平成23年6月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
                育成について F
 前回は、御本尊様への真心からの勤行・唱題・お給仕を心がけることの大切さを学びました。
 自らが毎日怠りなく勤めていくことはもちろんですが、こうした信仰の基本姿勢を各家庭において確認し合い、家族揃って実践していくところに、大きな功徳・善根が具わることは言うまでもありません。清流が滔々と流れるような、弛まぬ一家和楽の信心姿勢を培っていくためにも、子供たちへ正しく信仰を伝えていかなければなりません。

  信仰の灯火を伝える

 日蓮正宗の信仰を親から子、子から孫へと代々正しく受け継がせていくことを法統相続と言います。
 法統相続は、自らの成仏はもちろんのこと、両親や子供たちを未来永劫に成仏の境界に導くため、また、和合僧団を築き広宣流布の願業に邁進するためにも非常に大事なことです。
 日蓮大聖人様は『日女御前御返事』に、
 「南無妙法蓮華経とばかり唱へて仏になるべき事尤も大切なり。信心の厚薄によるべきなり。仏法の根本は信を以て源とす」
 (御書 一三八八n)


と、御本尊様に対する揺るぎない信心と、その功徳についてお示しになられています。
 大聖人様が説き顕わされた御本尊様は、どんな財宝や資産にも代えることのできない勝れた功徳の源ですから、親として子供に真の幸せを得る道を歩ませるためにも、この信心を受け継がせていくことは必要不可欠です。
 家族への折伏について総本山第九世日有上人の『化儀抄』には、
 「謗法の妻子眷属をは連連教化すべし(中略)折伏せざる時は同罪たる条分明なり」
(日蓮正宗聖典 九八二n)
 「二親は法華宗なれども子は法華宗に成るべからずと云う者あり、其の時は子に中を違うなり」(同 九七六n)
と、家族を入信せしめないのは与同罪となることや、子供に信心を伝える心構えについて厳しく御教示されています。
 自分の身近に一人でも不幸な人がいると悲しい気持ちになると思います。ましてや大切な子供に信心を教えず、三毒に迷う人生を歩ませることなど、黙って見過ごせるはずがありません。それは子供や孫たちに対する無慈悲な行いであり、自らが成仏の境界に至る道をも閉ざすこととなります。家族揃って正しく信仰を実践することが、一家の繁栄を確立することに繋がるのです。

  三世に亘る成仏のために

 法統相続は一家の幸せのため、子孫の繁栄のためであると共に、自らの成仏にとっても大きな意味を持ちます。
 大聖人様は『上野殿御返事』に、
 「其の親の跡をつがせ給ひて又此の経を御信用あれば、故聖霊いかに草のかげにても喜びおぼすらん。あはれいきてをはせばいかにうれしかるべき」(御書 七四五n)
と、法統相続した南条時光殿の信心は、親の成仏をも助けると喜ばれていますが、信仰を受け継ぐ子供は孝養心から親の追善供養を行い、成仏へと導いてくれるのです。
 しかし、法統相続がなされていないために、日蓮正宗の信仰が途絶えてしまう家庭があり、それでは正しい回向を望むことはできません。葬儀を邪宗で出されてしまう例もあり、これではかえって子孫を悪道に堕とすことになります。
 「されば先づ臨終の事を習ふて後に他事を習ふべし」(同 一四八二n)
との御金言を拝し奉り、憂いなく人生を歩むためにも、常に日蓮正宗の信仰の大事を子供に教えていきましょう。


  自らが模範となる信心姿勢を

 子供は幼児期に両親と共に行動することによって、親の逞しさ・優しさ等、様々なことを学んでいくと言われます。
 日蓮正宗の信仰についても同じで、子供が小さい頃から当たり前のこととして認識できるように、まず親である自分自身が信心に確信を持って模範となる姿勢を示すことが肝要であり、そこから自ずと正しい信心姿勢を学んでいきます。
 御本尊様への真心からの勤行・唱題・お給仕を心がけ、その場に必ず子供を同席させましょう。寺院への参詣、総本山の登山にもできるかぎり子供を連れて行くようにし、家族揃って信心を根本とした生活を送っていくのです。
 そうしていく中で、仏法で説く四恩報謝を弁えられるようになりますし、自然に大聖人様の説かれる立正安国の原理を命で感じ取り、日蓮正宗の信仰を実践する立派な跡継ぎとして成長することでしょう。
 法華講員の一人ひとりが、信心修行の大事として法統相続を心がけていくとき、広宣流布の礎はさらに磐石なものとなり、一天広布への息吹が上がらないはずはありません。
 法統相続は、現当二世の成仏を果たすため、一家和楽の信心を築くために必要であるのはもちろんのこと、大聖人様の正法正義を子々孫々に伝え、令法久住・広宣流布に向かう異体同心の支部組織を形成するためにも必要不可欠です。
 まずは平成二十七年・三十三年の佳節へ向けて、子供や孫と共に自らも広布の人材として活躍できるよう、自行化他にわたる実践行動を率先垂範してまいりましょう。