御法主日如上人御指南 
11月度広布唱題会の砌
平成二十九年十一月五日 
於 総本山客殿

 皆様、おはようございます。
 本日は、十一月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 既に御承知の通り、今、宗門は来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築達成へ向けて、僧俗一致・異体同心の団結をもって力強く前進をしておりますが、いよいよ本年も残りあと二月、これからが誓願達成へ向けて最も大事な時期であります。
 さて、大聖人様は『法華初心成仏抄』
に、
 「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依りて、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説ききかすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓の縁となって仏になるべきなり。何にとしても仏の種は法華経より外になきなり。」(御書一三一六n)
と仰せであります。
 皆様も御承知のように、この御文は逆縁の功徳について述べられ、妙法を耳に触れた者は、たとえ信ぜず反対する者であったとしても、その人の心田に仏種が植えられたことになり、それが種となり、熱となり、必ず成仏に至ることができると仰せられているのであります。
 それ故に、天台大師も妙楽大師も「此の心を以て、強ひて法華経を説くべ」きであると仰せられているのであります。
つまり、末法当今の本未有善の衆生は、直接、法華経を誹謗していなくても、知らず知らずのうちに、謗法の害毒によって、法華誹謗の罪を犯しているわけでありますから、私どもは「とてもかくても法華経を強ひて説き聞かすべし」と仰せのように、とにかく謗法を破折し、法華経を強いて説くことが大事なのであります。
 故に、大聖人様は『十法界明因果抄』に、
「慳貪等無き諸の善人も謗法に依り亦謗法の人に親近し自然に其の義を信ずるに依って餓鬼道に堕することは、智者に非ざれば之を知らず。能く能く恐るべきか」(同 二〇八n)
と、いかに善人であっても謗法の人に親近して折伏もせず、何もしなければ、いつの間にかその影響を受けて謗法に与同してしまうことがありますから、それを避けるためにも私達は、法華経を強いて説くことが肝要であると仰せられているのであります。なぜならば、信ずる人は仏に成り、たとえ謗ずる者も毒鼓の縁となって成仏するからであります。また、己れ自身も与同罪を受けることなく、成仏得道の道を歩むことができるのであります。
 もちろん、ここで「法華経」と仰せられているのは、法華経の肝心たる本門寿量品文底秘沈の南無妙法蓮華経のことであります。
 故に、大聖人様は『観心本尊抄』に、
「釈尊の因行果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す。我等此の五字を受持すれば自然に彼の因果の功徳を譲り与へたまふ」(同 六五三n)
と仰せられ、さらに『聖愚問答抄』には、
「此の妙法蓮華経を信仰し奉る一行に、功徳として来たらざる事なく、善根として動かざる事なし」(同 四〇八n)
と仰せられているのであります。
 今、宗門は僧俗一致・異体同心の団結をもって、来たるべき平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築の目標達成に向けて、各支部ともに昼夜を分かたず、果敢に折伏戦を展開しております。
 この時に当たり、私どもは大御本尊様に具わる広大無辺なる功徳を、絶対信をもってこれを拝し奉り、また、ただいま拝読いたしました御文を銘記し、御本仏大聖人の弟子檀那として、大聖人の御命のままに一切衆生救済の大願に立ち、百折不撓の断固たる決意を持って、講中一結・異体同心して死身弘法の折伏戦を展開していくことが、最も大事であります。
 本年も残りあと二月、皆様にはいよいよ信心強盛に、必ず本年度の折伏誓願を達成し、もって御本仏の御照覧を仰ぎ奉り、一生成仏を期されますよう心からお祈りし、本日の挨拶といたします。