御法主日如上人御指南 
七月度広布唱題会の砌
平成二十九年七月二日 
於 総本山客殿

 皆様、おはようございます。
 本日は、七月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 既に御承知の通り、今、宗門は来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて、各支部ともに僧俗一致・異体同心して、力強く前進をしておりますが、この誓願達成へ向けての戦いのなかで最も大事なことは『異体同心事』に、
「異体同心なれば万事を成じ、同体異心なれば諸事叶ふ事なしと申す事は外典三千余巻に定まりて候。殷の肘王は七十万騎なれども同体異心なればいくさにまけぬ。周の武王は八百人なれども異体同心なればかちぬ。一人の心なれども二つの心あれば、其の心たがいて成ずる事なし。百人千人なれども一つ心なれば必ず事を成ず」(御書一三八九n)
と仰せの如く異体同心の団結であり、異体同心の団結こそ、勝利の秘訣であります。
 事実、折伏誓願達成へ向けて確実に成果を挙げている支部は、いずれも講中一結・異体同心して折伏戦に励み、講中の一人ひとりが広布の戦士としての自覚と誇りと確信を持って誓願達成を目指し、歓喜に燃えて折伏に打って出ております。
 大聖人様は『法華初心成仏抄』に、
「仏になる法華経を耳にふれぬれば、是を種として必ず仏になるなり。されば天台・妙楽も此の心を以て、強ひて法華経を説くべしとは釈し給へり。譬へば人の地に依りて倒れたる者の、返って地をおさへて起つが如し。地獄には堕つれども、疾く浮かんで仏になるなり。当世の人何となくとも法華経に背く失に依りて、地獄に堕ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強ひて説き聞かすべし」(同一三一六n)
と仰せであります。
 末法はあくまでも、折伏をもって正規といたします。像法過時の如き摂受では、本末有善の衆生を救済することはできないからであります。
 されば、同じく『法華初心成仏抄』には、「機に叶はずと云ヘども、強ひて法華経の五字の題名を聞かすべきなり。是ならでは仏になる道はなきが故なり」(同一三一五n)
と仰せられているのであります。
 折伏は、間違った宗教への頑迷な執着を取り除き、真の幸せを招来する正しい信仰に導き入れる最善の方途であります。それだけに、単なるものの勧誘とは異なり、相手の命に食い込む真剣な対話がなければならないのであります。折伏する側の言葉、態度が相手に与える影響は極めて大きいことを知らなければなりません。
 したがって、折伏に当たっては、まず己れ自身が大御本尊様の広大無辺なる功徳を拝信して、絶対的な確信を持って唱題に励み、その功徳と歓喜をもって折伏に当たることが肝要であります。
 特に、昨今の末法濁悪の世相そのままに、混沌とした国内外の状況を見る時、今こそ私ども一人ひとりが、「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(同 四〇三n)
との御金言を心肝に染め、一人でも多くの人々に本因下種の妙法を下種し、折伏を行じていかなければならない大事な使命があることを知るべきであります。
 なかんずく、今、宗門は来たるべき平成三十三年の法華講員八十万人体勢構築へ向かって、全講中が一丸となって折伏を行じている時、まずは、今日ここにお集まりの皆様方が断固たる決意を持って、誓願達成を目指し、破邪顕正の折伏に立ち上がることが、最も大事ではないかと思います。
 一人ひとりが他人に任せるのではなく、自らが折伏を行じ、誓願達成の主体者となるべく立ち上がって勇猛果敢に折伏を実践する時、誓願は必ず達成されると確信いたします。
 本年も既に半年を過ぎ、残り六カ月、誓願達成へ向けてこれからが正念場であります。
 どうぞ、皆様にはいよいよ信心強盛に精進され、もって必ず本年度の誓願を達成されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。