平成20年11月16日付
『立正安国論』について
 皆さん、こんにちは。
 来年の『立正安国論』正義顕揚七百五十年の大佳節まで一月半となりました。皆さんのお友達から「『立正安国論』とはなんですか?」との質問がありましたのでお話したいと思います。

 
御執筆された背景
 初めに、『立正安国論』をお書きになった背景と理由をお話します。
 大聖人様がいらっしゃた鎌倉時大の半ば頃は、大きな地震や家事、激しい風や雨などの自然災害、食物の不作による飢え、伝染病の流行など、様々な災害が長年続きました。そのせいで多くの人々が苦しみ、亡くなりました。この災害を鎮めるために、幕府は様々な宗教の僧侶に祈らせましたが、一向に止みませんでした。
 このような中、正嘉元(一ニ五七)年八月二十三日に、これまで起きたこともないような大地震が発生したのです。大聖人様は、これらの原因を明らかにして正しい仏法を弘めなければ、人々を救い、国を安泰にできないと深くお考えになられました。さらに、多くの人々に正しい仏法を説くだけでなく、国の政治を動かしていた幕府に対しても、正しい仏法を説くことが必要であったのです。
 そこで大聖人様は、多くの経典が揃っていた実相寺(静岡県富士市)において経典を御覧になり、『立正安国論』をお書きになる準備を始められます。
 そして、文応元(一ニ六○)年に完成され、同年七月十六日、宿屋入道を介して、当時の政治権力をもつ北条時頼に提出されました。

 
『立正安国論の内容』
 その『立正安国論』には主に次のような内容が示されています。
 「世の中の人々が南無妙法蓮華経の教えに従わずに誤った宗教や思想を信じているため、善神がこの国を捨て去り、悪鬼魔神が充満している。このために様々な災いが起きるのである。したがって、誤った法を捨てて、正しい南無妙法蓮華経の教えをこの国に立てなさい。そうすることによって災いが消えてなくなり、国が安泰になる。しかし、これに従わなければ、仲間同士の打ち合いと他国からの襲撃が必ず起こるであろう(趣意)」
と大聖人様は幕府に対して忠告(このことを「国主諫暁」と言います)されました。また、最後には、
 「南無妙法蓮華経の正しい教えは自分だけが信じていればいいのではなく、多くの人々に教え弘めていくことが大事なのである(趣意)」
と仰せになり、「立正安国」による平和への正しい道を示されたのです。

 
立正安国について
 さて、「立正安国」は「正を立てて国を安んずる」と読みます。「正しい法を立てて、国を安らかにする」という意味です。
 皆さん、「正しい法」とは、具体的に何か判りますか?
 まず、第一に「御本尊様(本門の本尊)」です。その根本は本門戒壇の大御本尊様で、この大御本尊様には、一切衆生を幸福にする仏様の力と法の力が具わっているのです。
 第二に、「この正しい御本尊様を信じて南無妙法蓮華経と唱えること(本門の題目)」です。大聖人様は私たちの正しい信心と修行のために御本尊様を顕されました。したがって、私たちは、この正しい御本尊様に縁して信心と修行をすることによってのみ幸せになれるのです。
 第三に、「正しい御本尊様を御安置して信心修行するところ(本門の戒壇)」を言います。私たちは本門戒壇の大御本尊様まします総本山に参詣すると共に、自宅に御本尊様を御安置申し上げ、自行化他の信心を根本とした生活をすることが大切です。
 これらの三つ(「三大秘法」と言います)を正しく弘めることによって、平和な社会を築いていくことができるのです。

 
立正安国の精神を持って
 来年は『立正安国論』が顕されて七百五十年を迎えます。現在も、悲惨な事件や事故が後を絶ちません。
 さあ、皆さん。この意義深い時に当たって、皆さんも『立正安国論』の御指南の通り、多くの人たちの誤った思想や宗教を正し、大聖人様のすばらしい仏法を未来、そして全世界に向かって教え弘めることを決意して、一人でも二人にでも実際に信心のお話をしましょう。そして、来年の記念総登山は元気に参加しましょうね。