令和2年7月16日付
                立正安国論
 皆さん、こんにちは。
 七月は唱題行の月ですね。皆さんも唱題行に励んでいますか。
 今月十六日は、日蓮大聖人様が『立正安国論』を鎌倉幕府に提出された日です。大聖人様は、『立正安国論』によって、国主に対する大折伏を行われました。
 このように意義のある七月ですから、皆さんも七月の一カ月間に毎日、唱題行を行い、立正安国の正義がいよいよ世界中に弘まって世の中が平和になっていくように、御祈念申し上げましょう。
 そして、大聖人様の御教えである折伏を行じていきますという決意を、いよいよ強くしましょう。

『立正安国論』提出、当時の世相

 大聖人様が『立正安国論』を御書きになられた当時、日本は災害が続いていました。
 その頃の様子は、中世の歴史書である『吾妻鏡』や、そのような記録をもとに作られた歴史年表、理科年表、そして、お家にある御書の後ろの年表で判りますよ。
 『立正安国論』が著わされる四年前の一二五六(康元元・建長八)年を見ると、八月六日に「暴風雨・洪水・疫病流行」がありました。
 その次の年は年号が変わって正嘉元年です。「八月二十三日に鎌倉大地震」とあります。この頃は、二、三年おきに地震がありました。特に、政治の中心地である鎌倉の被害が大きかったのです。
 大きな自信があると、立ち直るのに何年もかかりますが、立ち直りきらないうちに、また次の大地震で多くの人が被災していたのです。
 風水害も続きました。次の年も八月の「暴風雨」により、洪水や土砂崩れで多くの家が流され、たくさんの人が亡くなりました。
 一二五九(正元元)年春には、大飢饉・大疫病流
 飢饉になると、食べ物がないために、人々が飢えに苦しみながら亡くなってしまいます。もちろん、食べ物がなく体が弱っていると、感染症も勢いよく広がったことでしょう。
 こんな状態が何年も続いたら、苦しみが多く、「安心」「希望」など遠く感じられたのではないでしょうか。皆さんは想像ができますか。
 そして一二六〇(文応元)年七月十六日に、『立正安国論』提出です。
 いつ終わるとも知れない災難を目の当たりにされた大聖人様は、『立正安国論』に、災害や疫病が頻発する原因とその解決策を、仏法の道理の上から、正しく示されました。

立正安国

「立正安国」とは「正を立てて国を安んずる」ということです。
 これは、「謗法を捨てて、正しい仏法を信じる(=立正)ことにより、国を安泰にする(=安国)」ということなんです。
 『立正安国論』で大聖人様は、このことについて、
「世の中の人々は、皆、正しい仏法を信じないで、仏法に背く間違った教えを信仰してしまっている。
 そのために、国を守る善い神様や聖人は皆、いなくなってしまい、災害をもたらす悪い鬼や魔神がたくさんやらてきてしまった。だから、地震や火事、病気といったいろいろな災難が起こるのである。
 世の中を平和で安全な世界にしたいと望むならば、まずは、国中から間違った教え(謗法)をなくさないといけない。
 そして、まずあなた自身が、本門戒壇の大御本尊様を信じて南無妙法蓮華経を唱えるようになることです(趣意)」(御書 二三四n)
と教えられています。

終わりに

 現在、新型コロナウイルス感染症の影響によって、世界中が苦悩しています。その他にも、東日本大震災をはじめとする数々の地震や、台風・ゲリラ豪雨による洪水等の水害の爪痕が今も癒えていないのです。
 これらに続いて、新型コロナウイルス感染症の大流行となりました。大聖人様が『立正安国論』を書かれた当時と、ほとんど変わりがありません。
 こうした不幸を根本から解決するには、大聖人様の御教え通りに、一人ひとりが正しい信仰に目覚めることが必要不可欠なのです。
『立正安国論』に示される通り、謗法による人間社会(正報)の汚れが、環境や国土(依報)には災難として現われてきます(依正不二)。
 ですから、まずは皆さん一人ひとりが謗法を犯さないで、しっかりと御本尊様に御題目を唱えていきましょう。
 そして、世界のみんなが謗法を捨てて、正しい御本尊様に信心ができるよう、祈って、伝えてまいりましょう。