平成18年7月16日付
 
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三門は、総本山第25世日宥上人の御発願により、正徳2(1712)年5月30日、徳川幕府第6代将軍の家宣公から富士山の巨木70本、その婦人の天英院から黄金1、200粒の寄進を受け、さらに第24世日永上人と日宥上人の寄進、並びに宗内僧俗からの多くの御供養を基に、6年の歳月をかけて、享保2(1717)年8月22日に建立されました。
 その後、第52世日霑上人の代である文久2(1862)年、第57世日正上人の代である大正元(1912)年にそれぞれ修理が加えられ、第60世日開上人の代である昭和6(1931)年から昭和10(1935)年にかけて、大聖人の第650御遠忌の報恩記念事業として大改修がなされ、現在に至ります。
 間口は約24メートル、奥行は約11メートル、高さは約22メートルで、堂宇内部には、第25世日宥上人が享保2(1717)年に認められた常住御本尊が奉安されています。
 三門は、全国でも稀に見る木造朱塗りの大きな楼門で、その規模は東海道随一であり、富士山を背に荘厳美風を究めています。また、昭和41年には静岡県の有形文化財に指定されました。
 総本山の建物は古来、王城の宮殿に因んで建てられています。王城には束・西・南・北の四門があり、東門は発心、西門は修行、南門は菩提、北門は菩提を表します。総本山の三門には、このうち北門を除いた束・西・南の三つの門を総括して一門とするという意義があるのです。
 さらに、第66世日達上人は、
「王城の束・西・南の三門を一門としたので、敢て名称をいうならば、信門とつけるべきでありましょう」(大日蓮 三〇四号)
と説かれ、三門は信心の門であると御指南されています。
 それは大聖人様の『御義口伝』に、「一念三千も信の一字より起こり、三世諸仏の成道も信の一字より起こるなり」(御者1737頁)
と御教示のように、大聖人様の仏法は、信の一字によって即身成仏という揺るぎない幸福境界を確立することができるからです。
 私たちは、この三門の意義である「信の一字」をもって自行化他にわたる仏道修行に励むことが大切であり、それがまた一切衆生を幸せに導く大きな道となっていくのです。