私が正法に出会えたのは、生命の意味を知りたくて、ずっと真実の宗教を求めていたからだと思います。四歳の時、生命は永遠に続くものなのだなと感じたのです。その後、何としても生命とは何なのか調べようと決意し、十九歳になるまで、いろいろな宗教を試してみました。教会へも行きました。しかし教会の椅子に座りながら、ぼんやりと「ここには私の質問に答えてくれるものはない」
と感じました。学校では宗教の成績はAで聖書については何でも知っていましたが、私には、何の意味もありませんでした。
 初めて御本尊様を拝したとき、懐かしく感じ、同時に心の中で「遂に見つけた」という感激と興奮でいっぱいでした。それは深いところから起こる畏敬と幸せな感覚でした。私はきっと過去世でも一生懸命信心をしていて、再びこの御本尊に出会うことができたのだ、と思いました。

●それから日蓮正宗の信心を始めたのですね。特別な体験はありましたか。
タべッサ
 はい。正法流布の志を抱いてディボン州にやってきたニールという男性と出会い、一九九八年に日蓮正宗で結婚式を挙げました。御本尊様のもとに強盛な法華講の家族を作ろうと誓ったのです。そして私たち法華講の家に生まれたいと願っている命のために唱題しました。
 そうして授かった長男の出産は困難を極めました。私は三十七時間の陣痛に苦しみ、子供は肩を壊して生まれてきました。しかしその肩も現在はようやく治ってきました。
 出産のときの私は出血が多く、命も危なかったそうです。医者が帝王切開の準備をし始めたとき、主人は他の法華講員に電話をして、母子共に守っていただけるように、みんなで御題目を唱えて欲しいと頼んでいたのです。
 そしていよいよ分娩室へ運ばれたとき、急に自然な分娩が始まりました。
 こうして生まれた息子のカイは、今年五歳になり、学校にも行くようになり、勤行の練習も始めました。御題目は赤ちゃんのときから唱えてきました。
 私は、息子が生まれる前から、彼が日蓮正宗の僧侶になって私が訪ねていく夢をしばしば見ていました。だから出産のときも、息子は守られると確信していました。これがどういう意味を持つのかは判りませんが、私の身の上に現実に起こったことなのです。
●その後は順調に生活は進んでいますか。
タベッサ
 御本尊様を受けているという以外は、すべては闇にいるような、苦しいことがたくさん起こりました。しかし御本尊様を水先案内の輝く灯台のように感じ、御本仏の慈愛を感じました。自分を変えるために、努力して正直でいなさいと教えてくれたのだと思います。
 今は信心修行の功徳によって、深い喜びの境界にいます。貧乏でも豊かな気持ちでいられるのは家族みんなが信心しているからだと感じています。

●折伏の経験を話してください。
タベッサ
 今まで四人の方を折伏しました。これからもっと折伏していこうと思っています。
 入信当初、折伏しようとしてSGIから暴力的な攻撃を受けたこともあり、私は彼らとやり合えるほど信心が強くないと、逃げてばかりいたことを恥ずかしく思います。
 また、町の真ん中で、「私は仏教徒です」と言った途端、生粋のキリスト教徒から「悪魔」と怒鳴られたこともありました。
 そんなことがあって、私の気持ちは長い間砂の中に顔を隠して生活をしているような状態でしたが、今は自信をもって積極的に折伏ができるようになれました。

●そんな中で信心を続けることは大変ですね。
タベッサ
 はい。私の使命は、日蓮正宗の三宝を護持し、夫や息子たちを支え、イギリス広布の基盤を作るために、強い法華講の家庭を築くことだと思っています。法華講員として、御本尊様と信心修行が最優先の生活を心がけています。
 イギリスには、お手本となる法華講員がいないために、本当に苦しいときは唱題して必死に御本尊様に問いかけるしかありません。この国に住む困難さを痛感しています。
 私たちの住む村は、町から遠く離れ、荒野ばかりの、見渡す限り海と羊と田園だけの、頑固なキリスト教の村です。村人たちは、私たちをエイリアンでも見るような眼で見ていることがあります。しかし私たちは御本尊様を信じて、この村で、仏教徒として、慈悲を持って他の人に接し、良い関係を作り、南無妙法蓮華経を話せるようになっていけるように努力します。

●今後の目標は何ですか。
タべッサ
 平成二十一年の記念法要に家族みんなで登山することです。そのとき息子たちは、九歳と六歳になります。また、もっと教学を一生懸命に学んで、イギリスの法華講のために役に立てる人材になりたいです。

●ありがとうございました。最後に広布についてのお考えを聞かせてください。
タべッサ
 イギリスの法華講メンバーは、もっと積極的に活動に参加するべきだと思います。寺院建立や御僧侶をイギリスにお迎えするためには、頑丈な法華講組織の基盤が必要で、私は自分のやれることがあるならば何でもしようと考えています。以前、大石寺に登山したときに見た、塔中の桜の木の下で、ほうきで花びらを掃いていた日本の法華講員たちの姿が、目に焼き付いています。あの人たちのように、自主的で控えめな姿勢で、御本尊様に御奉公したいと思いました。