平成21年6月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
立正安国実現に資する七百五十億遍唱題行
 宗門では今、御法主日如上人猊下の率先垂範のもと、僧俗一丸となって、百日間の「七百五十億遍唱題行」に励んでいます。
 御法主日如上人猊下は、四月一日の七百五十億遍唱題行の砌に、唱題行の意義について次のように御指南されています。
「この唱題行は、御命題の『大結集』と『地涌倍増』達成のために行われるものであります。具体的に申し上げますると、七月十五・十六日の『記念大法要』、そして七月二十六日の『七万五千名大結集総会』、そして今、行われております『記念総登山』の達成、さらに地涌倍増の達成のためであります」(大白法 七六三号)
 大聖人様は『撰時抄』に、僧俗一丸となって唱える題目の意義について次のように仰せです。
「日蓮が法華経を信じ始めしは日本国には一H一微塵のごとし。法華経を二人・三人・十人・百千万億人唱え伝うるほどならば、妙覚の須弥山ともなり、大涅槃の大海ともなるべし。仏になる道は此よりほかに又もとむる事なかれ」(御書 八六八n)
翻って現在、御法主日如上人猊下率先垂範のもと、宗内僧侶及び国内約十五万人の法華講員が一日二時間、五千遍の唱題を百日間行うことは、まさに御命題達成への大事な行業であり、ひいては広宣流布による真の立正安国実現につながる直道であって私たちの成仏の道であると拝すべきでしょう。

本門の題目とは信行具足の題目
 総本山第二十六世日寛上人は本門の題目に、信と行の二意を具えると御教示されています。
「信」の一字について『御義口伝』に、
「三世諸仏の成道も信の一字より起こるなり。此の信の字は元品の無明を切る所の利剣なり」(同一七三七n)
と説かれています。
 この御文は、三世の諸仏が成仏する根源も信の一字によるのであり、私たちが過去遠々劫より犯してきた罪障の根源である元品の無明(根本の煩悩)を打ち破って成仏が叶うのも信の一行によるとの御教示です。
 また、「行」について、同じく
『御義口伝』に、
「今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉るは行道なり、唱へざるは不行道なり」(同一七七一n)
と仰せられ、日蓮と弟子檀那にあっては、南無妙法蓮華経と唱える者こそ仏道修行をしている者であり、唱えないのは修行をしない者である、と断言されています。
 したがって信行を具足した本門の題目を実践していくことが大聖人様の御意に適った仏道修行なのです。

本門の題目とは自行化他にわたる題目
 今回の七百五十億遍唱題行は『立正安国論』 の正義を顕揚し、世界中を平和仏国土へ変革する実践行として大事な意義があります。
 それは、立正の両字に三大秘法を含む故に、本門の本尊を信心口唱する本門の題目にも、自ずと立正の意義が存するからです。
 破邪なくして立正はありませんから、当然、本門の題目とは、破邪顕正つまり自行化他にわたる題目の実践となるのです。
 即ち、『三大秘法抄』において、
「今日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘りて南無妙法蓮華経なり」(同一五九四n)
と仰せの通り、自ら唱題の大功徳を頂戴すると同時に、自分自身に止めることなく功徳を伝えていく、つまり折伏を実践し、自行化他にわたる修行を行っていくこと。それこそが大聖人様が御唱えになった御題目、本門の題目であるということです。

信仰は観念でなく実践であり行動
 現在行われている唱題行は、御命題達成のために広布の使命に燃えて、講中活動・記念総登山に積極的に参加し、折伏の勢いをつけるためにあります。
 御法主日如上人猊下は、
「祈りを成就するためには、行動が伴うことを忘れてはなりません。(中略)実践行動をとおして初めて、私達は仏智をいただくことができるのであります」(大白法 七〇九号)
また、七百五十億遍唱題行の初日において、
「信仰は観念ではなく実践であり、行動であります。したがって、百日間の唱題行を行うというところに大きな功徳がある」(同 七六三号)
と仰せになられています。
 要は、唱題行そのものが実践であり、そこから自行化他にわたる信仰活動を起こしていくところに、真の功徳があらわれてくるのです。

六百億遍唱題行の功徳−地涌六万大総会の大成功
 本宗僧俗が異体同心になって六百億遍唱題行を貫徹した平成六年の地涌六万大総会の折、法界を揺り動かす大功徳の実証がありました。その一つに台風の不可思議な進路が挙げられます。
 地涌六万大総会の前々日、日本の遥か南方の海上から、大型で非常に勢力のある台風七号が静岡方面に向かって直進していました。直撃すれば総本山に大きな被害をもたらすほどの勢いでした。ところが総会前日、突如として台風は進路を西に変え、しかも水不足に苦しむ西日本の各地に恵みの雨をもたらし、大総会当日の総本山は見事に晴れ耽り、澄み切った青空のもとに大歓喜の中、地涌六万の大出陣式が盛大に開催されたのです。
 これはまさに仏祖三宝様の御威光と本宗僧俗の六百億遍唱題行の功徳によって多大な法味を得た諸天の加護と確信する現証です。

 五千遍の唱題行やり切り御命題達成へ
 総本山第二十六世日寛上人は、
五千遍の唱題によって仏の位である妙覚位に入る功徳があることを示され、紅が塗り重ねることよって色が増すように、また珠が磨かれて輝きを増すように、日々弛まぬ唱題行を修して、功徳を積み重ね、信心を磨いていく大切さを御指南されています。(『雑要集』)
 宗内僧俗の一人ひとりが一日二時間五千遍の唱題行を百日間やり切ることによって、『立正安国論』に、
「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰えんや。十方悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば身は是安全にして、心は是禅定ならん」(御書 二五〇n)
とお示しにように、自身が妙法と開かれると共に、個々が妙法の体現者となり、そこから衆生・国土世間の全体にわたって妙法の仏国土化が実現するのです。
「一切を開く鍵は、唱題行にある」と仰せられた前御法主日顕上人猊下の御言葉を確信し、唱題折伏によって内外に潜む障魔を敢然と打ち破り、御命題達成に向けてさらに境界を開いてまいりましょう。