御法主日如上人御指南 
2月度広布唱題行の砌
平成30年2月4日 
於総本山客殿

 本日は、二月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 既に御承知の通り、今月は宗祖日蓮大聖人御誕生の月であります。
 日蓮大聖人様は、貞応元(一二二二)年二月十六日、法華経に予証せられた通り、外用上行菩薩、内証久遠元初自受用身の御本仏として末法に御出現あそばされましたが、その目的は、法華経本門寿量品文底下種の妙法蓮華経をもって、末法本未有善の衆生をして即身成仏せしめるためであります。
 この末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の一切衆生救済の願業を正しく今に承継し、一天広布を目指して、一意専心、破邪顕正の折伏を行じていくところに、我ら本宗僧俗の最も大事な使命が存しているのであります。
 されば『聖愚問答抄』には、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(御書四〇三n)
と仰せられ、五濁乱漫とした悪世末法にあって、邪義邪宗の謗法の害毒によって苦悩に喘ぐ多くの衆生を救済するための最善の方途こそ折伏であることを明かされ、末法においては一向に折伏を行じていくべきであると御教示あそばされております。
 さらに『曽谷殿御返事』には、
「法華経の敵を見ながら置いてせめずんば、師檀ともに無間地獄は疑ひなかるべし。南岳大師の云はく『諸の悪人と倶に地獄に堕ちん』云云。謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし」(同一〇四〇n)
と仰せられ、謗法の者を見ておいて折伏もしない者は「師檀ともに無間地獄は疑ひなかるべし」と、まことに厳しく御教示あそばされるとともに、世の中の不幸と苦悩と混乱の原因は、すべて邪義邪宗の謗法の害毒によるものであり、この謗法を見て、そのままにして破折もせずに成仏を願う者は、まさしく「火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし」と仰せられているのであります。
 すなわち、たとえ信心をしていたとしても、もし謗法を放置したまま破折もしない、折伏もしないようであれば、成仏は思いもよらずと厳しく訓誡あそばされているのであります。
 されば今、宗門が一丸となって、平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築の誓願達成へ向けて前進をしている時、一人ひとりがこの御金言を心肝に染め、誓願達成の断固たる決意と勇猛果敢なる実践をもって、いかなる困難や障魔が競い起きようが、敢然として折伏を行じ、なんとしてでも御宝前にお誓い申し上げた法華講員八十万人体勢構築の誓願は達成しなければならないのであります。
 特に、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の佳節まであと三年と迫った本年、これからの三年間の戦いは極めて大事であります。
 もし、遅れを取っている支部があったとすれば、決意を新たに総力を結集して、なんとしてでも遅れを取り戻さなければなりません。そのためには、講中挙げて真剣に唱題に励み、その功徳と歓喜をもって、まず動く、そしてなにしろ動く。動けば智慧が涌きます。講中が一致団結して勇猛果敢に折伏を行じていけば、遅れは必ず取り戻せます。否、必ず取り戻さなければなりません。まさしく、上杉鷹山が言うように、
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」
であります。
 また、順調に勝ち進んでいる支部も「勝って兜の緒を締めよ」との訓誡を胸に、油断なく駒を進め、必ず全支部が誓願を達成されますよう心から願うものであります。
 大聖人様は『南条兵衛七郎殿御書』に、
「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のかたきをだにもせめざれば得道ありがたし」(御書 三二二n)
と仰せであります。
 また『一念三千法門』には、
「百千合はせたる薬も口にのまざれば病も愈えず。蔵に宝を持てども開く事を知らずしてかつへ、懐に薬を持ちても飲まん事を知らずして死するが如し」(同一一〇n)
と仰せであります。
さらに『御講聞書』には、
「今末法は南無妙法蓮華経の七字を弘めて利生得益有るべき時なり」(同一八一八n)
と仰せであります。
 これらの御金言を拝し、今、私どもがなすべきことは、断固たる決意と勇猛果敢なる実践をもって、あらゆる障魔を打ち払い、破邪顕正の折伏を行じ、もって目標たる法華講員八十万人体勢構築を実現することであると確認し、これからの三年間、いよいよ異体同心して、誓願達成へ向けて御精進されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。