御法主日如上人御指南 
7月度広布唱題行の砌
平成30年7月1日 
於総本山客殿

 皆さん、おはようございます。
 本日は、七月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 さて、本年もいよいよ七月に入りましたが、各支部ともに僧俗一致・異体同心して、折伏誓願の達成へ向けて日夜、御精進のことと存じます。
 既に皆様も御承知の通り、今、宗門は来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて、各支部ともに総力を結集して前進しておりますが、この目標達成のためには、
「異体同心なれば万事を成ず」(御書一三八九n)
との御金言の如く、講中の老若男女すべての人が誓願達成へ向けて、心を一つに、一致団結して折伏を行じていくことが最も肝要であります。
 特に、誓願達成までいよいよあと三年、遅れをとっている支部はもちろんのこと、すべての支部が、まずは本年度の折伏誓願を必ず達成することが大事であります。
 大聖人様は、折伏について『南条兵衛七郎殿御書』に、
「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のかたきをだにもせめざれば得道ありがたし」
(同 三二二n)
と仰せられています。
 すなわち、いくら善根を積み、法華経を千万部も書写し、一念三千の御法門を己心に証得して仏法を深く究めているといっても、法華経の敵、すなわち正法正義を破壊しようとする邪義邪宗の謗法を破折し、折伏もしないようでは、一生成仏はおぼつかないと仰せられているのであります。「法華経のかたきをだにもせめざれば得道ありがたし」との御文をよくよく心肝に染め、拝さなければなりません。
 さらに『法華初心成仏抄』には、
「とてもかくても法華経を強ひて説き聞かすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓の縁となって仏になるべきなり。何にとしても仏の種は法華経より外になきなり」(同一三一六n)
と仰せであります。
 皆様には既に御承知の通り、「毒鼓」とは毒薬を塗った太鼓のことで、涅槃経に、
「毒薬を太鼓に塗り、大衆のなかにおいてこれを打てば、太鼓の音を聞こうとしない者でも、自然と太鼓の音を聞くことになり、皆、死んでしまう」
とあります。
 これは、法を聞き、信じようとせずに反対しても、やがて煩悩を断じて得道できることを毒鼓、すなわち毒を塗った太鼓を打つことに譬え、一切衆生には皆、仏性が具わっており、正法を聞き、発心・修行することによって成仏することができると仰せられているのであります。
 すなわち末法今時では、順縁の衆生はもとより逆縁の衆生であっても、三大秘法の南無妙法蓮華経を聞かせることによって正法と縁を結ばせ、必ず救済することができると仰せられているのであります。
 されば今、私どもはこの御教示を拝し、講中の老若男女が心を一つにして、決然として邪義邪宗の謗法を退治し、果敢に折伏を行じていくところ、必ず過去遠々劫の罪障を消滅し、計り知れない広大なる功徳を享受することができるのであります。
 逆に、
「謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし」(御書一〇四〇n)
と仰せの如く、たとえ信心をしていても、謗法によって不幸に喘ぎ、苦しんでいる人々を見て、そのまま黙って見過ごし、折伏もしないようでは、過去遠々劫からの罪障も消滅できず、真の幸せを招き寄せることができないと仰せられているのであります。
 今、宗門は、いよいよ三年後に迫った宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の佳節を迎えるに当たり、宗門挙げて折伏に取り組んでいます。
 この時に当たり、私ども一人ひとりが、栄えある法華講員として誓願達成、一天広布を目指して折伏を行じていくことが、まさしく大聖人様の御意にかなう信心であり、一生成仏を果たす最善の方途であることを知るべきであります。
 どうぞ、皆様には信心強盛に、不退転の決意をもって、誓願達成へ向けて折伏を行じ、いよいよ御精進くださるよう心からお祈り申し上げます。
 なお、総本山におきましては恒例により、本日より一カ月間、原則的には午前八時より唱題行を執り行います。
 皆様には、進んで参加されますようお願いいたしまして、本日の挨拶といたします。