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大白法 令和2年9月16日付 | |
64ページ 四弘誓願 | |
誓願とは、一般的には誓いを立てて仏や神に祈願することですが、仏法では、自身が仏に成ると共にすべての人々を救おうという願いを起こして誓うことをいいます。 天台大師は、 「牛の御無くして所趣を知らざるが如し。願来って行を持し、将て所在に至る」(摩訶止観弘決会本 下-195㌢) と御示しです。仏道修行をする上で誓願を立てなければ、まるで手綱を引く者がいない牛と同じように、行き先が定まらずどこに向かってしまうか判りません。誓願があればこそ、修行を持続して、目的地に到達することができるのです。 誓願の中でも、菩薩が悟りを求める心を初めて起こした時に必ずお誓いする4つの誓願を四弘誓願といいます。これは、すべての菩薩が発こすべき共通の誓願であることから、「菩薩の総願」ともいわれます。 それぞれの内容を簡単に説明すると、次のようになります。 ①「衆生無辺誓願度」……迷い苦しんでいるすべての生き物を救って、成仏に導こうと誓うこと。 ②「煩悩無数誓願断」……計り知れない多くの煩悩(貪・瞋・癡など)を断じ尽くそうと誓うこと。 ③「法門無尽誓願知」……尽きることのないほど広大な仏様の教えをすべて学び知ろうと誓うこと。 ④「仏道無上誓願成」……仏道を行じてこの上ない悟り(成仏)を証得しようと誓うこと。 以上の誓願には、上求菩提・下化衆生」という菩薩の在り方から、自分自身の悟りを求めていく自行と、他の人々を教化して利益を与えようと励む化他行の、2つの修行が重ね備わっています。初めの衆生無辺誓願度は化他行(利他)に、残りの三願は自行(自利)に約すことができます。 日蓮大聖人様は『御講聞書』に、 「所詮四弘誓願の中には衆生無辺誓願度肝要なり。今日蓮等の類は南無妙法蓮華経を以て衆生を度する、是より外には所詮無きなり」(御書1862㌢) と、自分を利する自行より、人々を成仏に導いていく化他の誓願が最も重要であると仰せです。さらに『四恩抄』には、 「一切衆生なくば衆生無辺誓願度の願を発こし難し」(同267㌢) と御教示です。 私たちは、未だ正法に巡り合えずに迷い苦しむ多くの人々がいるからこそ、誓願を立てて折伏を実践できるのであり、自身の罪障を消滅して功徳を積むことができるのです。 そこに地涌の菩薩の眷属としての四弘誓願の実践が具わることを自覚し、自行化他の信行に励んでいきましょう。 |