教学ノート
   大白法 平成30年3月16日付
40ページ 発  心
 発心とは、発意とも言います。どちらも、仏様の教えを信仰して悟りを得ようと志すことです。これを「菩提の心を発す(発菩提心)」と言います。つまり、私たち衆生が成仏を願って修行しようと決意すること、を意味しています。
 ここから転じて、思い立ってある事を始めること、物事を成し遂げようと決心する意味で用いられるようになりました。
 天台大師は、『摩訶止觀』に、
「仏道に入る決意は、すべての修行の基本である(趣意)」(摩訶止観弘決会本 上―134ページ)
と、まずは決意することが大切と説かれています。ふだん、勤行をきちんとしよう、唱題をがんばってみようなど、信心はもちろんですが、勉強や習い事なども、まずは「やる」と決めることが大切ですね。
 しかし、せっかく仏道を志しても、その決意が揺らいだり長続きしないことがあります。それは、私たちに「煩悩」があるからです。この煩悩によって、惑わされたり悩まされたりしてしまうことがあります。
 日蓮大聖人様は『弥源太殿御返事』に、
「法華経は過去、現在、未来の三世諸仏が一大発心して、成仏のための杖とする教典なのです。ただし末法の今は日蓮を杖柱と頼みなさい。険しい山や悪路を行くには杖をつけば倒れることはありません(趣意)」(御書722ページ)
と仰せられています。
 大聖人様が顕された南無妙法蓮華経を、杖や柱のように頼って信心を強盛に持てば、最初の決心を崩さずに目的に向かって励むことができ、どんなに険しい道でも成し遂げることができるのです。
 されに『祈祷抄』には、
「大地を指差して外れることはあっても、大空を結び繋ぐ者があっても、潮が満ち引きしないことがあっても、太陽が西から出ることがあっても、法華経の行者の祈りが叶わないことはない(趣意)」(同630ページ)
と説かれ、御本尊様にしっかりと勤行・唱題することで、すべての祈り、すなわち大聖人様の教えが弘まることも、また様々な願いも、必ず成就すると御教示されています。
 私たちも新年度を迎えるに当たり、発心して新たな目標を立て、力いっぱい精進してまいりましょう。

★ポイント
日寛上人の御指南
総本山第26世日寛上人は、
「一、強情の菩提心等文。
『身命を愛せず但無上道を惜しむ』とは、即ち是れ宗門の菩提心なり。蓮祖既に爾なり。末弟如何ぞ此の願を立てざる。励むべし励むべし云云」(御書文段102ページ)
と仰せです。
 日蓮大聖人様は多くの法難に遭いながらも南無妙法蓮華経を弘められました。大聖人様の弟子・檀那である私たちが、「我不愛身命」の精神を持って仏道修行に励もうと志を立てることが、日蓮正宗僧俗が立てるべき「宗門の菩提心」であると御指南されています。