御法主日如上人御指南 
九月度広布唱題会の砌
平成二十九年九月三日 
於 総本山客殿

 皆さん、おはようございます。
 本日は、総本山における九月度の広布唱題会に当たりまして、支部総登山の方々をはじめ、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 本年「折伏育成の年」も、いよいよ九月に入りましたが、皆様には日夜、折伏誓願達成へ向けて御精進のことと存じます。
 本年度の誓願達成にとって、これからの残り四カ月間の戦いは、極めて大事であります。
 もちろん、なかには既に本年度の誓願を達成し、晴れやかに御登山され、戒壇の大御本尊様に誓願達成を報告された支部の方もおられますが、達成された支部の特徴というのは、講中が一結し、異体同心して折伏戦を展開し、動いているということであります。
 そういった講中は、常に動いているから勢いがあります。勢いがありますから、おのずと良い結果を出します。良い結果を出していますから、その支部には笑顔があります。それがまた、相乗効果をもたらし、講中全体に大きな歓喜と波動を呼び起こして、より良い影響を与えているのであります。
 つまり、特定の人だけが折伏するのではなく、講中が異体同心一致団結して、講員全員が師子奮迅の戦いをしていることが、誓願達成の秘訣であります。まさしく、
「異体同心なれば万事を成ず」(御書一三八九n)
であ。ます。
 大聖人様は『諸経と法華経と難易の事』に、
「仏法やうやく顛倒しければ世間も又濁乱せ。仏法は体のごとし、世間はかげのごとし。体曲がれば影なゝめなり」(同一四六九n)
と仰せであります。
 仏法の鏡に照らして見るとき、天変地夭も、悲惨な事件や事故も、戦争や飢餓も、政治・経済、あるいは教育等における腐敗や混乱の原因は、一にかかって宗教の乱れ、すなわち正法を信ぜず悪法を信じているが故であります。
 故に大聖人様は、
「早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(同 二四七n)
と仰せられているのであります。
 この御金言を実践に移し、謗法の害毒によって不幸に喘ぐ多くの人々を救い、世の中を浄化し、国を救い、世界を救っていくのが、まさしく今日、法華講衆に与えられた尊い使命であります。
 特に今、宗門は、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向かって、僧俗一致・異体同心して前進をしておりますが、この千載一遇の好機に巡り値えたことを無上の喜びとして、一意専心、折伏を行じ、もってすべての支部が折伏誓願を達成するとともに、折伏された人が、今度は折伏する立場に立って、邪義邪宗の害毒によって苦しんでいる人々を救っていくことが肝要であります。
 そもそも、折伏は最高の仏道修行であり、また仏祖三宝尊に対する最善の報恩行であります。
 故に、総本山第二十六世日寛上人は『報恩抄文段』のなかで、
「邪法を退治するは即ち走れ報恩(中略)正法を弘通するは即ち走れ謝徳(中晴)謂わく、身命を惜しまず邪法を退治し、正法を弘通する、則ち一切の恩として報ぜざること莫きが故なり」(御書文段 三八四n)
と御指南あそばされているのであります。
 まさに、折伏こそが、仏祖三宝尊の恩をはじめとして、四恩報謝のための最高の報恩行であります。
 つまり、私達日蓮正宗僧俗の真実の報恩行とは、三大秘法の御本尊様を御建立あそばされた大聖人様の大慈大悲のお心を心とし、不惜身命の信心で破邪顕正の折伏を実践するところにあることを、よく銘記すべきであります。
 と同時に、今、私どもがこの大御本尊様に出値えたのも、ひとえに自分を折伏してくれた人のお陰であります。であるならば、私達はその人に対して心からの感謝と恩返しをしていかなければなりません。
 ところが、仏法の上から申しますならば、自分を折伏してくれた人に対する感謝と恩返しは、今度は自分が折伏する立場に立って、いまだこの大法を知らない人のために、一切衆生救済の秘法たる大聖人様の仏法を説いていくこと、すなわち折伏することこそが、最高の恩返しとなるのであります。
 今、宗門は、全国の各支部ともに、来たるべき平成三十三年を目指して、法華講員八十万人体勢構築へ向け、一致団結して日夜、奮闘されておりますが、この時に当たり、一人ひとりが、今、我々は何をなすべきかを自覚し、講中が総力を結集して、敢然と折伏に打って出て、御宝前に誓った折伏誓願は必ず達成することが最も大事であります。
 どうぞ皆様には、残り四カ月、悔いを残すことなく、敢然として折伏を行じ、一人も漏れることなく、大御本尊様の広大無辺なる御恩徳に報いられますよう心から願い、本日の挨拶といたします。