教学ノート
   大白法 平成29年11月16日付
38ページ 四 苦 八 苦
 四苦八苦とは、私たちが受けるすべての苦しみを総称した言葉です。現代では「四苦八苦する」などの言い方で、たいへん苦労することの意味で用いられています。
 四苦は、生苦、老苦、病苦、死苦の四つの苦しみのことを言い、これに愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦の四つの苦しみを加えて八苦と言います。四苦とは別に八苦があるのではありません。
 まず、生苦とは生まれる苦しみ、老苦とは老いる苦しみ、病苦とは心や身体に不調をきたす(病気になる)苦しみ、死苦とは死を迎える苦しみのことです。
 次に愛別離苦とは、愛しい人と別れて離れなければならない苦しみ、怨憎会苦とは、怨み憎む人と会わなければならない苦しみ、求不得苦とは、求めても自分の思い通りに得られない苦しみ、五陰盛苦とは、五陰(色、受、想、行、識)に執着することによって受ける苦しみのことです。
 現実世界の中で、四苦八苦から生じる苦悩を受けずに生活できる人は一人としていません。
 法華経『譬喩品第三』には、
「世の中の人々は、いつも四苦から起こる様々な苦悩を受けている。またその苦しみが悪因となって、来世では地獄・畜生・餓鬼の苦しみを受けることになり、仮に天界や人界に生まれたとしても、心は貧しく困窮し、愛しい人とは離別し、怨み憎む者と出会っては怒り苦しむことになる。このように人々は、苦悩に埋もれているにもかかわらず、苦しみを自覚できず、苦しみの中で平然と暮らし、大きな苦しみに遭っても心配しないでいる(趣意)」(法華経151)
と説かれています。
 日蓮大聖人様、こうした苦悩に満ちあふれた中で生きていく心得を、『四条金吾殿御返事』に、
「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ。これあに自受法楽にあらずや。いよいよ強盛の信カをいたし給へ」
(御書 991)
と仰せです。
 私たちは苦は苦、楽は楽と認識し、苦楽共に受け入れて御本尊様に南無妙法蓮華経と唱えるならば、どんな苦悩や困難にも負けることなく、力強く人生を送ることができるのです。



★ポイント
御法主日如上人猊下は、
「真実の仏法を知らない多くの人々が、三界六道の苦しみを受け、転々として苦しみを繰り返し、この苦しみの世界から出ることができずに喘いでいます。これはすべて、邪義邪宗の謗法によるものであります。
 私どもは、こうした苦悩に喘ぐ多くの人々に対して、邪義邪宗の害毒の弊害を説き、折伏を行じ、救っていかなければなりません」(大白法891号)
と仰せです。人々を苦しみから救う正法を弘めるのは、私たちの使命です。