平成23年2月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
                育成について C
  教学に親しもう

 前回は、寺院参詣・講中活動による育成の大切さを学び、その中で信心・行体の錬磨のための教学研鑚について触れました。
 教学研鑚とは、日蓮大聖人の正しい教法を学ぶことをいいます。
 日蓮大聖人は『諸法実相抄』に、
 「行学の二道をはげみ候べし。行学たへなば仏法はあるべからず」(御書 六六八n)
と、修行の実践と共に教学の大事を御教示されています。また、御法主日如上人猊下は、平成十八年一月一日に発せられた訓諭において、
 「されば宗内僧俗一同和衷協力をもって只管に一天四海本因妙広宣流布達成の願業を目指し以て教学の振興と布教に徹し正法の興隆に邁進することが肝要であります」(大白法 六八五号)
と御指南あそばされています。
 広宣流布に向かう自行化他の信行において教学を疎かにすることがあってはなりません。信行学を旨とし興学・布教を根本理念とすることこそ、日蓮正宗の信仰と言えるでしょう。


  御書拝読の心得

 大聖人の教法は、「御書」を根本としてその多くを学ぶことができます。
 御書とは、大聖人が書き顕わされた教義書や、弟子・信徒方に宛てたお手紙などのことで、大石寺版の『平成新編日蓮大聖人御書』には、五百篇に及ぶ御書が収録されています。
 創価学会をはじめ他の日蓮宗系教団でも「御書根本」ということを主張する場合があります。しかし、第二祖日興上人が『日興遺誡置文』に、
 「当門流に於ては御抄を心肝に染め極理を師伝して若し間有らば台家を聞くべき事」(御書一八八四n)
と御教示されるように、大聖人より仏法の極理を師伝された日興上人以来、血脈付法の御法主上人の御指南に随って御書を拝することが肝要です。
 御書に示される御指南は末法の御本仏の御金言ですから、一文一句なりともゆるがせにしてよい部分はありません。他宗のごとき我見をもって拝しても御聖意を理解することはでき得ず、「御書根本」と言ったところで全く実義が伴っていないのです。
 したがって、教学研鑚の柱となる御書の拝読に当たっては、師弟の筋目を正すことが大切です。御法主上人猊下から直接御指南を戴く機会は限られていますから、御報恩御講や勉強会の折には必ず所属寺院に参詣し、指導教師のもと血脈相伝に基づいて純粋に教学を学んでいきましょう。
 一般的に書籍は大切に扱っていると思いますが、御書は特に気をつけ、無造作に床に置くなど粗雑な扱いがあってはなりません。
 また拝読に当たっては、総本山における法要や御講義の折に御書を拝する御法主上人猊下の所作振る舞い、所属寺院における御報恩御講や勉強会での指導教師の所作を手本としましょう。姿勢を正し、御題目を唱え、押し戴いてから拝読するのが基本となります。拝読した後も同様です。新入信者に伝えると共に自分の姿勢も確認してください。

  機関紙や書籍を活用しよう

 御書の他にも、宗門からは興学布教のため様々な機関紙や書籍が発行されています。
 日蓮正宗には、正式な機関紙である大日蓮、今手にしている法華講連合会発行の大白法、そしてまた毎月発刊される妙教などがあります。これらには御法主上人猊下の御説法や御指南をはじめとして、国内外にわたる宗内の出来事や布教講演、法華講員の体験発表などが掲載されています。
 特に御法主上人猊下の御指南や御説法は信仰の指針ですから、欠かさず拝読するよう心がけましょう。一つひとつの語句が難しく即座には理解できないこともあるでしょうが、そういった点について所属寺院で指導教師に指導を仰ぐ中で、法華講員としての自覚と方途が明確になっていきますし、師弟の筋道を正しく行ずることにもなるのです。
 また宗門からは、信仰の増進と折伏弘教の推進に役立つよう、さまざまな布教書が出版されています。平成十八年には「大日蓮出版」が設立され、より一層、興学布教の両面にわたる書籍の充実が図られています。
 こうした書籍は、各支部の勉強会や座談会のテキスト・資料としても活用されていることと思いますが、必ずや教学理解のみならず自己の信仰を深める一助となります。


  実践行動のための教学研鑚

 宗門では、信行学にわたる錬磨の機会として、法華講夏期講習会や法華講教学試験などを行っています。日頃から御書の拝読を中心とした教学研鑚を積んで参加をするのと、全く何も知らずに参加をするのとでは、得る結果にも大きな違いがあります。
 ですから、日頃から教学研鑚に励み、自らの信仰心を深め培っていきたいものです。
 また、教学に親しむということは、「折伏に必要な知識を身につける」ことになると心得てください。
 何より、折伏に際して大聖人の教法の正しさを話すとき、信仰体験の現証に付随して理証・文証の上からも説明ができたなら、説得力が増し、相手も安心して入信することができるでしょう。
 例えば、御書を実際に拝読して「宗祖日蓮大聖人様は、不幸の根源は謗法にあると仰せです」、または法華経を開いて示し「ここに『四十余年・未顕真実』とあるのを知っていますか」と折伏対象者に確信をもって伝えることが大切です。
 御書拝読の姿勢一つにも立正安国の実現に向かう折伏弘教の志が現われ、相手の心に必ず響きます。
 このように、教学を身につけることが折伏成就の大きな力となるのです。
 御法主上人猊下の、
 「ただ学問として、知識として内に秘めるだけで理として持っているだけではなくして、広宣流布のためにしっかりと役立てていく実践行動のための教学こそが大事ではないかと思います」(大日蓮 七六二号)
との御指南をよくよく拝し、布教に資する興学との意識を持って「実践行動の年」も前進してまいりましょう。