平成18年11月1日付
日蓮正宗の基本を学ぼう
勤行と御祈念について
勤 行
 第二十六世日寛上人が、
「大覚世尊世尊設教の元意は、一切衆生をして修行せしめんが為なり」(六巻抄一六一n)
と仰せられるように、仏様が種々の教えを説いたのは、人々に仏法を修行させて成仏へと導くためなのです。
 ですから仏教は、教えを学ぶことよりも、その教えを実践することを重んじるのであり、その実践が修行なのです。
 日蓮正宗の修行には、勤行や唱題、折伏などがありますが、特に毎日の修行として定められているのが勤行です。
 千里の道も一歩一歩進んでいくように、私たちは信心を目とし、修行を足として、着実に信心の歩みを運ぶことが大切です。



『方便品』と『寿量品』の読誦
宗祖日蓮大聖人様は、
「法華経は何れの品も先に申しつる様に愚かならねども、殊に二十八品の中に勝れてめでたきは方便品と寿量品にて侍り。余品は皆枝葉にて候なり。されば常の御所作には、方便品の長行と寿量品の長行とを習ひ読ませ給ひ候へ」(御書 三〇三n)
と、『方便品』と『寿量品』は法華経の根幹の二品であるので、常の所作である勤行には『方便品』と『寿量品』を読誦することを御教示されています。
 『方便品』と『寿量品』を読誦することには、さらに深い御法門がありますが、一言で言えば、正行である唱題の功徳を助け顕す助行としての意義があるのです。

引題目・唱題の意義
 初座から四座までは、読経の後に引題目を唱えます。
 この引題目には、大聖人様の仏法が末法万年の永きに亘って、広く世界に流布し、その無量の功徳が一切に行き渡ることを顕すために長く引いて唱える意義があります。
 また、読経の後の唱題は、言うまでもなく最も大切な修行です。
 御本尊様に向かって唱題をするとき、御本尊様の仏力と法力と、唱題をする私たちの信力と行力とが合致し融合して、即身成仏の大きな功徳を得ることができるのです。
 拝む人の側が、いかに真剣に祈り題目を唱えたとしても、間違った本尊・『ニセ本尊』であったり、たとえ大聖人様・日興上人様以来の本宗御歴代上人の御本尊であっても、護持する者が退転して本宗の血脈から離れてしまったならば、即身成仏の功徳を得ることはできません。

御観念文の意味 (各座の意義)

 勤行は、仏宝・法宝・僧宝に対して報恩感謝申し上げることを中心として、広宣流布の御祈念や追善回向などを行います。
 まず初座では、東天に向かい、諸天善神に法味をお供えして守護を願います。
 次に二座では、本門戒壇の大御本尊様に御報恩感謝申し上げます。
 三座では、御本仏日蓮大聖人様、血脈付法の日興上人様、三祖日目上人様および日道上人様以来の御歴代上人様に御報恩感謝申し上げます。
 四座では、広宣流布の御祈念と私たちが過去から現在に至るまでに犯した様々な謗法罪障が消滅して、より信心修行が増進するよう祈念し、併せて個々の祈念を申し上げます。
 五座では、御歴代上人様の御命日忌の御回向をはじめ、先祖代々の諸精霊の回向や、本宗信徒各位の諸精霊の回向を申し上げ、最後に宇宙法界のすべての衆生や事々物々が、この妙法蓮華経の功徳に浴し、平等に成仏得道することを御祈念します。

勤行の際の姿勢と心構え
 勤行を行う際には、身と口と意を整えて、真剣に勤行をすることが大切です。
 第五十九世日亨(にちこう)上人は、
「御題目の唱へ方は、身に油断怠りなきよう、意に余念雑念なきようにありたい、口より出す声は早口であったり粘口であったりしてほならぬ。落着いて確固と尻強に中音に唱へねばならぬ、唱ふる数には定まりがない、多くとも少なくとも其人の都合であるが、身体の方は両の指掌を合せて指先が鼻の下に向くように、眼は確かに御本尊に向ふように、其(そ)して身体中が歓喜で踴躍(ぞくぞく)するようにありたい、御本尊と吾等と一体不二に成るまで励まねはならぬ」(日蓮正宗綱要一三四n)
と、御本尊様に向かう際の姿勢や心構えについて、懇切丁寧に御指南されています。
 初めのうちは、勤行はたいへんだと感じるかもしれませんが、欠かさずに行っていくうちに、勤行せずにはいられなくなります。



御命題成就の御祈念と共に
 御法主日如上人猊下より、「平成二十一年・『立正安国論』正義顕揚七百五十年」に向かって「地涌倍増」と「大結集」の御命題を必ず成就するため、左記の御祈念をするようにとの御指南を賜りました。
「来たるべき平成二十一年・立正安国論正義顕揚七百五十年に当たり、地涌倍増と大結集を名実ともに必ず成就なさしめ給え」(大白法 七〇一号)
この御祈念は朝夕の勤行、唱題行の折などに必ず行いましょう。
 真剣に御祈念し、折伏に励むならば、必ず折伏成就、地涌倍増をなさしめる不思議な力となって顕れてくることでしょう。
 勤行を心を込めて行い、御本尊様の大慈悲に包まれた生活を、共々に送りましょう。
 そして、この御本尊様の大きな功徳を確信して、今日も折伏に出かけましょう。