平成21年12月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
                日興上人の御生涯に学ぶ A

 前回に続いて、日興上人の御徳を拝します。

唯我与我の徳
 宗祖日蓮大聖人の仏法は、釈尊一代五十年の説法の中心、法華経の一番奥深いところに秘されていた御法門です。その御法門に示される教えこそが、諸仏成道の根本の法体である南無妙法蓮華経なのです。
 また、この妙法とその実践の方途を示された宗祖日蓮大聖人こそが、末法下種の御本仏なのです。
 この末法の御本仏である大聖人を師とし常随給仕し、これらの甚深の法門と御内証を余すところなく、大聖人より譲られたただ一人の御方こそ、御開山日興上人なのです。
 『日蓮一期弘法付嘱書』には、
「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり」(御書一六七五n)
と仰せられ、『本因妙抄』には、
 「唯我 日蓮 与我 日興 計りなり」(同  一六八四n)
との御言葉をもって、大聖人と日興上人の甚深の御境界と御関係を示され、日興上人こそが唯我与我の法器であられることを顕わされているのです。
この血脈は、あたかも一器の水を一器に移すように、時が変われども、大聖人からの法脈は何一つ変わることなく、現御法主日如上人猊下に至るまで脈々と流れ伝えられているのです。



法門正受の徳
 釈尊の八万四千の御法門は、あらゆる機根の衆生のために、高低様々な教法が広く説かれました。しかし、これらの種々の教えは法華経を説くための方便であり、すべては法華経に帰結するものです。
 この法華最勝の御法門の立て分けを従浅至深して示されたのが、中国の天台大師や妙楽大師、日本の伝教大師等の人師です。
 しかし、これらの一代諸経に対する判釈は、釈尊在世より正像二千年までの衆生を導く、熟脱仏法についてのものです。
 末法の一切衆生のために、釈尊は法華経を四句の要法にまとめて、地涌の菩薩に付嘱されたのです。
 大聖人は、『御義口伝』に、
「此の妙法蓮華経は釈尊の妙法には非ず。既に此の品の時上行菩薩に付嘱し玉ふ故なり」(同 一七八三n)
と、この結要の法体である妙法蓮華経が、付嘱によって上行菩薩が御所持であることを明かされています。
 つまり、大聖人の仏法は、釈尊の本門よりも一重立ち入った、種脱相対による本因下種の本門なのです。
 この御法門の綱格について、大聖人は教・機・時・国・教法流布の前後の五綱教判として、弟子檀那にお示しになられましたが、正しく受け切られた方は日興上人ただ御一人でした。
 大聖人の仏法を正しく受け、また後世に伝え残された日興上人の法門正受の徳によって、今日の私たちが大聖人の真正の仏法を信仰することができるのです。



仏法伝持の根本は御相承
 大聖人滅後、日興上人と他の五老僧と呼ばれる五人の高僧との間には、五一相対と呼ばれる法門上の相異が生じました。
 その内容は、
@五老僧は大聖人の仏法を天台の末流とみなしましたが、日興上人は大聖人を末法の御本仏と拝しました。
A五老僧は神社に参詣することを許しましたが、日興上人は謗法の神社参詣を禁止されました。
B五老僧は仮名文字の御書を蔑み、すき返しにしたり焼却したりしましたが、日興上人は、漢字・仮名文字を問わず大聖人の御書すべてを尊重されました。
C五老僧は法華経一部の書写や読誦などを立てましたが、日興上人はこれを誡め、『方便品』『寿量品』読誦を助行とし題目を末法の正行と立てられました。D五老僧は釈尊像を造立して本尊と崇めましたが、日興上人は大聖人自筆の大漫荼羅を本尊とされました。
E五老僧は法華迹門の戒である比叡山の大乗戒を用いましたが、日興上人は大聖人の仏法による法華本門の大戒を用いられました。
F五老僧は大聖人の墓所があった身延を重視し、日興上人の墓所不参をなじりましたが、日興上人は仏法においては法脈の清濁が大事であり、謗法と化した身延の地には大聖人の魂魄は住まないと主張されました。
G五老僧は富士山を辺鄙の地と下しましたが、日興上人は大聖人の御遺命に随って、富士は閻浮第一の最勝の地であり、大聖人の本願の所であるとされました。
 このように、五老僧と日興上人の間には、教理、修行のほか、大聖人を末法の御本仏として拝せるかについて、甚大な相違があり、現在に至っています。
 私たちが、今日、正しく大聖人の仏法を信仰することができるのは、ひとえに日興上人が大聖人の仏法を正しく受け切られたためであり、その正しい仏法の血脈を、日目上人以来の御歴代上人が厳護され、今日、御法主日如上人猊下に至っていることによるのです。
 私たちは、日興上人の、
「聖人の御義を相継ぎ進らせて、世に立て候わん事こそ詮にて候え。さりともと思い奉るに、御弟子悉く師敵対せられ候いぬ。日興一人本師の正義を存じて、本懐を遂げ奉り候べき仁に相当って覚え候えば、本意忘るること無くて候」(日蓮正宗聖典五六〇n)
との御言葉と御心を拝し、御法主上人猊下の御指南に信伏随従し奉り、指導教師の指導のままに、新たなる御命題である、
一、平成二十七年・二祖日興上人御生誕七百七十年の佳節までに、すべての法華講支部が現在の講員数を五十パーセント増加すること。
二、平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節までに、法華講員八十万人の体勢を築くことをめざし、自行化他に邁進していくことが大切です。