御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
広布唱題会
(平成31年2月3日 於総本山客殿)

 本日は、二月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 今月は、宗祖日蓮大聖人御聖証の月であります。
 既に皆様方も御承知の通り、大聖人様は貞応元(一二二二)年二月十六日、法華経において予証せられた通り、外用上行菩薩、内証久遠元初自受用身の御本仏として末法に御出現あそばされました。
 その御出現の目的は『御義口伝』に、
「今日蓮が唱ふる処の南無妙法蓮華経は末法一万年の衆生まで成仏せしむるなり(中略)妙法の大良薬を以て一切衆生の無明の大病を治せん事疑ひ無きなり」(御書一七三二n)
と仰せられているように、久遠元初の妙法蓮華経をもって、末法本未有善の衆生をして、ことごとく仏道に入らしめ、即身成仏せしめるためであります。
 すなわち、この御文中「今日蓮が唱ふる処の南無妙法蓮華経」とは、久遠の本法たる妙法五字であり、人即法・法即人の妙法蓮華経にして、人に約せば久遠元初自受用報身如来の再誕、末法御出現の御本仏宗祖日蓮大聖人であり、法に約せば久遠元初の妙法であります。この人法一箇の妙法こそが、末法の一切衆生救済の大法であります。
 しかるに、世間の多くの人達は、謗法の害毒によって正しい法を見失い、苦しみから逃れることができず、苦悩に喘いでいるのが現状であります。
 故に『秋元御書』には、
「謗法の者其の国に住すれば其の一国皆無間大城になるなり」(同一四五〇n)
と仰せられ、謗法の害毒によって人心が乱れ、それがそのまま国土の乱れを呼び、一国が無間大城に堕ちて苦しんでいるのであります。
 まさしく、世の中が乱れ、人々が不幸と混乱と苦悩に喘いでいる根本原因は、すべて邪義邪宗の謗法の害毒にあり、この謗法の対治なくして、人々の幸せも、世の中の平和も、国土の安穏も実現することはできないのであります。
 ここに今、私どもが謗法を破折し、折伏を行じていかなければならない大事な理由が存しているのであります。
 されば『聖愚問答抄』には、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(同 四〇三n)
と仰せられ、邪義邪宗の害毒によって混乱を極めている今、末法にあっては、ただ折伏をもって正規となし、謗法を対治することがいかに大事であるかを御教示あそばされているのであります。
 さらにまた『法華初心成仏抄』には、「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依って、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説き聞かすべし」(同一三一六n)
と仰せられ、末法今時の本未有善の衆生に対しては、一生成仏のため、なんとしてでも「法華経」すなわち本因下種の妙法蓮華経を強いて説くべきであると仰せられているのであります。
 今、宗門はいよいよあと二年後に迫った、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向かって、僧俗一致・異体同心して力強く前進しております。この時に当たり、すべての講中は身軽法重・死身弘法の御聖訓を奉戴し、全力を傾注して勇猛果敢に折伏を行じ、もって必ず誓願を達成されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。