平成20年11月16日付
 奉安堂の東側、杉木立の下にお華水と閼伽堂があります。
 お華水とは、ここに湧き出る清泉のことです。御開山日興上人が、樒をもって土を開かれて沸いたと伝えられ、大石寺開創以来、当番の御僧侶が早朝にこの霊水を汲んで御宝前にお供えします。
 現在は、大石寺の御助番である御僧侶六名が交代で、毎日午前0時を過ぎて汲みに行き、御本番の御僧侶6名が交代で丑寅勤行前に、御影堂・客殿・六壺の御宝前にお供えします。
このお華水の後方に立てられている堂宇が閼伽堂です。閼伽とは、功徳水とも言い、仏前に供える浄水のことです。
 現在の閼伽堂は、昭和48(1973)年10月、総本山第66世日達上人の代に再建された建物です。
 さて、御本尊様にお水をお供えするなどの御給仕は、信仰者にとって欠かせない重要なことです。
 第2祖日興上人の弟子となって以来、弘長元(1261)年5月の伊豆御配流や、文永8(1271)年9月の竜の口法難に続く、佐渡御配流にもお供され、常に師匠である大聖人を心から敬って付き随いお給仕をされました。また、建治2(1276)年4月、日興上人が伊豆布教のために走湯山へ立ち寄られた際に弟子となった第3祖日目上人(当時17歳)も、同年11月より身延に登って大聖人に常随給仕を尽くされています。日目上人は、行体がたいへんに堅固で1日に何度も谷川に水を汲みに下り、桶を頭の上に載せて運んだため、いつしか頭の頂がくぼんだと伝えられています。
 私たちは、日興上人や日目上人が大聖人の影の形に随うがごとく常随給仕されたお姿を鏡として、報恩感謝の真心を込めたお給仕をすることが大切です。
 また、大聖人は『経王殿御返事』に、「日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ」(御書 685㌻)と仰せです。御本尊様は御本仏大聖人の御魂魄を顕された御当体ですから、「御本尊様へのお給仕は大聖人にお仕えすること」であると心得てください。
 皆さん、御宝前を荘厳にする真心からのお給仕を常に心がけ、お水・仏飯・樒をお供えし、お仏壇をきれいにして、不断の真剣な勤行と唱題に励んでまいりましょう。