御法主日如上人御指南 
御法主上人猊下お言葉
元旦勤行の砌
(平成31年1月1日 総本山客殿)

 宗旨建立七百六十七年「勇躍前進の年」あけましておめでとうございます。
 総本山における元旦勤行に参詣の皆様をはじめ、宗内僧俗御一同様には、すがすがしく「勇躍前進の年」の新春を迎え、決意も新たに、いよいよの御精進・御奉公をお誓いのことと存じます。
 昨年、全国法華講の皆様には、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年記念事業の第二回特別御供養に当たり、真心からの御供養を頂き、心から厚く御礼申し上げます。
 皆様から頂いた御供養は、三門大改修工事をはじめ各種記念事業に充て、為宗為法、有意義に活用させていただき、仏祖三宝尊への御報恩に資していきたいと存じます。
 ここに重ねて、皆様方の愛宗護法の御厚志に対し、心から厚く御礼申し上げるものであります。まことに有り難うございました。
 さて、今、宗門はいよいよ二年余に迫った、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、僧俗一致・異体同心して、昼夜を厭わず、全力を傾注して力強く前進をしております。
 法華講員八十万人体勢の構築は、私どもが仏祖三宝尊の御宝前に固くお誓い申し上げた約束であります。
 大聖人様は『上野殿御返事』に、
「約束と申す事はたがへぬ事にて候」(御書 八二五n)
と仰せであります。さらにまた『開目抄』には、
「つたなき者のならひは、約束せし事をまことの時はわするゝなるべし」(同 五七四n)
と仰せであります。
 まさに、法華講員八十万人体勢の構築は、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年を期して、私どもが御宝前に固くお誓い申し上げた約束であり、この仏祖三宝尊とのお約束を果たすところに、真の仏恩報謝の道が開かれ、私どももまた揺るぎない幸せを築くことができるのであります。
 すなわち、邪義邪宗の謗法の害毒によって塗炭の苦しみに喘ぐ多くの人々を救済し、五濁乱漫として混迷を極める末法今時の荒廃した世情を浄化し、真の常寂光土を築くため、身軽法重・死身弘法の御聖訓のままに、法華講員八十万人体勢の構築を目指して勇猛果敢に折伏を行じ、もって一天広布に資していくところに、仏祖三宝尊の広大無辺なる功徳を享受することができるのであります。
 大聖人様は『如説修行抄』に、
「然るに正像二千年は小乗・権大乗の流布の時なり。末法の始めの五百歳には純円一実の法華経のみ広宣流布の時なり。此の時は闘諍堅固・白法隠没の時と定めて権実雑乱の砌なり。敵有る時は刀杖弓箭を持つべし、敵無き時は弓箭兵杖なにかせん。今の時は権教即実教の敵と成る。一乗流布の代の時は権教有って敵と成る。まぎらはしくば実教より之を責むべし。是を摂折の修行の中には法華折伏と申すなり。天台云はく「法華折伏破権門理」と、良に故あるかな。然るに摂受たる四安楽の修行を今の時行ずるならば、冬種子を下して益を求むる者にあらずや。鶏の暁に鳴くは用なり、よいに鳴くは物怪なり。権実雑乱の時、法華経の御敵を責めずして山林に閉ぢ篭りて摂受の修行をせんは、豈法華経修行の時を失ふべき物怪にあらずや。されば末法今の時、法華経の折伏の修行をば誰か経文の如く行じ給へる。誰人にても坐せ、諸経は無得道堕地獄の根源、法華経独り成仏の法なりと音も惜しまずよばはり給ひて、諸宗の人法共に折伏して御覧ぜよ。」(同 六七二n)
と仰せであります。
 この御文を拝する時、まさしく末法においては、折伏をもって正規とする所以を知るとともに、改めて「権実雑乱の時、法華経の御敵を責めずして山林に閉ぢ篭りて摂受の修行をせんは、豈法華経修行の時を失ふべき物怪にあらずや」との仰せを、また「誰人にても坐せ、諸経は無得道堕地獄の根源、法華経独り成仏の法なりと音も惜しまずよばはり給ひて、諸宗の人法共に折伏して御覧ぜよ」との御金言を心肝に染め、講中のすべての者が異体同心・一致団結して立ち上がり、敢然として折伏を行じ、晴れて法華講員八十万人体勢構築の誓願を達成し、一天広布達成へ向けて精進されますよう心から念ずるものであります。
 法華講員八十万人体勢の構築は、私どもが仏祖三宝尊の御宝前に誓った約束であり、かつ邪義邪宗の謗法の害毒によって苦悩に喘ぐ一人でも多くの人々を救うため、我らの総力を結集して、なんとしてでも達成しなければならない極めて大事な目標であります。
 されば、各講中ともに異体同心・一致団結して、正法弘通の前に立ちはだかる、いかなる障魔も強盛なる信心をもって打ち砕き、御宝前にお誓い申し上げました法華講員八十万人体勢の構築を必ず達成し、もって自他共の幸せを築かれますよう心から念じ、新年の挨拶といたします。