日蓮正宗の年中行事 
「大日蓮 平成23年11月号」
元 旦 勤 行 
  正月は妙の一字のまつり
 
正月一日は、古来、色々な行事が行われ、一年中で最も意義深い祝日とされてきました。
 日蓮大聖人が『秋元殿御返事』のなかで、
「正月は妙の一字のまつり」(御書三三四n)
と仰せられているように、日蓮正宗で行われる元旦勤行は一層、意義深く、めでたい行事の一つです。
 さらに、大聖人は同抄において、
「此くの如く心得て、南無妙法蓮華経と唱へさせ給へ。
『現世安穏後生善処』疑ひなかるべし」(同n)
と、正月を「妙の一字の祭り」と心得て、題目を唱えていくことによって現世が安穏となり、成仏は疑いないことを教えられています。
 法華経の開経である無量義経には、
「無量義とは一法より生ず」(法華経一九n)
と説かれていますが、この一法とは妙法蓮華経であり、宇宙の森羅万象は、この妙法の真理より出て、また妙法の真理に納まるのです。したがって、私達の人生もまた、知ると知らざるとにかかわらず、この根源の大真理によって存在せしめられているのです。
 この一法こそ、末法流布の大白法である法華経寿量品文底の妙法蓮華経です。久遠元初の御本仏の再誕宗祖大聖人こそ、この妙法を所持なされるお方であり、命を懸けてこの妙法を弘められました。
 私達、末法五濁悪世の衆生は、この仏様に結縁してのみ即身成仏という永遠不壊の幸福をつかむことができるのです。

  神社等への参詣は誤り

 世間においても「一年の計は元旦にあり」といって、一年の始まりを重んじ、また 「初詣で」と称して他宗の寺院や神社に参拝している人々の姿を目にします。
 しかし、大聖人が『立正安国論』に、
「世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相去り、聖人所を辞して還らず。是を以て魔来たり鬼来たり、災起こり難起こる」(御書二三四n)
と仰せられるように、世間の人々が大聖人の立てられた正法を信受せずに謗法を行っているために、善神は天上に去ってしまい、かわりに悪鬼魔神が神社等に入り込んでいるのです。
 つまり、神社等で祭っている神体を天照大神や八幡大菩薩などと謳っていたとしても、実際にはそこは悪鬼の住処となっているのです。
 したがって、妙法を信じない人々が、どれほどきれいな衣装で身を着飾って新年を迎え、心を新たにしたと思って神社等に参拝したところで、結局、真の福徳を積むことはできず、六道輪廻の迷いの世界で悩み、苦しまねばならなくなるのです。
 よって、本宗信徒はこういった場所に参拝したり、祭りへの参加や寄付を行うことは、かえって悪業を積むことになり、それら魔の力を増長させることになるのですから、厳に慎まなくてはなりません。

  正法をもって新年を迎えることが大事

大聖人は『十字御書』に、
「正月の一日は日のはじめ、月の始め、としのはじめ、春の始め。此をもてなす人は月の西より東をさしてみつがごとく、日の東より西へわたりてあきらかなるがごとく、とくもまさり人にもあいせられ候なり」(同一五五一n)
と仰せられ、正法をもって一年の初めである正月一日を大切に迎える人は、その志によって徳も勝り、人からも愛され、慕われていくと指南されています。
 また同書には、法華経を信ずる人と敵対する人とを比較して、法華経に敵対する謗法の人は、災いを千里の外から招き寄せ、逆に信ずる人は幸いを万里の外から集めることができること、さらに法華経を信ずる人は、栴檀に良い香りが具わっているように、信心の福徳が具わることを御教示されています。
 それだけに、御本仏の常に変わらぬ大慈悲に浴することのできる私達は、元旦を仏法の深意にも通ずる、大変めでたい「妙法の祭り」と理解すべきです。
 これらの意味から、真実の新年のお祝いは、仏法の根幹である三大秘法総在の御本尊を信受する日蓮正宗の僧俗のみが行えることを知らなくてはなりません。
 総本山大石寺においては、御法主上人の大導師のもとに、全山の僧侶が出仕し、近在等の檀信徒も多数参詣して厳粛かつ荘厳に奉修され、下種三宝尊への御報恩と広宣流布大願成就を祈念し、それによって確立される世界平和と、人類の幸福を願うとともに、本宗僧俗の一年の無事息災を念じられます。
 そののち、御法主上人から親しく新年のお言葉を賜り、元旦勤行終了後には、客殿前の広場において甘酒を頂戴して新年をお祝いします。
 また、全国の各末寺においても、これにならって、所属信徒が参詣し、元旦勤行を行っています。
 私達は一切の世事に先駆けて、本宗寺院に参詣し、新年最初の元旦勤行をしっかり勤めましょう。そしてこれからの一年を、弛まぬ清い信心で貫き通し、地涌の菩薩の眷属の名に恥じない、確信に満ちた信行に邁進できるよう、心新たに誓願申し上げることが肝要です。
 なお、正月の飾り付けは門松、お鏡飾り等で行います。
 門松は、門や玄関等の入口に、松・竹・梅・樒など一対を十二月三十日までに用意し、正月七日の夕方に除くのを通例とします。
 またお鏡飾りは、御本尊の前や床の間に用意します。このとき、白色・赤色の紙などを細長く切った御幣(他宗や神社などで繁盛、魔除けを意味する装飾)は使用しません。
 このお鏡飾りも、十二月三十日までに用意し、正月七日の夕方に除くことが通例となっています。
 末寺寺院では、左図(一か二) のようにお飾りします。