平成23年1月16日付
                御誕生会に参詣しましょう
 皆さん、こんにちは。寒い日が続いていますが、元気に過ごしていますか。
 二月十六日は、日蓮大聖人様が御誕生された日です。今回は、この深い意義についてお話します。
 
釈尊の予言
 インドに御生まれになった釈尊の仏法は、インドから東に伝わって日本に来ました。釈尊は、
「私(釈尊)が亡くなって二千年経つと末法という時代になります。その時代になると私の教えでは人々を救うことができなくなり、争いごとなどが増えるでしょう。この時には、日蓮大聖人という方が御出現になり、多くの人々を救済されます」
と予言されています。
 そして、大聖人様は、この予言通り未来に向かって正しい仏法を弘めるために日本に御誕生になられたのです。

 
大聖人様御誕生
 大聖人様は、今から七百八十九年前の貞応元(1222)年二月十六日、安房国長狭郡東条郷片海(現在の千葉県鴨川市)に御誕生あそばされました。
 父の名は三国大夫重忠、母の名を梅菊女といい、幼名(子供の時の名前)を善日麿と名づけられました。
 当時の二月十六日は、現在の暦では四月六日に当たりますから、春のたいへん気候のよい時に御生まれになったことが判ります。また、釈尊が亡くなったのが、二月十五日であり、大聖人様が二月十六日に誕生されたことも、ただの偶然ではなく釈尊の予言に示される深い意義があるのです。

御両親が見た不思議な夢
 大聖人様のお母様は、お腹に大聖人様を授かるときに夢を見ました。
 ある日の夜、比叡山の頂きに腰をかけ、近江の琵琶湖の水で手を洗い、そして富士山から昇った日輪を胸に懐いた夢を見たのです。不思議に思ってお父様にその夢の話をしたところ、お父様もまた不思議な夢を見たのです。
 それは虚空蔵菩薩がかわいらしい児を肩に乗せて現れた。そしてその虚空蔵菩薩が言うことには、「この児は上行菩薩であり、行く末は一切衆生を救う大導師となる方である。この児をあなたに授けよう」、と言って消えてしまったという夢です。
 実に不思議な夢を見たものだと両親は、語り合ったそうです。
 またお母様は、御誕生の時にも次のような夢を見ました。
 一本の青蓮華の花が開いて、そこから泉が湧き出で、その清水をもって産湯に使われた。余った清水を四方へ注ぐと辺り一面は金色に輝き、周りの草や木には一斉に花が咲き菓がなったという夢です。
 末法の御本仏・日蓮大聖人様の御誕生にふさわしい、清らかで壮大な夢でした。
 これらの夢にも深い意味があります。夢には、日輪と蓮華が示されています。つまり「日蓮」という大聖人様の御名前が、御両親の夢の中に示されていたということです。

旃陀羅が子
 大聖人様は『佐渡御書』に、
「私は、ひどく貧しい、非常に身分の低い者と生まれ、旃陀羅という魚などの生き物を捕る漁師の家から出てきた者です」
と仰せになられています。
 それに対して、釈尊は国王の子供として誕生されています。どうして大聖人様は、身分の低い階層より出生されたのでしょうか。
 これは、大聖人様が自ら凡夫の御姿でお生まれになり、悩み苦しむ人々の中に入って救済されるためにほかなりません。
 また、南無妙法蓮華経の教えを弘めていくと、数多くの困難を蒙るということが法華経に説かれていますが、この法難に遭うためでもあります。もし、身分の高い家柄から生まれたならば、命を狙われるような法難は起こらなかったのではないでしょうか。
 このように、わざわざ一般民衆の中に、しかも漁師の家に御生まれになることをもって、南無妙法蓮華経の教えが真実であることを証明し、正しい宗教によってのみ困難を克服して幸福になれると大慈大悲の上から御示しになられたのです。

 総本山においては、毎年二月十六日に御誕生会が奉修されています。また、併せて「お塔開き」という行事も行われています。
 この行事は、五重塔の扉が開かれ、御法主上人猊下が読経・唱題されます。これは、末法の御本仏として、多くの人々を救うために御出現あそばされた大聖人様の御誕生をお祝いし、大聖人様が弘められた南無妙法蓮華経の大仏法が全世界に広宣流布していくという意義が込められています。
 皆さんの所属する寺院においても、この日を中心に御誕生会が奉修されますから必ず参詣して、大聖人様の御誕生を心からお祝いし、御報恩申し上げましょう。