御法主日如上人御指南 
唱題行(七月一日)の砌
平成二十九年七月一日 
於 総本山客殿

 皆様、おはようございます。
 本年も恒例によりまして、七月度の唱題会を開催することになりました。
 基本的には毎日、午前八時より一時間行いますが、七日、十三日、十五日は、御講を奉修いたしますので、一時間繰り下げて午前九時より行います。皆様にはよろしく御承知のほど、お願いいたします。
 さて『聖愚問答抄』を拝しますと、
「夫妙法蓮華経とは一切衆生の仏性なり。仏性とは法性なり。法性とは菩提なり。所謂釈迦・多宝・十方の諸仏、上行・無辺行等、普賢・文珠・舎利弗・目連等、大梵天王・釈提桓因・日月・明星・北斗七星・二十八宿・無量の諸星・天衆・地類・竜神八部・人天大会・閻魔法王、上は悲想の雲の上、下は那落の炎の底まで、所有一切衆生の備ふる所の仏性を妙法蓮華経とは名づくるなり。されば一遍此の首題を唱へ奉れば、一切衆生の仏性が皆よばれて爰に集まる時、我が身の法性の法報応の三身ともにひかれて顕はれ出づる、是を成仏とは申すなり。」(御書 四〇六n)
と仰せであります。
 初めに「妙法蓮華経とは一切衆生の仏性なり」と仰せでありますが、仏性とは仏の性分・本性のことで、法性とも菩提とも言い、仏と成るための因として一切衆生に具わっている種子のことであります。そして釈迦・多宝から閻魔法王に至るまで、また「上は非想の雲の上」から、すなわち非想非非想天、いわゆる有頂天から、「下は那落の炎の底まで」すなわち地獄の底までのあらゆる一切衆生が具えている仏性を、妙法蓮華経と名づけるのであると仰せられているのであります。
 されば、我らがひとたび御本尊に向かい奉り、妙法蓮華経と唱え奉る時、一切衆生の仏性が皆、呼ばれて集まり、またそれに呼応して、我が身の法性に具わっている法報応の三身、すなわち法身とは常住不変の真理、報身とは仏の智慧、応身とは衆生救済のために慈悲をもって応現する仏身を言いますが、これら法報応の三身の用きも顕れ出でて、成仏に至ると仰せられているのであります。
 すなわち、大御本尊様に対し奉り、至心に南無妙法蓮華経と唱え奉る時、我が身に内在する仏性が呼び起こされて、即身成仏することができると仰せられているのであります。
 思うに、今、宗門は来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築へ向けて、各支部ともに僧俗一致・異体同心して折伏戦を展開し、力強く前進しておりますが、その折伏戦を力強く進めていくために欠かすことができないのは唱題であります。
 唱題の功徳と歓喜をもって折伏に立ち上がる時、必ず仏天の加護を得て、誓願を達成成就することができるのであります。
大聖人様は『御講聞書』に、
「今末法は南無妙法蓮華経の七字を弘めて利生得益有るべき時なり。されば此の題目には余事を交へば僻事なるべし。此の妙法の大曼荼羅を身に持ち心に念じ口に唱へ奉るべき時なり」(同一八一八n)
と仰せであります。
 この御文中の「今末法は南無妙法蓮華経の七字を弘めて利生得益有るべき時なり」との仰せを、私どもはしっかりと心に留め置かなければなりません。
 まさしく「南無妙法蓮華経の七字を弘めて」とは「折伏を行じて」との意であり、つまり折伏を行じて初めて利生得益があるぞと仰せられているのであります。
 是非、一人ひとりがこの御金言を拝し、題目を唱え、その唱題の功徳と歓喜をもって、折伏に打って出て、誓願を達成し、もって御本仏宗祖日蓮大聖人の御照覧を賜りますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。