宗祖日蓮大聖人御聖誕生800年
大 白 法 より
三門―意義と歴史―【第10回】 
 
 昨年の十二月一日号より連載してきました「三門−意義と歴史−」の最終回とな
りました。そこで今回は、御命題を賜ってからの十一年余を振り返り、三門大改修
工事を含む記念事業全般について、そのすべてが本宗僧俗の浄財、特別御供養のみ
によって遂行されていることに触れていきます。

総本山大石寺 三門

意義と歴史−【第十回】終

御聖誕八百年への歩み


 総本山三門大改修工事が、来年一月に奉修される法要をもってすべて完了となります。この三門の完成を、全僧俗が待ち望んでいます。
 宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節を慶祝申し上げるため、記念事業は着実に遂行されているのです。


記念事業の経過

 私たちは、平成二十一年七月二十六日、七万五千名大結集総会の砌に御法主日如上人猊下より、
「平成二十七年・日興上人御生誕七百七十年までに、法華講員数五十パーセント増」
「令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年までに、法華講員八十万人体勢構築」
の二つの御命題を賜りました。
 一つ目の御命題は、平成二十七年三月に第二祖日興上人御生誕七百七十年奉祝大法要が奉修され、見事、法華講員五十パーセント増を達成できました。
 二つ目の宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年に向けては、平成二十六年に慶祝記念局が設置され、翌年一月に行われた第一回の委員会において御聖誕八百年を奉祝する記念事業として、
一法華講員八十万人体勢構築の推進
二 総本山三門大改修、五重塔・諸堂宇修復工事及び関連事業
三 宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝大法要及び記念法要
四 記念出版事業
五 その他委員会において必要と認める事業
が発表されました。
 平成二十七年四月十三日、御法主日如上人猊下大導師のもと、三門大改修並びに五重塔修復着工法要が厳粛に奉修されました。これは、将来発生が予想される「南海トラフ大地震」に備えての対策と、令法久住・広宣流布の暁にも、総本山を荘厳する堂宇として維持管理する目的があります。
 大石寺五重塔に関しては、平成二十九年一月十六日に御法主上人猊下大導師のもと、修復完成法要が奉修されました。他にも、鬼門・二天門などの諸堂宇の修復・改修・整備が完了し、「御命題達成の年」の今、慶祝記念事業は佳境を迎えています。

三門大改修工事 初の全面解体

 約五年半に及んだ総本山三門の大改修は、大規模な工事がすべて完了し、今、周辺の整備事業も着実に進捗しています。今回の三門大改修は、建立以来約三百年の中で、初めての全面解体となる大規模なものです。
 これまで連載してきたように、総本山三門は、創建から、江戸、明治、大正、昭和の各時代において先師・先達方により修理・保全がなされてきました。それも、現在のような大型の機械や安心できる足場のない中でのことで、挙宗一致の団結あっての偉業です。
 そして昭和四十一年、塔中参道の奥に建つ御影堂と共に、静岡県有形文化財の指定を受けました。
 有形文化財とは、日本の歴史上、芸術上・学術上の価値の高いものを総称して呼びます。よって一般の家やビルの修理とは異なり、文化財的価値を損なわない高度な修繕が必要でした。さらに、三門の建てられた背景や各時代の修理方法を紐解き、文章や図で記録に残して、後代に伝えていくことも含まれていました。
 改修工事の準備として平成二十七年より一年をかけて素屋根が建設された後、三門の詳しい調査が始まりました。
 解体された建築材料の一つひとつに、番付札が付けられ、どこの場所の建築材であるかが明確に判るよう図面に記録されました。取り付けられていた場所だけでなく、大きさ、材質、加工方法、取り付け方や修理のあった年代までも、修理報告書として細かくまとめられたのです。
 その後、当初使われていた建材や組み方など、文化的価値が失われないよう細心の注意が払われ、元の建材を使うことを基本としながら、錆や腐食部分の除去が行われ、その後、新しく適切な材料が割り当てられて、元の形になるよう丁寧に修理が進められました。さらに、きめ細かな化粧金物の補修や塗装工事なども施されました。
 特に、今回の重要な課題である耐震基礎工事の面においても、最新の技術が取り込まれ、基礎が磐石になりました。

宗門挙げての大事業

 三門は、総本山第二十四世日永上人、第二十五世日宥上人をはじめとする御歴代上人や徳川六代将軍家宣公御正室・天英院殿をはじめとする、多くの僧俗の浄財によって建立されました。
 今回の大改修工事では、三門の屋根に使われている鋼板の裏に、総本山第六十七世日顕上人、御法主日如上人猊下の御名が墨書されています。のみならず、国内の五百九十七支部並びに海外の寺院と、信徒のいる国と地域七十一の名称が墨書されました。この大慶事に、折伏行や特別御供養に参加できた証として記していただけたのです。
 なお、御法主上人猊下の御許可を賜り、令和元年度の中等部・高等部合宿では、参加者全員が素屋根に上り、大改修中の三門を目の前で見学できました。この経験は、参加者全員にとって最高の思い出となったことでしょう。また、地元中学校の学習の場としても一翼を担いました。青年たちが総本山大石寺の歴史に触れ、大聖人様の仏法を学び成長することはたいへん尊いことです。
 私たちは記念事業の大切な意義を自分だけのものとするのではなく、未来広布を担う子や孫にしっかりと伝えて、共に自行化他にわたる信行を磨くことを忘れてはなりません。
 また平成二十七年に「特別御供養趣意書」が発せられました。本年七月に「特別御供養に参加しましょう」という推進のリーフレットも記念局より発行されて、ご承知の通り、本年十二月には、「特別御供養」の三回目であり最終の受付が行われます。
 御供養は、御本尊様に対する報恩感謝の志を形に現わす、尊い浄業です。これに参加し、現当二世に亘る福徳を積むことで、境界が開ける絶大な功徳があります。私たちは、このたびの御供養に連なっていくことが人生を大きく拓いていくことを、講中のすみずみまで伝えてまいりましょう。

終わりに

 日蓮大聖人は、正法が全世界に流布したときの様相について『如説修行抄』には、
「すべての人が大御本尊の信仰に励み、異体同心の信心を持って妙法蓮華経と唱えるならば、自然界の働きは平穏なものとなり、個人においては災いを払い、長寿を保つことができ、社会においては真の平和を築くことができます(趣意)」(御書 六七一n)
と仰せられています。
 このような仏国士を構築していくことが、大聖人の御遣命であり、日蓮正宗僧俗の願いです。
 今、コロナ禍や異常気象による災害等、広布前進の歩みを阻もうと魔も競い起こっています。この諸難を正法によって乗り越えるとき、さらなる信心の確信と三世に亘る幸福な境界が確立されます。
 私たちは、総本山三門に宣揚される本地甚深の妙法を流布すべく、異体同心の団結をもって邁進してまいりましょう。