御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
広布唱題会
(平成31年4月21日 於総本山客殿)

 本日は、本年四月度の広布唱題会に当たり、皆様には御繁忙のところ、わざわざ出席され、まことに御苦労さまでございます。
 通常、広布唱題会は第一日曜日に行われておりますが、今月は宗門の二大法要である御霊宝虫払大法会と重なりましたので、変更して本日に行われることになりました。
 また、来月から年号が平成から令和に替わりますので、本日の広布唱題会は平成最後の広布唱題会となります。平成から令和に年号は替わりますが、皆様方には一天広布を目指して、なお一層の御精進を願うところであります。
 さて今、宗門は、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて、全力を傾注して前進をしております。
 法華講員八十万人体勢の構築は、かねて私どもが御宝前にお誓い申し上げた目標であり、すべての支部が僧俗一致・異体同心し、一支部も漏れることなく、必ず達成しなければならない、今、一番大事な目標であります。
 その目標達成のためには、私ども一人ひとりが、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の弟子檀那としての自覚と、一天広布を目指す断固たる決意と、何ものも恐れない勇気を持って、折伏を行じていくことが肝要であります。
 大聖人様は『妙法比丘尼御返事』に、
「仏法の中には仏い部しめて云はく、法華経のかたきを見て世をはゞかり恐れて申さずば釈迦仏の御敵、いかなる智人善人なりとも必ず無間地獄に堕つべし。譬へば父母を人の殺さんとせんを子の身として父母にしらせず、王をあやまち奉らんとする人のあらむを、臣下の身として知りながら代をおそれて申さゞらんがごとしなんど禁められて侯」(御書一二六二n)
と仰せであります。
 「法華経のかたき」すなわち、邪義邪宗の謗法の者を見ていながら、世をはばかり恐れて、折伏をしないのは仏様の敵であり、たとえどのような智人・善人であったとしても、必ず無間地獄に堕ちるであろうと、大聖人様は厳しく仰せられているのであります。
また、涅槃経には、
「若し善比丘あって法を賢者を見て、置いて呵責し駈遣し挙処せずんば、当に知るべし、是の人は仏法の中の怨なり。若し能く駈遣し呵責し挙処せば、是我が弟子、真の声聞なり」(同一〇三九n等)
と仰せられ、もし「法を壊る者を見て」すなわち、謗法の者を見ながら迫害を恐れて、「呵責」誤りを厳しく責めもせず、「駈遣」追い払いもせず、「挙処」はっきりと罪過を挙げて糾明し、処断もせず、すなわち折伏をしなければ、それは「仏法の中の怨」であり、「若し能く駈遣し呵責し挙処」すれば、これは仏様の真の弟子であると仰せられているのであります。
 この御文を拝する時、私どもの信心にとって、いかに折伏が大事であるかを、しっかりと知らなければなりません。
 したがって、大聖人様は『法華初心成仏抄』に、
「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依りて、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説き聞かすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓の縁となって仏になるべきなり。何にとしても仏の種は法華経より外になきなり」(同一三一六n)
と仰せられているのであります。
 この御文中に「毒鼓の縁」とありましたが、既に皆様もよく御存じのように、涅槃経に説かれている話であります。すなわち、毒を塗った太鼓をたたくと、その音は聞こうとしない者の耳にも届き、聞いた者は皆、死ぬと言われております。これは、法を聞こうとする心はなくとも、これを聞けば、やがて煩悩を断じて得道できることを、毒を塗った太鼓を打つことに譬えているのであります。
 つまり、一切衆生には皆、仏性が具わっており、正法を聞信し発心・修行することによって、仏性が仏性としての用きを示し、成仏することができると仰せられているのであります。したがって、末法今時では順縁の衆生はもとより、たとえ逆縁の衆生であっても、三大秘法の南無妙法蓮華経を聞くことによって、正法と縁を結び、必ず成仏することができると仰せられているのであります。
 この御金言を拝する時、私どもは広大無辺なる妙法の功徳を拝信するとともに、一人でも多くの人に妙法を下種し、折伏を行じていくことが今、最も大事であることを知らなければなりません。
 特に今、宗門は総力を結集して、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて前進しています。この時に当たり、全国の法華講は一支部も漏れることなく、御宝前に誓った折伏誓願を必ず達成され、もって仏祖三宝尊の御恩徳に報い奉ることが、来たるべき令和三年・宗祖日蓮大聖大郷聖誕八百年の慶事をお迎え申し上げる最善の御報恩になることを銘記され、折伏誓願を達成されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。