平成21年9月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
苦難を乗り越える
 私たちはふだん、謗法の充満する社会の中で生活し、知らず知らずのうちにその影響を受けています。
 時には、寺院への参詣をさせまいとする出来事や、自身の弱い心にも表れたりします。特に大きな信仰上の行事には、参加させまいという用きが強く出てくるものです。
 しかし、こういった魔の用きに流されたり、弱い自身の心のままに寺院から遠ざかったりすると、とても一生成仏は叶いません。
 魔を魔と見破り、自身の心を叱咤して、信心を根本とした生活によって、盤石な人生を築くことが大切です。

魔競はずば正法とは知るべからず
 法華経には、釈尊滅後、特に二千年を過ぎた末法に法華経を信仰し実践する人には、様々な難が起こることが説かれています。
『法師品』には、
「如来の現在すら、猶怨嫉多し。况んや滅度の後をや」(法華経三二六)
とあり、『安楽行品』には、
「一切世間に怨多くして信じ難く」(同三九九)
と説かれています。さらに、『勧持品』には、三類の強敵といって、法華経の信仰者に対し、俗衆増上慢=仏法に無智な在俗の人による迫害、道門増上慢=邪智に満ちた他宗の僧らによる迫害、僣聖増上慢=上辺では聖者として崇められる者が、内実は悪心を抱き、様々な手口を使って迫害すると説かれています。
 父親からの勘当という難に直面した池上兄弟に、大聖人は、
「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はば正法と知るべからず。第五の巻に云く『行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競ひ起こる、乃至随ふべからず畏るべからず。之に随へば将に人をして悪道に向かはしむ、之を畏れば正法を修することを妨ぐ』等云云。此の釈は日蓮が身に当たるのみならず、門家の明鏡なり。謹んで習ひ伝へて未来の資糧とせよ」(御書九八六)
と示され、必ず魔が現れるけれども、仏道成就のためには、決して従ってはならないと、門下の明鏡たる御指南を示されています。

大難四カ度、小難数知れず
 これらの法華経の文の通りに、大聖人の御身には、命に及ぶ大難が四カ度、その他の小さな難は数え切れないほど起きたのです。
 ところが、弟子や信徒の中には、迫害によって仏道に対する心が揺らぎ、法華経の信仰から退転してしまった人も多くいました。
 大聖人は、『四条金吾殿御返事』に、
「受くるはやすく、持つはかたし。さる間成仏は持つにあり。此の経を持たん人は難に値ふべしと心得て持つなり」(同七七五)
と、たとえどのような難が起きようとも、この信仰を持ち続けることが、自身の成仏にとって最も大切であると示されています。

天の加護なき事を疑はざれ
 一方、法華経の会座では、諸天善神が法華経の行者を守護することを誓っています。
 去る七月二十六日に開催された七万五千名大結集総会においても、前線が本州上に停滞して九州や中国地方に大雨を降らし、総本山も雨天の予報でした。
 ところが、二十六日朝には、周辺地域は雨にも関わらず総本山のみが徐々に晴れて気温も上がり、御法主日如上人猊下の御指南の際には、霊峰富士までもがその姿を現したのです。
 これは本門戒壇の大御本尊様の尊い功徳であることはもちろん、特に百日間の唱題行の尊い功徳の現証として、諸天善神の守護が正しく現れた相というべきです。
 このように、正法の信仰には必ず諸難が起きますが、恐れずに御本尊様を純粋に信仰するならば、必ず諸天善神の守護があるのです。
 大聖人様は、『開目抄』に、
「我並びに我が弟子、諸難ありとも疑ふ心なくば、自然に仏界にいたるべし。天の加護なき事を疑はざれ。現世の安穏ならざる事をなげかざれ。我が弟子に朝夕教へしかども、疑ひををこして皆すてきん。つたなき者のならひは、約束せし事をまことの時はわするゝなるべし」(同五七四)
と仰せられ、難が起きて信心が揺らぐような「まことの時」にこそ、御本尊様を信じ切ることが大切であると仰せられています。
  
寺院参詣と異体同心
 人生の行路必ずしも平坦なものではありません。心は縁に触れて紛動されやすく、信じ切ることはたやすいことではありません。
 そういう時こと、まず所属する寺院に参詣して御住職の指導を仰ぎ、また志を同じくする法華講員の仲間と支え合って信仰の歩みを運ぶことが大切なのです。
 大聖人は、
「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合わせて、南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ」(同九九一)
と仰せられ、人生の様々な場面において、苦は苦、楽は楽として、妙法に照らされた信心を根本にしていくことが大切であると御教示されています。

新たな御命題に向かって
 七万五千名大結集総会の席上、御法主上人猊下から、新たな御命題を賜りました。
一、平成二十七年・二祖日興上人御生誕七百七十年の佳節までに、すべての法華講支部が現在の講員数を五十パーセント増加すること。
一、平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御生誕八百年の佳節までに、法華講員八十万人の体勢を築くこと。
七万八千名を越える大結集をもって、大出陣式を意気高らかに遂げた私たちに、新時代の広宣流布への幕開けが訪れました。
 さあ、御法主上人猊下から賜った御命題を達成すべく、さらなる唱題・折伏行に励んでまいりましょう。